第20羽 ~ラビットサイズ~
あれからなんとか誤解を解き、早速修行を開始する流れとなった。
俺としては川原でもどこでも良かったのだが、2人が家に招いてくれるそうなので後をついて行く。
もちろん、動きやすく猛獣に察知されづらい人の姿に戻ってからだ。
2人が住んでいる場所は川下の小さな村らしく、親元(霊亀の爺さんが父親らしい)を離れ過ごす2人を、実の子どものようにかわいがってくれている人が多く居るらしい。
「そんな村に猛獣が入り込まないようにするのが俺と林の仕事だ。まあ、家も無償で建ててもらったし、そのお礼の意味が大きいがな」
「この辺は凶暴な虎や戌、そして卯が多く居るから。でも、見つけ次第村の食料になるんだよ」
「へぇ……ここって虎以外に猛獣が居るんだ。って、ちょっとまて。う、ウサギ? ウサギって……白くてモフモフしてて、耳が長い動物だろ? あんな可愛い動物が……猛獣??」
実際にウサギを生で見たのは、幼稚園の遠足だけだが……猛獣と呼べる存在でないことぐらい知っている。
犬は狼に近いだろうし、猫もネコ科繋がりで虎と同じだろうし理解できるが……だってあのウサギだろ?
「む、噂をすればなんとやらだ。比内、アレを見て見ろ!」
「ええーーーーーー!?」
俺が目にした者とは?!
「COOOOOOOOOOOO!!!!!!」
俺の背丈と同程度の大きさで、赤い目を爛々にし、鋭く尖った歯をむき出しにして威嚇する……”猛獣”その姿だった。
「もしかしてアレがウサギですかーッ!?」
「そうだ。比内が何の生物と間違えたか分からんが、アレが俺らの言う卯だな。どうだ? 倒しがいがありそうで心がぴょんぴょんするだろ?」
「し、しないわっ! こんなんと戦うなんて、明日をポイッと投げ出すようなもんだろ無理無理!」
俺の知っている虎は虎だったのに、なんで凶暴そうな見た目のウサギになっているんだよ!
え? 虎より怖くね? てか猛獣通り越して怪物じゃね? ど、どういうことだよ。
ダーウィンも自分の頭脳を疑う程の異常だってこれ。急に異世界感出てきても反応ができないわ!
「ああ、言っていなかったか? 卯は十二支と呼ばれる猛獣の中で三番目の強さだ。この程度の猛獣如きに臆しているようでは、今後が心配になるな……」
「ファッ?! あんな化け物が三番目?! も、もしかしてだけど……虎と同じで、十二支さんって複数体居るんですかね?」
「生物なんだから当たり前だろ? 何を言っているんだ比内は。ほら見て見ろ。比内がグズグズしている間に林が捕獲してしまったぞ?」
その、『唐揚げ1個残ってたけど、もう食べないみたいだったから貰ったよ』ぐらい軽く発せられた言葉に戦慄した。
化け物を一瞬で無力化していたのもそうだけど、あの女の子が? にわかには信じがたい事だけど……。
「あ、おにぃ。もしかして……比内さんに相手してもらった方が良かった?」
木で出来た、巨大な檻に閉じ込められている卯。そして、その側で微笑む林ちゃんを見たら……信じるしかないだろう。
「いや、ありがとう。まだ比内にはこのレベルでも脅威になると今分かったからな。戦わせていたら死んでいただろう」
「そっか……まだ妖力も真面に扱えないなら仕方ないよね」
絶対的な力の格差を見せられ、いや見ることすらできず……どうしたら良いって言うんだ?
鳳凰になるため強くなる・帝の使いの為に強くなると思っていたが、この差をどう埋めろと?
そう自問自答し落ち込む俺の背中に、強い衝撃が走った。物理的に。
「アンさん、そう気を落とさなくてええ! そんないきなりポーンと強なったら、それ以上成長できんよ。だから……これから徐々に強くなったら良いの。大丈夫、アナタは十分強いんだから」
そんなことを言う帝の使いに、「え? 今、口調が……」と言おうとしたけど、すぐ雷と林の会話に混じっていった。
「なぁ、林ちゃん。さっきまで居った卯は何処へ行きはった?」
「え? それならちゃんと檻の中に……あれ? 居ない?」
なにやら不穏な空気が流れ始めたが、嘘だよな? 檻の中をまじまじと見ても居ないのは嘘だよな?
「──おい、林。あそこに居るのは何だ?」
突如、雷が俺たちの後方を指さした。そこに居たのはもちろん。
「ヴェアアアア?! ウサギガニゲテル!!!」
「林! 現実逃避している場合じゃないぞ! 比内を全力で守ってくれ!! 俺は奴を!」
この後、俺は更なる力の差を感じることになる。スキルなんて比にならない、妖力と言う力による差を……。
最近気付きました。自分、ネタ(オマージュ)を入れないと死んでしまう病にかかっています。
P.S.
1年程待たせてしまっていたのに、あの時と同じように読んでくださっている方が多くて嬉しいです。
今後も不定期となってしまいますが、応援の程よろしくお願いします。
P.S.のP.S.
ここから、物語の核心へ迫っていきます。
自分の作風を知っている方は、心のご準備をよろしくお願いします。
P.S.のP.S.の追記
とはいえ、ギャグチックな雰囲気は度々書いていきます。書かなきゃ死にますんで。




