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第13話

 宿屋の裏にあるゴミ箱で寝泊まりし一晩を明かした。神様は臭いだの汚いだの文句を言っていたが以外と寝心地はよかったのかすぐに寝息を立てた。俺はまだ慣れてないので眠りにつくまで時間がかかったが。

 朝になり俺は憎き宿屋の壁に用をたした。そのあと壁に蹴りを入れてその場から立ち去った。

 「で。どうすんだ? もったいぶって昨晩教えてくれなかったけど、どうやって奴隷を買うんだ」

 「ええ。言いましょう」

 神様は自信たっぷり言った風に頷く。

 

 「私たちも人間を奴隷商人に売ればいいのですよ」

 …………。

 ……。

 「は?」

 「私たちも人間を奴隷商人に売ればいいのですよ」

 「いや聞えてるから。コピペしなくていいから」

 「じゃあ何ですか。その反応は。素晴らしいアイディアじゃないですか。だったらもっと『すごい』とか『可愛い』って言ってくれてもいいじゃないですか」

 いや可愛いは違うだろ。

 

 「お前奴隷を反対してたじゃないか。なのになんでそのお前が奴隷商人になるんだよ」

 「それしかないですよ……もう」

 神様は伏し目がちで言う。

 「悲しいですけどね……もうそれしかないんですよ。私たちが生きるためには」

 「そうかもしれないけど」

 

 まあこれがエクストラ地獄ハードモードだから仕方がない。売られた人間だって仕方がないと思ってくれるだろう。俺たちは世界を救おうとしているんだし、多少の犠牲はあってもゆるしてくれるよね。

 「ということで……」

 神様は俺の肩に手を置いた。

 

 「奴隷になってください」

 ………………。

 …………。

 ……。

 え。

 ……。

 …………。

 ………………。

 

 「は?」

 「奴隷になってください」

 「コピペすんな! 聞えてる!」

 「じゃあ奴隷になるってことでいいですね?」

 「いやよくねえよ! なんで俺が奴隷に売られなきゃいけないんだよ!」

 「まあ多少の犠牲はつきものですからね」

 「いやそうじゃない。絶対にそうじゃない。犠牲になるのは俺じゃない」

 

 俺の育成のためにボスを倒したい→そのためには仲間が必要→仲間になるやつがいないから奴隷を買って仲間にしたい→奴隷を買う金がない→俺を売る(NEW)。

 「おかしいだろ絶対に! 本末転倒じゃないか! お前は俺を売って奴隷と共に魔王を倒しに行く気か⁉」

 「そんなわけがないでしょう。私はそんなに馬鹿じゃないです。ちゃんと考えてますから。とりあえず奴隷になりましょう」

 「とりあえずで奴隷になってたまるか!」

 

         *

 

 「毎度~。お客さん、いつでも活きのいい奴隷を待ってますよ~」

 『奴隷最高』の店主は飛び切り良い笑顔とともに媚びた声を、店をでていく神様に投げる。神様と隣に連れた奴隷は振り返ることなく歩き去った。

 俺は首輪をかけられせまい檻に入れられている。俺は奴隷に売られることにした。

 神様の言い分はこうだ。

 

 「まずあなたを奴隷に売ります。その金で奴隷を買うんです。つまりあなたと奴隷の交換。その奴隷はあなたより強いですから、私は奴隷と共にボスを捕まえに行く。ボスを増殖させる工場を作ったら、奴隷を売りあなたを買い戻す。これだったら確実です」

 

 「だけど……」

 反論できない。それがベストな気がしてくる。

 いやよく考えたらそれが一番いい気がする。俺はわざわざボスを捕まえにいく必要がない。檻の中でおとなしくしていればいいだけ。痛い思いはしない。

 「じゃあそれでいいか」

 

 ということで俺は奴隷になった。

 ここは意外と快適だ。首輪はちょっと苦しいがそれは我慢すればいい。せまい檻と言っても6畳くらいはあって横になれる。店主も別に鞭で打ったりはしてこない。ただ首輪をつけて檻に入れたら干渉してこない。

 ここには衣食住がある。異世界に来てからというものの碌に飯を食べてないし、ちゃんとしたところでは寝ていない。だけどここは屋根があるし、食事も出る。(パン一つだけだがそれで充分)。

ここはちょっとした宿屋だ。本物の宿屋のババアは金を払わないと泊めてくれないのに対してここは無料だ。

 ああ、そうか。合点がいった。

 それで町の人達は奴隷商人の店を紹介してくれたのか。宿屋に行ってもババアが泊めてくれない。だから無料で泊まれる奴隷商人の店に行けってことだったのか。

 

 なんだ。エクストラ地獄ハードモードの世界もまだまだ捨てたもんじゃないな。


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