4/9

4 川瀬優花から見る天野大地。その人となり

　彼、天野大地は少し前まで私の家の隣に住んでいた青年だ。

　年は二十七歳になる。小さい頃はよく遊んでもらっていた。幼馴染、というよりは年の離れた兄として。

　結構やんちゃで明るい彼は、良く笑う少年だった。

　年上ながらに呆れることも多かったけれど、いざという時には守ってくれる人だ。

　特に以前暴漢に襲われそうになった時に見た、綺麗な上段回し蹴りと、心配して顔を覗き込んでくる大地の真剣な表情を私は忘れられない。

　最近は月に一度会えるか、という程度だ。ここ最近までやたら忙しかったのか中々姿を見せない時期もあったが、今は落ち着いているようだ。何がそこまで忙しかったのかは珍しく全然教えてくれない。

　ちなみに先程やり取りしていた先生は、大地が大学時代に出会った人で、何かと彼を気にかけているようだ。

　なにかと真面目な彼女の性格的に反りが合わないように思えるが、意外にも彼女の口から大地の悪い評判を聞いたことが無い。