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第18話

 「え、AV……ですか」

 「ああ。AVだ」

 以前、こんな記事を見たことがある。発情期の雌パンダが雄に興味を示さないので檻の中にテレビを設置し、パンダが交尾している映像を流したところ、映像に興味を示し雄パンダと交尾を無事に行ったという記事だ。パンダでもいけるなら麒麟でもいけるだろう、という理論だ。

 と、神様に説明するが彼女はいい顔をしない。

 

 「あの残念ながらこの世界にはAVなんてないですよ」

 「え! ないのか!」

 「なにをそんなに驚いているんですか。当たり前じゃないですか。ここは異世界ですよ。中世ヨーロッパっぽいところですよ。AVなんてあるわけがないじゃないですか。そもそもDVDやDVDプレーヤーなんてものはないですから」

 「じゃあパソコンは? インターネットは?」

 「ないです。パソコンっぽい魔道具はありますが」

 

 魔道具……そういえばギルドに置いてあった奴だ。クエストを選ぶときに使うアレだ。それにプリクラ機みたいなギルドカード発行機があった。あのときは異世界にも便利な機械があるんだな、としか思っていなかったが魔道具ってなんなんだ。なんだ『魔』って。せっかくの機会なので神様に聞いてみた。

 

 「魔道具とは魔力で動く機械のことです。魔力というのはこの世界のエネルギーです。あなたの世界にある電気に値するものですね。魔力は魔道具を動かすのに使ったり、攻撃に使ったりできます」

 神様はつらつらと魔力について教えてくれた。

 魔力と言うのは自然界には存在せず人間の体内を流れているとのこと。魔力は年齢とともに増えていったり、筋肉と同じで鍛えれば鍛えるほど魔力は増大する。魔力を使い過ぎると貧血のような症状になるが、飯を食ったり一晩休めば全快する。強い魔力を持つ者は難しいクエストやダンジョンを攻略したりとめざましい活躍を見せているという。

 魔力を供給する奴隷もいる。ギルドの魔道具を動かしていたのは奴隷が魔力を供給していたからだ。神様が言うにはギルドカード発行機の中に潜み、魔力を供給しながら機械の音声は奴隷がだしている。

 魔力を供給する奴隷――魔供奴隷というらしい――は魔力を供給するだけでただで飯を食えるから奴隷の中では意外と人気な職らしい。

 

 「わかりましたか? ちなみに4人暮らしの一家の魔道具を動かすのに一軒当たり一人の奴隷が必要になりますから実質5人暮らしです」

 「その情報はいらない」

 だけど家族写真に奴隷が一緒に写ってたら面白いな。

 

 「あ、そうだ。魔道具にカメラはあるの?」

 「はい、ありますよ。だけど魔道具はどれも高額で私たちには金がなくて買えないので存在しないのと同じです」

 「そうか……まいったな。いいアイデアだとおもったんだけど」

 

 ふと麒麟を見ると奴らはニヤニヤしていた。もう殺そうかなこいつら。こいつらでも殺せばレベルが上がるし俺の残機も増えるしな。

 「いや待ってください。ひとつだけ方法が……ないわけではないです」

 「え。何かいいアイデアがあるのか」

 「は、はい。だけど……」

 神様は顔を赤くして小便を我慢しているときみたいな感じでもじもじさせている。

 「どうしたんだ? 言ってくれよ」

 「は、はい。いや、やっぱり……だけどこれしかない……」

 

 俯きがちにブツブツと何かを言っている。

 何なんだ一体。どうしたんだ。

 と思っていると神様は意を決したように顔を上げて言った。

 「私たちがいるじゃないですか。私たちが……こ、交尾をしているところを見せればあるいは……やっぱり恥ずかしい!」

 そう言って神様は手で顔を隠してうずくまってしまった。

 それにしても俺たちが交尾をやるだって? 俺と神様が獣みたいに? この汚い小屋で? 麒麟たちに見られながら? 

 うーん……。

 …………。

 ……。

 

 その手があったか。


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