第19羽 ~力の格差~
(化人-ケニン- ──解除)
厖-ボウ-の時と同じように念じてみると、体が炎に包まれていき視界を覆う。
その炎は自分が発している物だからなのか不思議と熱くなく、不思議と懐かしい感覚がした。
「それがお前の……比内の真の姿か。鶏にしては良く鍛えているじゃないか」
炎が弱まり視界が晴れた……が、違和感を感じる。目線の高さが変わっていない?
解除されなかったのか? と思い、恐る恐る自分の姿を確認してみると……。
「なあ、雷。この姿が……鶏に見えるのか?」
確かに、羽やら体やらは見た限り”鶏”だ。紛れもなく”鶏”だ。だけど……身長が高すぎる。
厖-ボウ- を使ったときも確かに体は大きくなったけど、今の姿はスマートで……姿をしている。
「これ、鶏は鶏でも、鶏の化け物だろ。俺、少し前までは本当にただの鶏で」
自分も把握し切れていない現状にうろたえつつ説明をしたが、言い終わる前に雷が納得した表情を浮かべた。
「ほう……父様からの言付け通りのようだ。ということは──お前、父様の修行を受けたのか? よ、よく生きているな」
「修行って……虎三体と戦うアレか? 確かに死ぬかもなとは思ったけど、苦戦した訳ではなかったな」
そう俺が少し自慢げに言うと、満足そうに雷が笑った。
「おお、まだ生まれたての体で苦戦せず修行を終えたか。なら、帝が使っている言葉を借りるなら”スキル”と呼ばれる物の扱いには慣れているようだな」
「ま、まあ一応そうなのかな?」
そう答えた瞬間、俺の頬を何かがかすめた。
「その割には反応が遅いな……比内、お前が喋り終えた後から今の間に、最低でも10回は死んでいる」
耳元で囁かれ、反射的に飛び退いてしまった。目で見て確認するまでもないが、声の主は雷だ。
さっきまであんなに目を輝かせていたのに、今では呆れ果てた冷たい目線で俺を見ている。
「──申し訳なかった。俺、少し……いや、かなり調子に乗っていたな。そうか、まだまだ俺って弱いのか」
皮肉とか諦めの言葉ではない。俺は心の底からそう思う。
この世界で鶏に生まれ変わってから、悪運とも言うべき運が味方についてレベルアップし、あまり苦労をせずに強くなった。
強くなった力をどう使うかなんて、浅い知識をどうにか使って考えついただけだ。戦闘になれている者からしたら、非効率的な勝ち方だろう。
それなのに、俺は”鳳凰になる男”だともてはやされる現状に甘え、自分は強くなったと誤解して……。
「そう反省する必要は無い。実際、生まれたばかりで父様の修行を終えたのは賞賛できる。俺があの修行を達成したのは齢3つの時だしな」
「3つって……まだ赤ちゃんと言ってもおかしくない年齢じゃないか。確かに、この世界に生まれたのはつい最近だけど、前の世界では21年も生きていたんだ。比べた所で……」
「なら、強くなりたいか? 比内」
「え? それって……」
「修行を付けてやると言っているんだ。まだ基礎中の基礎しか知らないようだしな、このまま何も教えず送り出し、どこかで犬死にされたら父様に面目が立たないしな」
赤らめた頬を隠したいのか、うつむいて言う姿に(素直じゃないなぁ……)と思いつつ、好意に対して素直に感謝した。
「ありがとう。その好意に甘えて修行を受けるよ。俺は強くならなきゃいけないしな」
「せやなぁ、アテの為に強い男になるんやもんな!」
「帝の使いさんから、色々と話は聞きました。比内さん、応援しています!!」
いつの間にか話の中から外れていた女性陣二人が戻ってきた。女性同士、色々と話していたのだろう。
というより……アテの為って。確かにそれもあるけど、堂々と言わな……。
「え? 林さん、応援って何を?」
何か俺の考えている意味と違う気がして、恐る恐る聞いてみると……。
「え? 比内さんって帝の使いさんのことが」
「違う! 違う違う、帝の使いに頼まれたから頑張ろうって思っただけで」
そう答えた俺に向かって、帝の使いが気持ち悪い笑みを浮かべて。
「そんなアンさん、照れなくてもええやないか! アテは美少女さかい、惚れてもしゃーないわ! あっはっは!」
「ちげーよ! って、そこの2人! 本当に違うから……違うから!!!」
俺が慌てふためく姿を、3人は暫く笑っていた。
次回から修行編その2です。
主人公もそこそこチート野郎に育ってきましたが、雷はその上を行くチート野郎なのでしょうか? てか早すぎね?!
P.S.
ミニストップのXフライドポテトはいいぞジョージィ……。




