表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/19

第8話

 「ではまずレベル上げをしましょうか」

 神様は言った。

 お馴染みの雲の上に戻ってきた俺たち二人は雲の上に座っている。

 

 「本当に5万年もレベリングするのか……?」

 「当たり前です。いや本当に5万年かかるかはわかりません。もっと早いかもしれないですし、10万年かかるかもしれませんし100万年かかるかもしれません。やる気次第ですよ。まあ長いことには変わりないですがね」

 

 「ぶっちゃけ魔王を倒す必要ある?」

 「え? 何を言っているんですか?」

 「いや、5万年だろ? 人類はそのときはもう生きてないと思うんだよ。猿から人間になるには5万年の年月がかかった。じゃあ今から5万年過ぎると人間は進化して別の生物になるんじゃないか? というか地球は環境破壊とかで生き物の住める星じゃなくなっているかもしれないし、人間たちは別の星に移住とかしてるかもしれない。5万年もかけて魔王を倒すころには地球上に誰もいなかったら悲しいだろ」

 神様は思案顔で黙り込む。

 「それにはじまりの町を見るからに魔物に襲われてる形跡はないじゃないか。街の住人はあのゴブリン戦車を倒せるんだろ? しかも石ころで。だったら俺がいなくても誰かが魔王を倒すんじゃないか? すぐには魔王を倒せないかもしれないけど少なくとも5万年よりは早く倒せるだろ。何か間違ってること言ってるか?」

 

 「間違ってますね」

 「どこが?」

 「魔王はすべて見ているんですよ、人間達の動きを。あなたが魔王を倒すことを諦めて異世界スロー生活をはじめた瞬間に魔王はあなたの生活圏を太陽光で蒸発させることでしょう。もちろん、住人は死にますがあなたは死にませんよ。またここに舞い戻り、自分のせいで多くの人々を死なせてしまったと後悔することになるでしょうね」

 「そんな」

 

 はじまりの町の住人を見るからにこのエクストラ地獄ハードモードの人達はみんなクソ野郎だ。だから別にクソ野郎どもが死んでもなんとも思わないが、そんなことを言ったら神様は怒りそうなので口が裂けても言わない。

 それにもしかしたらどっかの村で魔王を倒せる勇者が生まれるかもしれないからむやみに人を殺させるわけにはいかない。

 

 「じゃあやっぱり俺はレベリングをするしかないというわけか……」

 「そういうことです。5万年後に人類がいなくなろうがどうなろうがレベリングをしなければそもそも明日はないのです。やるしかないのですよ」

 あ、今気づいた。

 「そもそもどうやって俺はモンスターを倒すんだ? ゴブリン戦車に一発で殺されたけど」

 「まあ私にいい考えがありますから」

 

 神様はそう言うとにやりと口元を歪ませた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ