1日目____人生への再入学
人生と言うのは誰しも自分で歩んでいるよう皆思っているだろう。
だがここで一回考えてみよう自分の人生は実は誰かが決めた人生を歩まされているのではないだろうか。
誰かが勝手に決めた人生をただ歩まされるのは、果たして本当の意味で自分の人生なのだろうか
自分で決める自分の人生、歩んでみたくないか?
始まりは確か桜が舞い落ちる少し暖かい日だった。
「いよいよ俺たちの青春も終わりか」
「ああ」
「来月から俺達も社会人の仲間入りってわけだ」
「社会人の仲間入りっか」
いつも通り俺、夢月 麗と大和 和人は会話していた。
これまで俺はたくさん選択してきた。
初めは親にその選択をさせてきたが、大きくなるにつれ自分で選択するようなっていた。
今日のデザートは何にするかみたいな小さな選択からどこの学校に進学するかみたいな大きな選択まで。
―――そして俺はまた選択する―――
「そいえば麗どこに就職したんだ?」
「小さな会社だよ」
「そっか、いつもお前は自分があまり得しない方を選ぶな、でも仕方ないよな、決められた人生の上で生きているお前は自分の選択に本当の自分意思なんてないもんな。」
「何言ってんの和人、これは俺自身が選んだ事だぞ?それよりお前はどこに就職したんだよ」
「俺はどこにも就職できなかった。失敗したんだよ。俺は失敗した人生を歩むつもりはない。何せ俺はお前みたいに失敗してもまたどっかで修正が加わる人生じゃないんでな。」
「は?」
俺は嫌な予感がした。
「だから俺は今回の人生はここで終えることにするよ」
「おい、和人まさか…」
「じゃあな」
そして和人は道路に飛び出した。
俺もまた、自分に得のない選択を選んだ。
和人を止める為俺も道路に飛び出した。
そして俺たちは大きなトラックに轢かれて死亡した。
「次は麗に会わない人生を試すか」
最後にそれだけを残して。
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人生への再入学
俺は実は人生はループしているのではないか?と少し疑問に思っている。
人が死んだら記憶をなくしてもう一度同じ人生を繰り返すのではないか?また同じ人生を歩める、それは楽しさ溢れた人生ならもう一度その楽しさを味わえるから良いかもしれない。
しかし、辛い人生を歩んだ人例えばいじめなので自殺してしまった人などは、記憶をなくしてまた何度も何度も自殺を繰り返さなければならなくなる。これ程辛いものは他にはないだろう。
ならどうして記憶をなくしてしまっているので同じ人生を繰り返すのか、彼の言葉を使って表すならば「決められた人生の上で生きている」からかもしれない。
俺が気づいた時には俺は病院にいた。確かあの時トラックに轢かれたとこまでは覚えている。
奇跡的に生き延びたのかと思った。
だが現実は違った。
「うぎゃーうぎゃー」
(なんだ?)
俺は心の中でそう思った。
周りから聞こえてくる赤ちゃんのような泣き声、俺は赤ちゃんと一緒に入院しているのか?と思い周りを見渡すも何も見えない、正確にはぼやけて何がなんだかわからない。
ケガで目が駄目になったか?と最初は思った。
次第に違和感が生まれた。
(そいえばトラックに轢かれたはずなのに痛みを感じない。どういことだ?ケガで感覚までなくしたか?そもそも俺はどこをケガしているんだ?)
と思い手を動かそうとしたその時違和感の正体に気づいた。
(腕が短い?!それだけじゃない指も、足も自分が知っている体じゃない?!)
おかしい…こんなの俺の形じゃない…誰か、誰か俺の体について説明してくれ!と思い声を出したその時だった。
「うぎゃー」
……は?、今誰が泣いた?誰が泣いたんだ?気のせいだよな…
今俺が泣かなかったか?いや。気のせいだ。そんなことはどうでもいい今は体について説明をしてもらいたいんだ。
「うぎゃーうぎゃー」
そして確信に変わった。
今の泣き声は間違いなく俺だ。訳が分からくなった、声までおかしくなったか?でも声が完全に赤ちゃんの声だった。
どういう事だどういう事だどういう事だどういう事だどういう事だどういう事だどういう事だどういう事だどういう事だどういう事だどういう事だどういう事だどういう事だどういう事だ
たくさん考えたが結局はわからない。
そして俺は疲れて眠った。
次に目が覚めたのはとても暖かい腕の中だった。
いよいよ俺も認めなくてはならない
自分が赤ちゃんになってしまっていることに。
…あぁ。これが二度目の人生の始まりか。まぁ別に死にたくて死んだ訳じゃなかったし二度目も悪くないかなと最初は思った。
今回の俺の名前は何かな?カッコイイ名前とか―が良いな。そもそも俺は男?女?そこはどっちでもいいや。
一度目の人生は自分が得しない方を選んできてしまったから今回は間違えないようしよう
――「決められた人生の上で生きたているお前は自分の本当の意思なんてないもんな」―――
ふと和人の言ったことを思い出した。
何故今思い出したかわからなかったけど、今思っても何を言いたかったか見当もつかない
「さぁ麗、家に着いたわよ」
「ここがお前の家だぞ麗。」
ほほぅ、また俺の名前は麗か。俺の名前は男でも女でも通用するから性別は不明か。
……触ってみるか
そして俺は期待はしていなかったが物の感触があった瞬間ガッカリしてしまった。
家の中に入った俺はベビーベットの上に乗せられた。
この…ベットは!?
少し目が見えるようになった俺はこのベットに見覚えがあった。
いくつか気になることがある。まず両親の声は聞き覚えがあった。次にこの家の形。間違いなく俺の家だ。そして最後に何故記憶があるんだ?
疑問に残ることが沢山おるがもしかしたらもしかするとこれは俺夢月麗と言う人物の二度目人生なのかもしれない。
初の作品になります。
温かい気持ちで見守ってください