第21羽 ~[妖/陽]の力~
ストーリー進行させようと思ったら、なぜか解説が入ってきて1500文字超えました。
「林! 現実逃避している場合じゃないぞ! 比内を全力で守ってくれ!! 俺は奴を!」
「う、うん。こっちは任せて!」
そう言い、林ちゃんが俺の方を振り返る。すると、林ちゃんの体が緑色の光に包まれて……。
「五行・木の陽! 柵-シガラミ-!」
その光が地面を伝い、大きな柵を作り、木と思える材質の物体に変貌した。
柵の間に触れようとすると、薄く緑色の膜が張られていた。実際は壁として役割しているのだろう。
「これが……”妖力”?!」
「ほーん、これがあの子らの力なんか、これは見事やわ」
スキルを使ったときも、俺が住んでいた世界とは違い現実離れしているとは思ったけど……そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。頭がどうにかなりそうだ……。どう考えたって、無から有が生まれているようにしか見えないぜ……。
例えるなら、そう! 魔法だ! RPGや映画で見るような、魔力がウンタラ~という奴。
この世界は、そんな理不尽で不可解な物で構成されているのか?
「こんな事で驚かれても困っちゃうなぁ……。おにぃは、もっとも~っと凄いんだから!」
「おいおい、そんなに褒めても何もあげないぞ……っと!!」
そう、妹と会話しながら敵の攻撃を軽々とかわしてい……ん? いや、そうじゃない!
敵の攻撃が雷の体をすり抜けている!?
「さて、お遊びはこの辺で終わりにしよう。五行・金の陽、堅-ケン-」
そう雷が言うと、彼の体が鉄のような金属の見た目に変わっていく。
全身が銀色に包まれた後、深く腰を落として拳を握り……。
「……あまり強い鳴き声を出すなよ、弱く見えるぞ」
一瞬ニヤリと笑って卯の顎を砕いた。ピニャータを叩いたかのようにあっさりと。
これで中からお菓子が出てきて、ドッキリでしたと言われた方が納得できるが……出るのは血飛沫だけだった。
「林、卯は片付けたから柵-シガラミ-を解いていいぞ」
「流石おにぃ! だけど、血生臭いから早く水で洗ってきて!!」
「わ、分かった。すぐ洗ってくる……」
そう、一種の哀愁を漂わせながらトボトボと川辺へ向かう今の雷には、さっきのような気迫はなかった。
「──なあ、林ちゃん。あれは一体」
「アンさん、あれは妖力や。今じゃそう呼ばれとるなぁ」
林ちゃんに聞いたはずが、何故か帝の使いが答えてくれた。
「ほら、火を起こすときに使ったアレ。半分外れと言ったやんな? それが妖力。アンさんが使うとる”スキル”ってのは、妖力を簡単に使えるように簡略化した物やさかい……やっぱ半分って所やな」
「凄い! 帝の使いさんって、思ってたとおり幻獣だったのですね!」
なんか、林ちゃんが目をキラッキラさせながら帝の使いを見ているけど……幻獣?
それって人間に殺されたって言っていた奴か?
「ま、まあ、そんな感じかんなぁ……。そ、そうや。アテは幻獣や。誰が何を言おうと幻獣なんや」
「お、おう。えーっと、話に聞いただけなんだけど……幻獣ってこの世界の前の世界で人間に絶滅させられたんじゃ」
と聞いてみると、凄い剣幕で顔を寄せてきた。怒っているようだが、正直かわいい。
「絶滅なんてしてませんよ! ちゃんとお爺さまが大切にって、あ゛っ……これは言っては」
「大丈夫や、帝の使いって便宜上名乗っとるだけやし、別にアテは帝の味方やないからな」
「そ、そうですか……なら大丈夫ですかね」
早まった鼓動を落ち着けるために、少し深呼吸をしてから林ちゃんが語り出す。
「えっと、私のお爺さま。”黄龍”様がひっそりと、幻獣達を人間の目の届かない場所に匿っていたんです。本当は全員を守ってあげたかったのですが、人間の反乱が想像以上に早く……助けられたのはごく僅かです。その僅かな幻獣達が繁殖していき、現在幻獣達は陽央全域で生息しています。そう言っても、数が猛獣より圧倒的に少ないんですけどね。ちなみに、一応私や兄も幻獣のうちの1人です」
なるほどなぁ……と聞いていたら、1つ疑問点が浮かんだ。林ちゃんも幻獣ってことは。
「林ちゃん、もしかしてだけど、俺が元人間って聞いてたりする?」
「はい、お父さまから聞いていますよ。過去に居た人間の話で不安に思われたかも知れませんが、比内さんは、過去の人間と違いますから。安心してください」
「そうなんだ……まあ、世界が違うもんな……そりゃそうか」
「おーい、林! ちゃんと血は流してきたから、風で乾かしてくれないか? 兄ちゃん風邪引きそうだ……」
そう、大きな声で手を振りながら雷が戻ってきた。うん、あのベトベトしてそうな卯の血はしっかり落ちている。小脇に抱えている服も、見た限り綺麗になっている。普段から自分で洗っているのだろう。
そんなことは、もうどーでもいい。重要なのは……”すっぽんぽんの裸”だということだ。
「おーい、り~ん! 早く妖力で……」
「お……おにぃの…………変態いぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!」
林ちゃんが生み出した突風は、兄の願い通り水気を吹き飛ばし……オマケに兄も一緒に遠くの方まで吹っ飛ばした。
そろそろ修行に入りたいけど、次の次になりますね。
今回お目にかけた妖力を、主人公の比内は上手く扱えるのでしょうか
P.S.
今後の予定として、チキ逃げ! [帝編(仮名)]終了後に設定を見直し、新編として第0羽から再スタートしようか思案中です。
8割方、その方向性でやろうかとは思っているので、終了した暁には新編もお楽しみくだされ。
新編では、今書いているストーリーを[帝編(仮名)]とし、[初代鳳凰編(仮名)]や[帝の使い編(仮名)]等の様々なストーリー展開を予定しています。
そう! そのストーリー展開用に! 1から練らなければ辻妻が合わせづらいのです!!
一応合わせるつもりで今も書いていますが、もっと上手い書き方ができるはずなので……。
相当先の話をしていますが、頭の片隅に置いていてくださいね。




