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CHICKE逃げ!!  作者: 阿羅修
第二章 《鳳凰山の老師・修行編》
18/24

第16羽 ~妖の力~

ネット環境亡くなりました。

お久しぶりです。詳しくはTwitterで。


戦うわけでもないのに、ずっと刀を抜いたままじゃ目立つので、とりあえず

鞘に戻す。炎の刀身は、俺の(ねん)によって消えるらしく、しまおうとした

段階で、鉄部分のみを残し、スッと消えた。


今までに無い、確実な”攻撃手段”を前に圧倒されるが、とりあえず今は

ボーっとしている時じゃない。帝の使いに聞きたいことが山ほどある。


「……帝の使い。人間の姿に化ける力を無理矢理引き出したのって、お前の

仕業なんだろ? それって、この刀……お前を武器として使う為か?」


そう、問いかけると。刀の持ち手……(かしら)の部分から、小さな尻尾が生え、

それと同時に帝の使いが喋り出した。


「それも訳やけど、もっと別の理由があってなぁ。なあ、クソジジイ。

アンタだったら、この姿の利点は分かるやろ?」


そう、話を振られた爺さんは、少し驚いた後に、わざとらしい咳と

腕組みをしてから話し始めた。


「そうだのぅ、利点だけ言えば結構あるのぉ。一つ言えることは、

”三霊神”級の幻獣……膨大な妖力(ようりょく)を持つ為には必要不可欠ではある。

ただ……私らのような、体が出来上がってる者なら良いのだが、(ニワトリ)……

お主の未熟な体じゃ、妖力を制御できずに、暴走してしまう可能性が

とても高かった。ただ、お主は……私が思った以上に、強かったという事だ。

ただ、一つ不安感が残る部分がある。スキルの中に、”不明”な部分があった

だろう。おい、狐よ。どういう事なのだ?」


「さてな。アテにも分からんよ。アテも昔から同じスキルを持っているん

やけど、何をしても明らかになることなんて無かったさかい、もう諦めたわ」


「ふむ、ならば”(アヤカシ)”関連であることは間違いないであろう。

……面倒な事になったな。(みかど)の奴が、悪さをしてなければ良いのだが」


そんな、小難しい話ばかり聞いた俺は、全く話しについて行けず、二人(?)に

「すみません、さっぱり分からないです」と正直に言うと、ため息交じりに

再度、馬鹿でも分かりやすく教えてくれた。



■■■



で、話を要約すると……。

[帝の使いは、狐の(あやかし)]

[膨大な妖力を使う・押さえるには、人の姿に化ける必要がある]

[スキルの■-不明-は、(あやかし)関連だから要注意]

らしい。最初っからこれだけを伝えてほしいものだ。


「で、結局……俺は、妖力を使えるようになったんですか?」


「まだ無理だのう」


一瞬で、俺の期待をぶった切られた。

(え、使えないの? 使える雰囲気だったじゃん……)としょげていると。


「まあ、修行次第だのぉ。だが、私からは教えられん。私のは、ちょいと

特殊な部類だからのぅ。……この山を越えた先、小さな集落がある。

その近くに、二人の兄妹がいるはずだ。その者達に教わると良い」


よくは分からないが、[私から教えられることは以上だ、さぁ行けぃ!]

という展開だろう。じゃあ、すぐにでも旅立たなくちゃな。


「鶏よ、少し待て。一度、荷物を持って本堂へ来い。私からの贈り物を

やろう。この先、必ず使うときが訪れる。……先に帰えっとるからの」


それだけを言い残し、颯爽と森を駆け抜け、爺さんは山を下っていった。

……それと共に、辺りから低いうなり声が聞こえ始める。


「なるほど。そういう事か……。よし、逃げよう!」


俺は、すでに虎なんて目じゃないほど早く走れるのに、それすら忘れて、

とにかく全速力で寺まで走った。



■■■



「えっと、風呂敷と……いつの間にか外されてた鉄爪(てつづめ)っと。これで、荷物は

ちゃんと持ったな。って……てか、荷物少ないなぁ」


床に並べ、遠足前日の小学生のように準備をしているのだが……。

遠足に行くときより荷物が少ない状態に、自分に対してあきれてしまう。


「アンさん、まだ産まれて1週間も経ってない事、忘れてるん?」


「あ、忘れてた」


鶏になり、虎から逃げて、虎から逃げて、虎を戦って、虎と戦った。

今までに無いスリリングさを味わってきたからか、時間感覚が相当狂ってる。

ってか、俺の数日……虎関連ばかりだな。なに? 前世、虎に何かしたっけ?


「ま、まあいいや……。とりあえず行ってみるか……貰えるもんは貰いたいし」



■■■



「遅い! 準備だけで何分待たせるつもりだ! お主はアレか? 近頃の

女子(おなご)かのぉ!?」


本堂の戸を開けた瞬間、爺さんの怒号が飛んできた。


「ちょ、ちょっと待て爺さん。それはちょっと違うぞ……」


と、返した後、すぅ~っと深く息を吸い込んでから……。


(おんな)は“昔から”支度が遅い」


「んなこと、どうでもええよ…………」


呆れ顔の帝の使いに同調するように、爺さん (話の現況)がウンウンと頷く。


「で、(ニワトリ)よ。……ん? 今は“(ヒト)”と言った方が良いのかのぉ。まあ、

いいわ。お主が、“神狼(じんろう)村”の村長から買い付けた風呂敷・鉄爪を、一旦私に

預けてくれんかのぉ」


「あ、はい。分かりまし……ん? なぜ、村長から買い付けた事を知っているん

ですか……?」


「そうなるように、私が(あらかじ)め準備したからに他ならないのぉ」


(元・神の側近は伊達じゃないって事か……)と、改めて爺さんの凄さを

実感しつつ、俺は言われた通りに爺さんに手渡した。


「ふむ……おお、ロウの奴(・・・・)め、こんな上質な布を……。物は充分だのぉ。」


まるで、某・鑑定番組の鑑定士の如く品定めをした後、帝の使いに

「“アレ”を頼めるかの」と言うと、何度も同じ事を言われてきているかのような

振る舞いで、「はいはい、持ってくるわ」といい、本堂から出て行った。


「……そういえば爺さん、一体何を始める気で」


「なあに、ちょっとだけ“造って遊ぼ!”するだけだのぅ」


と、話している間に、バタバタとした足音が聞こえ始め……。


「持ってきたわ。ほれっ」


帝の使いが、扉をバチコーンと開け、それと同時に“何か”を爺さんに放り投げた。


「ほっと。そうそう、これよ、(りゅう)(ひげ)。あまり使いたくはないが……

仕方ないわ。……よし、造り始めるかのぉ。鶏よ、よく見ておくようにの」


「はい!」


「これを……こうして……こうじゃ! よし、出来た! “蓬莱(ほうらい)の薬入り首飾り”~」


「いや、全くわかんねぇーよ!! QPでももっと詳しくするわ! って……。

本当に、どうやって造ったのですか……?」


と、爺さんに聞くと、帝の使いが軽くため息をついて。


「アンさん、これはジジィの“スキル”さかい、マネしようと思ても無駄なんよ」


「な、なるほど……。で、爺さんは俺に何を造ってくれたんだ?

蓬莱のなんたらって言ったけど……」


「使うときが来たら教えてやるわ。四六時中・肌身離さず、首から掛けておく

ようにの。」


そう言われ、慌てて爺さんから首飾りを受け取り、首に掛けた。

すると、爺さんが俺の姿をじぃーっと見てから……。


「よし、忘れ物はないのぉ。では……さっさと出て行けぇい!!!」


「あ、ああ……はい! お世話になりました!」


長く、短かったような修行の日々は、爺さんの大きな声で終わった。


「なぁ、帝の使い。方向合ってる?」


「こっちのはずやわ。さ、さっさと行くかんなぁ」


そして俺たちは、また新しい一歩を踏み出し始めた。


「俺たちの冒険はこれからだ!!!」

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