表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

かりのなまえ

ウニにトゲが生えたわけ

作者: かりのなまえ

 いい歳をした大人にも楽しんでいただけたら嬉しいです。

 少しでいいからムリグゥ神のパワーになってほしい…。


 ※伊賀海栗 様主催の「インド人とウニ企画」参加作品です。

 昔々(むか~しむかし)の大昔、ウニにはトゲが生えていませんでした。

 丸くて(かた~)い身体をヌルヌルでおおうだけで、身を守れていたんです。


 ところが、昔々ぐらいになると、困ったことが起きました。

 なんと、ものすご~く大きな魚が現れたんです。


 ものすご~く大きな魚の口は、ウニが何匹も入れるほど、ものすご~い大きさです。

 ものすご~く大きな魚は、ものすご~く大きな口で、次々とウニを丸飲みにしていきました。

 ウニは丸くてヌルヌルしてますからね、とっても飲み込みやすいんです。

 これじゃあ、固い身体は何の役にも立ちません。


 さあ大変!

 このままだと、みんな食べられてしまいます!


「(駄目だこの状況…早く何とかしないと…)」


 そう思ったウニたちは、ちゅらウニの宮殿に集まりました。

 ここは、ウニたちの楽園。

 ものすご~く大きな魚は入ってこられないようになっています。


 宮殿には、偉いウニたちがいます。

 彼らなら、きっと何とかしてくれる。

 集まったウニたちは、一番偉いウニの登場を、今か今かと待っています。


 やがて、一番偉いウニが出てきました。

 一番偉いウニは皇帝、名前をイーガーと言います。あ、企画の主催者(伊賀海栗)様とは別人(?)ですよ。


 イーガー皇帝は、集まったウニたちに宣言します。


「これより、緊急会議を始める。ものすご~く大きな魚から身を守る方法を思いついた者はおらぬか?」


 いきなりこんなことを言われても、ウニたちは困ってしまいます。

 名案なんて、浮かぶわけがありません。

 だって、全員が「脳みそウニ」ですからね~。


 重苦しい空気がウニたちを包みます。

 はい、そこ! 海の中に空気は無いとか言わない!


 そんな中、二匹のウニが手を上げました(比喩ひゆ的表現)

 アニ王とウニ王の兄弟です。

 この二匹、王の名がついてますが、偉いわけじゃありません。他のウニより、磯の香りが強いだけです。

 名前の由来は「あ、匂う」と「うん、匂う」なんです。


 皇帝は、二匹の発言を許可しました。

 二匹は声をそろえて話します。ウニはゆう異体ですが、ここは蛾の怪獣(モ○ラ)とセットの小美人の声で読んでくださいね。


「「地上には、釈迦シャカ宇尼(ウニ)と呼ばれる尊い方がおられるとか。その方に、どうすればいいか聞いてまいりましょう」」


 他に名案はありません。

 ウニたちの運命は、アニ王とウニ王に託されることになりました。


  ☆


 アニ王とウニ王は、地上でも活動できるように変身しました。

 改造手術を受けたわけじゃないので、ウ○ドグマになったりはしません。

 合体して、バ□ム・1――じゃなくて、コンゴウニ騎士になるのです。


 コンゴウニ騎士は、見た目アフリカ人(ふう)のおっさん。人とも普通に話せます。

 人間になった人魚姫より、スペックは上ですね。


 コンゴウニ騎士は山奥を目指します。

 なぜ山奥なのか? それは、多くの牟尼むに隠棲いんせい――世間から離れて、ひっそりと暮らすこと――しているからです。

 お話の都合じゃありませんよ。


 それと、タグを見た方は薄々わかってたと思いますが、ここはインドの地です。


  ☆


 コンゴウニ騎士は、山奥で厳しい修行をしている年配の男性を見つけました。

 この方が釈迦シャカ宇尼(ウニ)に違いありません。

 コンゴウニ騎士は、緊張しながら声をかけました。ここはゴ○ンクスの声で読んでください。


「「おいおっさん(宇尼様)ちょっとツラ貸しな(お助けください)!」」


 男性は一瞬だけカル□ス・ゴ○ン元CEOばりに片方の眉を上げましたが、にこやかに返します。


「ふぉっふぉっふぉ。お主の望みは聞くまでもない。ちゃ~んとわかっておる」

「「じゃあ、俺たちウニはどうすればいいか? それを教えてくれ」」

「な~に、簡単なことじゃよ。体中からトゲを生やせばいいんじゃ」


 なるほど!


 最初のほうでも言いましたが、ウニは丸くてヌルヌル。

 ものすご~く大きな口をした、ものすご~く大きな魚なら、丸飲みするのは簡単です。

 でも、ウニが栗みたいにトゲトゲになれば、丸飲みをしなくなるはずです。

 口の中やのどに刺さったら、とっても痛いですからね。


 あっ、でも、ちょっと待ってください。


 トゲがある言葉は、無意識にでも吐けます。

 刺々(とげとげ)しい態度は、ちょっと意識すればとれます。

 でも…、体中にトゲを生やすなんてことが、そんな簡単にできるんですかね?


「「なるほど、そいつはいい。じゃあ、さっそく俺たちにトゲを生やしてくれ」」

「ああ、いいとも。じゃが、その前に聞いておくぞ。一度トゲを生やすと、二度と元の姿に戻れなくなる。それでもいいんじゃな?」

「「ああ、いいぜ。さっさとやってくれ」」


 あ~あ…。

 コンゴウニ騎士は即答しちゃいました。

 さすが、中身がウニだけのことはあります(めてない)

 難しいことは考えません。ていうか、おそらく何も考えてません。

 これで自分ウニたちは救われると、猛烈に感動しています。


 一方、男性は有難そうな呪文を唱えます。


阿耨多羅あのくたら三藐さんみゃく三菩提さんぼだい」×3


 呪文が終わると、コンゴウニ騎士は光に包まれました。

 そして全身が激しく波打ち、徐々に姿が変わります。


 なんということでしょう!


 コンゴウニ騎士の全身に、無数のトゲが生えてきました!


  ☆


 コンゴウニ騎士にトゲが生えてきたころ、ウニたちにも変化がありました。

 みんな、栗のいがのようにトゲトゲになったのです。


「おお、これは…」

「すごい! これならものすご~く大きな魚に食べられなくてすむ」

「アニ王とウニ王がやってくれたんだ」


 ウニたちは喜び合い、アニ王とウニ王の帰りを待ちました。


  ☆


 さて、ウニたちを救ったコンゴウニ騎士は、どうなったでしょう?

 まさか、全身がトゲトゲなド○ゲ魔人(ト○ゲルゲ)になってたりは、しませんよね?


 コンゴウニ騎士にトゲが生えたところまで、場面を戻しま~す。



「「う、うわぁーっ! 痛い! 痛いよぉーーーーっ!!」」


 こ、これは…?

 コンゴウニ騎士がメッチャ痛がってます!

 一体どうしたというのでしょう?


「ふぉっふぉっふぉ。言ったじゃろ、二度と元の姿に戻れなくなると。お主らは、互いのトゲで永遠に刺し合うのじゃ!」


 男性は邪悪な顔で告げました。

 その姿は、いつの間にか修行者から潜水士へと変わっています。


 そう、男性はウニの真の天敵、ダイバーだった(提婆達多)のです!


「まったく、ワシを釈迦牟尼しゃかむにと間違えるとは。やはりウニは愚かよのう」


 ウニたちは知りません。アニ王とウニ王が二度と帰ってこないことを。

 ダイバーだった(提婆達多)がウニをトゲトゲにしたのは、ものすご~く大きな魚に食べられないようにして、漁獲量を増やすためだったことを…。


  ☆ ☆


 時は流れ、アニ王とウニ王は、ウニたちの伝説になりました。

 ちゅらウニの宮殿には、二匹が合体したコンゴウニ騎士の像が建っています。


 若いウニたち(特に雌)は、伝説の英雄に思いをはせ、小さな胸をキュンキュンさせています。

 あ、トゲがあるからチュクチュクかもしれませんね。


 像の台座には、こう刻まれています。


  コンゴウニ騎士は犠牲になったのだ

  突発的に始まった企画…その犠牲にな

  そもそもは海栗の割烹になまこがコメした時からある大きな問題だ

  それがコンゴウニ騎士の生き様を決めた

 コンゴウニ騎士のその後は、気が向いたら書くかもしれません(え?


↓↓↓中の人は、こんな作品も書いてます↓↓↓

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
i381386
i382378
― 新着の感想 ―
[良い点] こんばんは。 ムニと、ウニ。そして、ダイバーと……例のあの人。 美らウニも良きですが、こう、アレコレとネタを振りまくスタイル、毎回楽しませてもらってます。 悟り=尖り、かと思いきや、奸…
[良い点] 「釈迦宇尼」「釈迦牟尼」……相変わらず言葉選びに感心してしまいますよ。 時事ネタもいい塩梅に盛り込まれていて面白かったです。 「ダイバーだった」はルビも含めて笑いました!
2019/07/07 19:23 退会済み
管理
[良い点] あれっ 私皇帝じゃなかった( ゜∀゜) 随所にネタが散りばめられてはいますが、しっかりした童話になっている気がするw 海栗はこうやってイガイガするようになったんですなぁ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ