第22羽 ~憎悪と執念の繰返~
タイトルを「古典:転生した鶏が逃げて何が悪い!」に変更しました。
詳しくは、活動報告・あらすじ等でご確認いただければと思います。
「すまない……。でもな、林。なにも吹き飛ばすほど怒らなくたって」
「ごめんなさい……。でも、おにぃ にはもう少し羞恥心を持って欲しいな……うん」
「すまない……本当に申し訳ない」
「分かってくれたのなら良いけど……」
雷はあの後、消えるように素早くすっ飛んでいった林ちゃんにキャッチされ、しっかり服を着てから土下座して謝っている。
兄妹ってもう間隔が麻痺してて裸見ても何も思わないと思っていたけど……やっぱ男の裸は見たくない物なのかな?
「なあ、帝の使い。兄妹ってあんな感じなのか? 俺、妹とか弟が居ないからさ、よく分からなくって」
「せやなぁ…………あんなんかもしれんなぁ。あの子が生きておったら」
「おーい、比内と帝の使い! そろそろ向かうぞー!」
帝の使いが、何か気になることを言った気がしたけど……いつの間にか遠くまで歩いていた雷林兄妹に先をせかされ、深く聞く機会を逃した。
■■■
「もうすぐ村に着くはず! そこは龍人と呼ばれる方々が住んでいて、私やおにぃ程とはいかなくても、全ての住人がしっかり人型に見えるまで化人-ケニン-が扱えるんですよ!」
そう、元気よく林ちゃんが指さした方を見ると、建物がいくつか見えてきた。
神狼鬼の村とは家の作りは異なっていて、わらの屋根でできた簡素な物だ。
龍人……完璧に化人-ケニン-が扱えないところを考えると、俗に言う”リザードマン”の様な姿なのか? でも、この世界って西洋な感じがしないし、RPGのような見た目とは違う?
様々なイメージを膨らませつつ、村の方へどんどんと近づいていくが……何かおかしい。
村の外に誰かがいてもおかしくないのに、気配が全くしない。
それどころか、生活音すら聞こえてこないなんて……。
「アイデッ! ああ、ごめん雷。でも急に立ち止まってどうしたん……だ……」
思わずぶつかってしまった、雷の背中を避けて見た光景は惨かった。
そう言い表すしかない程、現実離れしたその光景は、あえて例えるなら……地獄絵図。
「っう゛……っぷう゛ぇええ…………」
「林! もうこれ以上見るな! ……何でこんなことにっ!!」
この世界のリザードマンと呼べる存在が、どんな姿をしているか気になっていたが、姿が分からない。存在はしているが、これがその姿だと言うのなら、生物として欠落しすぎている。
体の殆どの部位から骨が見え、血が滴り、内臓と汚物が辺りに飛び散っていた。
頭が吹き飛んでいる者・静かに肺を動かす者・下半身を失い、腕で地を這いずる者。
その者達を、黒い獣は楽しそうに喰らっていた。
「あれは──鴉?」
「おい比内! アレを知ってるのか?! 教えてくれ! アレは一体何なんだ!!!」
「お、俺の居た世界だと、鶏と同じただの鳥だ。ただ、人々から不幸の象徴として恐れられていたりはするけど、こんな光景は見たことが」
「あれは……妖怪よ。血肉と憎悪を喰らうだけの、ただの化け物。まさか、コッチで出会うとは思っていなかった……誰がこんな事を」
そう言う帝の使いは、あの時見せた表情よりも険しく、悲しい表情をしている。
「誰って……」
急に、帝の使いの問いかけに答えるように声がした。
「僕たちに決まってるじゃないかぁ! ねぇ? ”こ~ちゃん”」
「そうね、”ぬこ”。……お久しぶり、ダメ狐。あら、そんなに怖い顔しないで? まだ旦那の事怒っているの?」
霊亀の爺さんと別れ、いざ行くぞと歩こうとした”あの瞬間”。
そう、あの時に感じた感覚と同じ気配が辺りを重く包みだした。
「──紺! 猫! 私の憎しみ・恨みはまだ消えていない! 今度こそお前らを殺してやる!!!」
今まで見せたことがない、帝の使いの口調・激高・怒号が、謎の人物達に向けられた。
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