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CHICKE逃げ!!  作者: 阿羅修
第三章 《似てない兄妹》
19/24

第17羽 ~棺桶から産まれた木太郎~

早めに書けました。ここまで書けると、

あと2、3話ぐらいはペースが持ちそうです。


・・・・・・多分。

「もうちょこっとだけ続くんじゃ!」と、軽く悪ふざけのように呟いてみたが、不安が

拭いきれずにいた。爺さん……コウ 御院主(ごいんじゅ)に修行はつけてもらい、人の姿へ

変化(へんげ)する事が可能になったり、帝の使いが刀になったりはしたが……実践はまだだ。


「ってか、あの爺さん……もっと別れを悲しんでくれても良いのになぁ……ほぼ、

追い出された形だし」


そうぼやくと、いつの間にか狐っ娘へ変化(へんげ)していた帝の使いが、やれやれ

といった表情で、首根っこをつかんできた。

俺が「お、おい! なにすんだよ」と聞くと、その表情を崩さずに……。


「アンさん。向かってる方向、まったく真反対に行ってしもうてるよ」


と、静かに言われた。いつも通りの、俺らの日常。でも、ここに来てからの“非”日常

と言う名の日常は、アイツ(・・・)に作られた物で、その日常が続くかは、アイツ(・・・)の判断に

よる物だって、知っていたはずなのに……。


「あ、“こ~ちゃん”! アレ(・・)じゃない? アレ(・・)が“帝”くんが言ってた奴じゃない!?」

「そうなんじゃない? 見た目は“ぬこ”と同じくらいだけど……感じる妖気が貧弱ね」


いざ、壊れ始めると……頭が真っ白になって、何もできずにただ呆然と、壊れゆく

日常を眺めることしかできなかった。


俺には、相手の妖力の大きさを知る事なんてできないハズなのに、虫唾(むしず)が走るほど

気持ちの悪い妖力が、体を()い回る。その感覚が消えたときにはもう、

大小二つの人影は、山の木々に紛れ消えてしまっていた。


「い、今のは……帝の仲間か?」


未だに震えが止まらない体を抱くように腕を組みながら、帝の使いの方を振り向く。

でも、返ってきた言葉は……。


「アテは……あんな奴ら見たことあらん。と、思うわ」


と言う、曖昧なものだった。少し怪しく思い、ジト目で見てみると……帝の使いも

震えていた。顔が青くなっていた。彼女も、俺と同じように(おそ)れを感じた

のだ。なら、これ以上詮索する意味は無い。


「と、とりあえずアンさん。あっちにまっすぐ行ったところから、川下に降りて

行けば着くはずやから……はよ行こか」


「そうだな……一旦、さっきのは忘れるか。あまり深く考えても意味ないだろうし。

ただ今は……“強い男になる”事が先決だしな」


そう、ごく普通のことを言うようにサラリと言うと、「……せやな」と返してくれた。



■■■



「川について、下るなら川の流れに乗った方が早いという結論が出て、イカダを

作ろうとしたわけだが……」


作業量の割合として、俺 3:帝の使い 7。手先が器用ではない上に、この“人の体”に慣れて

いない俺としては、ありがたかったのだが……。


「なぁこれ、アレだぞ? 葬式の時に見たぞ? どう見たって棺桶(・・)じゃね? 死ねと?!

刀に変化(へんげ)したと思ったら、勝手に宙に浮き木を切り始めるから驚いたが……。

それでだよ、そんでから丁寧に板状にしてから作りぃ、仏の顔が見られるアレも完備させて

んじゃねぇーよっ!! ワザとやったろコレ!」


「ち、ちゃんちゃらおかしい事言いはるなぁ、アンさんは……。素材削減・作業量削減・耐久性

の全てを兼ね備えてると言ったら、この形しかないやんか。ま、まぁアテも作り終わってから

棺桶(・・)だって思たけど…………思いましたけどっ!!!」


狐っ娘の姿で棺桶[仮称]に腰掛け、縁をペシペシ叩きながら抗議してる姿に、少しカワイイと

思ってしまったが、今、その事は頭の“新しいフォルダ”にコピペしとく。って、そうじゃない!


「思ったんなら……少しぐらい改良しろよ!!! ったく、出来てしまったなら何言っても

仕方ないけどさぁ」


まあ、作業量3の俺が言えることじゃないが……それにしたって酷い。酷いけど、せっかく

作ってくれたんだし、口では色々言っても、ありがたく使わせて貰うが。とりあえず、上面に

備え付けられている出入り口[らしき場所]から体を入れ込んでみた。でだ。


「どうやって進むの? これ」


と、訪ねると……。ガタガタと棺桶(イカダ)が揺れ始め、大きな水音まで聞こえだした。


「アテが川に流すに決まってるやんか。流れ出したら、アテが刀になってアンさんと一緒に

イ・カ・ダに乗れば良いかんなぁ」


「そっか、なるほどな。全て理解した……。お前って意外と、馬鹿(・・)なんだな。()耳の癖に」



■■■



暫く、ウトウトしながら川を流れ、数時間が経った頃……。何かにぶつかったような振動と、

「アイタッ」という、聞き覚えがない少女の声が聞こえた。絶対、誰かにぶつかってしまった。

すぐに現状を確認しようと、棺桶(イカダ)から勢いよく飛び出してみると……。


「は、裸? …………もしかして、水浴び中とか、そんな感じだった?」


「ひっ、き……キャァアーーーーーーーー!!!! 誰か分かんない人のエッチィ!」


さえないメガネ少年と、お風呂好きの少女が織りなす、ラブコメ漫画のようなシーンのように、

俺は少女の裸を目撃してしまった。首元は、マフラー[毛糸じゃなく織物?]で隠れているが、

それ以外は全部見えている。これが漫画やアニメなら、不自然な光さんが働くが、俺の目には、

そんな機能は備わっていない。俺自体は、アソコから大事な部分まで丸見えだ。とりあえず、

悪気がないことを証明するために、浅い川に飛び込んでみる。ん? 何で飛び込んだし俺。


「ぎゃああああああああああああああああああああああ!」


そしたら、川に電流が流れ出し、(ゴミ)をどんぶらこ と流し始めた。

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