三回目のようです
「よくぞ召喚に応じてくれた。異界の戦士達よ」
「……」
三回目。
酷くあっさり殺された。
あんなのは聖女でもなんでもない。
ただの悪魔だ。
ペラペラと王が話しているのを尻目にマオは一人そんなことを考える。
どうすれば、殺されないだろうか。
考えるのはそれだけだった。
他のことなんてどうでもいい。
ただ、死にたくなかった。
逃げるのはきっと不可能だろう。
こちらの警戒を避けるためなのか、数が多いわけではないが室内には兵がいる。
そして、これまでの周回で学んだことだが、扉の外には相当数の兵がいる。
それこそ逃げ出すなんてできないくらいに。
今考えてみれば、この部屋には窓がない。
必然的に出入口を塞がれてしまえば密室となるのだ。
逃げ道なんてどこにもなかった。
強行突破ができるほどの実力も今の自分にないことは明白。
軽く詰んでいる。
もちろん、だからといってマオも諦めるつもりは毛頭ないが。
「……あ、もうそんな時間か」
気づけば周りでステータスを見ているクラスメイト達。
説明も受けないうちに開いてしまえば怪しまれると思い待っていたが、こうなったのなら何も問題はない。
心のなかでステータスと呟く。
才能:追い求める者
あらゆる真実を追い求める者。
彼の者の好奇心の前に撤退の二文字はない。
彼の者の好奇心は止まらない。
誰も彼の者を縛れはせず止めることはできない。
ただ、彼の者は好奇心のままに突き進む。
たとえ、神であってもその歩みは止められない。
たとえ、死であってもその歩みは止められない。
スキル
パッシブ:挫折は彼の者を強くする
死亡時、時間遡行。身体能力向上。
アクティブ:心眼の指輪(パッシブ一回発動で開放)
?????(パッシブ五回発動で開放)
?????(パッシブ十回発動で開放)
?????(パッシブ百回発動で開放)
?????(パッシブ五百回発動で開放)
?????(パッシブ千回発動で開放)
?????(パッシブ三千回発動で開放)
?????(パッシブ五千回発動で開放)
?????(パッシブ一万回発動で開放)
?????(パッシブ?回発動で開放)
スキルの解放はない。
書いてある通り、パッシブスキルを発動、つまり死ななければならないのだろう。
けれど、身体能力は確かに向上していた。
もちろん劇的な変化ではなく、この状況を打破できるようなものではないが。
「……これがダメなら、今回もダメかもしれない」
なまじ二度も死んではいない。
体感できない程度の身体能力の向上など宛にならないことは嫌というほど理解できていたし、小細工が通用するような相手でもないとも理解できていた。
ゆえに未知数の可能性にかける。
二回目ですでにスキルとして解放はされていた。
けれど、使う暇もなく殺されてしまった。
それに賭ける。
「『心眼の指輪』」
何が起きるのか。
目を集めるようなものだったら困るなと思いつつ、小さくマオは呟いた。
「……?」
何も起きなかった。
少なくとも他人の目を集めるような派手なことは。
「……これ」
周りを見渡して、何も起きていないことを確認して、自分の左手の違和感に気づく。
いつの間にか、左手の薬指に指輪がはめられていた。
とても地味なものだ。
装飾の類いは一切施されていない。
素材が何かも分からない。
どこにでもありそうな銀色の指輪。
それがいつの間にか指にはめられている。
心当たりはない。ということはこれがスキルの能力なのだろう。
「……心眼」
心眼の指輪。
指輪の部分はまさしくこれだ。
では、心眼は?
「もしかして」
マオは一つの憶測を立てた。
そして、その憶測の確認をするために近くにいたクラスメイトの一人に視線を向ける。
(…………読書家。こんな才能どうやって使えば良いんだよ)
「……こういう感じか」
心眼。それの意味するのは他人の心を覗くということではないか。
そんなマオの憶測はほんの少しの狂いもなく正しかったと見つめたクラスメイトの頭上に浮かんだ文字に確信する。
そして、それと同時に他の視界に入っているクラスメイト達の心情が見えないということから自分が意図して見ている相手の心情だけが見えのだということを把握した。
相手が何を考えているのかが分かる。
戦闘向きとは言えなくとも、使い方次第では凄まじい効果を発揮する能力だ。
しかし、一つ問題があった。
「…………こんなので、どうやってここを脱出したらいいのさ」




