第1羽 ~比内鶏~
先に、第0話からお読みください。
そして、この話から”第一章”のスタートです!
「コケェ…… コケェ……」
(ああ、なるほど。俺はニワトリになったのか)
と、現状確認しながら少し歩くと。
「・・・コケェ?」
(で、何だっけ? 何をするんだっけ?
てか俺って誰だっけ? あれ?)
全てを忘れた。綺麗さっぱり跡形もなく。
その時、俺の頭の中に少年の声が響いた。
『うわぁ。こりゃ相当な鳥頭だねぇ。
よし、お情けで〝スキル〟を与えてあげるよ。
僕は、とてつもなく寛大だからね。
んじゃ後は、〝僕の部下〟が教えてくれるから。
バイバ~イ♪』
男の子が話し終わると、俺の脳が肥大化する
感覚をおぼえた……
その感覚が終わったと思ったら、続けざまに、
今度は女性の声がする。
〖帝様のお情け! 転生ボーナス!
※転生前の肉体での年齢が、レベルに反映されます。
比内(鶏)はLv.2になった!Lv.3になった!Lv.4になった!Lv.5になった!Lv.6になった!Lv.7になった!Lv.……〗
怒涛のレベルアップ通知を知らせる
女性の声に痺れを切らし、
「やっかましいわボケ! なんっ……回!言うんだよ!」
と叫んでみる。
(あれ?言葉が喋れるようになって……)
そう考えていると、
『そう怒らんといてや。アテも好き好んで
言うとるわけやないんや。堪忍な。
……ごほん。Lv.』
俺をなだめる様に言い、お知らせを再開しようと
話し始めた。
「いや、頭の中に響く声とかどうでもいいわ。
そんなん不思議がってもしょうがないしな。
……だからぁ。うるさいんだよ! とばせ! スキップ!」
そう怒鳴ると、頭の中の声(2人目)は大人しくなり、
『分かったわァ。要点だけ掻い摘んで説明します。
アンさんの〝死ぬ前〟の体の年齢と、同じ分の
レベルまで上げさせてもろたんよ。
まあ、レベル=強さの段階と考えてもろてええわ。
して、そのレベル数に応じて、肉体の強化。
まあ、〝強い種族への転生〟も行えるように……
なるんやけどなぁ』
「だけどなんだよ」
『アンさん、見ての通り〝鶏〟なんやけど、
次の種族になる為の要求レベルが〝Lv.15〟なんよ。
つまり…… もう転生できるんや。アンさん
21歳だったやろ? どうしはる? 転生しはるんか?』
(肉体の強化なら、デメリットも無いだろう。
やっておいて損は無いかな)
と、考え……
「そうするよ。誰だかわからんが、よろしく頼む」
『よし、では始めるわ』
俺は、目の前が真っ暗になった…………
■■■
『……その姿で使えるスキルは以上やな。
で、やっぱその姿ぶははははっ! アンさん、それぇ!
やっば笑えるわ! アハハハハ!』
「笑うなら笑え。こんな事だろうとは思ってた」
・・・転生は完了し、スキルの説明も受けた。
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NAME [長鳴 比内]
■■■ [???]
CIASS [地鶏]
RANK [E+]
LEVEL [21]
【SKILL】
脳力拡張(人脳) 帝の遣い
跳躍 疾走 啄-ツイバミ- 睨-ニラミ-
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・脳力拡張(人脳)
架空空間にある人の脳を、自分の脳として使い、
脳の回転、言語、記憶能力等を人並みにする。
・帝の遣い
帝様の手下を、自分の脳内に住まわせる。
様々な状況下で適切な指示をくれる。
・跳躍
跳躍力が上がる。
・疾走
速力がかなり上がる。(自転車並み)
・啄-ツイバミ-《固有スキル》
敵をつつく。そして、食べる。
・睨-ニラミ-《固有スキル》
睨みつける。相手をひるませる時がある。
と言った感じだ。
脳内に喋りかけてきた奴らの正体も、
スキルの内容で分かった。
でだ。問題は……
「鶏から地鶏って、美味さが
上がっただけじゃねーか! 鶏に変わりねぇよ!」
『ハハハハハ! いや、そう怒りなさんなや。
レベルが上がれば、ちゃんと強うなりはるから』
その言葉を信じ、とりあえずは
この状態を飲み込むことにした。
今回は、スキルの説明です。
これで冒険を始められそう……無理ですね。
次も説明回になりそうです。
P.S.
帝様の遣いの喋り方(京都弁)
間違ってるかもしれないので、先に謝っておきます。
間違ってても、古き人類語だと思って下され。