第11羽 ~意外な現実~
8/8 追記
11羽と12羽を合わせました。
文字数が、これで良くなったかな?
「どうした? ……帝様の事を悪く言われるのが嫌なのか?」
そう俺が問いかけると、軽く首を振るだけで、何も答えずに居た。
「……そっか、分かった。お前が言いたくないなら聞かないでおくよ」
そんなやりとりをしてると、爺さんが渋い顔をしながら。
「ほう、鶏。そこの化け狐に何を吹き込まれたのか知らんが、かなり信頼してるようだのぅ。まぁ、私は何も言わん。此奴を信頼して困るのは、鶏。”お主だからな”」
確かに、爺さんの話を全て本当だとするなら、帝の使いを名乗っているこの”狐っ娘”は、危険な存在なのかもしれない。ただ……
「どうしても、コイツの事…… 悪く思えないんですよね。実際、悪事を働いたわけじゃないですし。それに、俺はコイツに言われたです。”俺を死なせはしないから、必ず強い男になってくれ”って。俺が、これから 鳳凰を目指すとしても、その側には、帝の使いがいなきゃダメなんです。その…… だから…… 御院主さんも、コイツの事を完璧に信頼しなくてもいいんで、不信感は持たないでやってください。もし、俺の読み違いなら、俺が”死ぬだけ”なんで」
俺が長ったらしくそう言うと、険しい顔が少し緩み、あきれた様子で。
「そうか。こっちも、命かけられては黙っているしかないわい。まあ、私の方でも、此奴の事を少しはよく思えるように努力しよう」
「そうですか…… ありがとうございます。あと……」
チラッと帝の使いを見て。
「自分のこの体じゃ無理なんで、帝の使いを縛り上げている縄を解いてやってください」
爺さんが、(そういえばそうだった)みたいな顔をしてから、パチンと指を鳴らすと、帝の使いを縛り上げていたはずの縄は、スルスルと解けていった。
「あー、えっと。なんて言ったらいいか分からんけど…… これからもよろしゅう」
そんな、帝の使いの言葉に唖然とした俺は。
「っえ? シリアス展開まだ続いてた? もう暗くなってる時じゃないっしょ(笑)」
「んんえ? いっいや、今まで重要なこと言わんくて、まだ言えんこともあるさかい…… そんなあっさり言われても、こっちの気が収まらんわ」
「この鶏…… いや、”鳳凰候補・最後の一匹”と言った方がいいか? この者がそう言っているんだ。”過去の事件”を全て水に流すことはできぬが、化け狐がここにおっても、私からとやかく言うことはできん。勝手にしてればいいわい」
「ありがとうなァ、爺さん」
「誰が爺さんじゃ、全く……」
不機嫌そうにそう言った爺さんの瞳は、まるで孫娘を見ているときのようだった。
■■■
「で、そういえば…… 御院主さんって何者なんですか? さっき、直接触れずに縄を……」
「そういえば、まだ言っておらんかったのぉ。私は、”三霊神の一柱、元、五霊神であり、神の側近…… 蓬莱山の 霊亀”と言う。と言っても、今はしがない仙人だがのぉ。これから、お主を”鳳凰としてふさわしい幻獣”に育て上げてやるから、覚悟するようにのぉ」
俺は、その話を信じられなかった。
仙人が名乗った名前は、帝の使いに教えられた昔話に出てきた
霊亀と言う、神の使い…… いや、”神と同じ域の幻獣”の名だからだ。
「お、お冗談を……」
「いや、本当なんよ。こんのジジィこそ、元神の側近。不死の老人、 霊亀なんよ」
否定しようとした瞬間に、帝の使いにきっぱり言われてしまった。
「ほう、私の言うことが信じられないようだのぅ。なら……」
そう言いながら、仙人は床に正座して。
「試してみるかの? ほら、かかってこんかい!」
――構えも防御もとらず、ただ正座しているだけ。こんな状態で、かかってこいと言う。
それは、圧倒的強者 故の余裕。俺ごときに負けないという”決定事項”。
(この仙人、やっぱ本当に……)そう思った俺は、仙人に向かって走り出した。
(跳躍、瞬足、第六感!!)
神狼村へ行くまでに使った、加速コンボ。まあ、さすがに厖-ボウ-は
使ったら身動きし辛いから使わないが。だけど、この3つを掛け合わせれば、
加速状態からの啄-ツイバミ-による攻撃、そして、瞬時に回避。そう、”本来ではありえない”
スピードでのヒット&アウェイが可能になる。格ゲーの初心者が上級者に挑むなら
この方法でしか勝つ方法がないと言える。これなら……っ!
「啄-ツイバミ-!!!」
「技名叫びながら攻撃出すとか、アホだのぉ」
ぺしっ、っと頭を叩かれただけで、俺の意識は飛んでしまった。
■■■
「いててて……。み、認めます、認めますから――殴らないでください!」
「な、殴らないわボケ! ……ただ少し小突いただけだしのぅ」
俺が気を失ってから、別の建物( 庫裏と言うらしい)に運ばれた。
今は、鶏の体に釣り合わない、ヒト用の大きな布団の上で、休んでいる。
帝の使いはと言うと、俺の自己回復能力を高めるためとかで、俺の頭の中に入っていった。
「――お主が私に攻撃を出す際に分かったが、なかなか筋がいいのう。ま、まだまだ鍛えなきゃならんけどのぉ。そう、時間はかからんだろう」
『本当なん、ジジィ?! なら、次の転生も早いかもしれんなぁ……』
頭の中で、帝の使いが 煇々として仙人に言うが……。
頭の中心から大きな声で言われているのだ。
「ちょ、頭ガンガンするから、あんま大きな声出さないでもらえます?!」
『おっと、すまんな。でも、本当に良かった…… このジジィに認められるほどでなきゃ、 鳳凰なんて夢のまた夢やしなァ』
「ほんと、この狐めが…… ジジィ、ジジィと…… 今更言っても直らんだろうし、
もういいけどのぅ。とりあえずお主よ、今は休め。長旅で疲れも出ているであろう。
十分に疲れがとれたら、直々に 稽古をつけてやるわい」
ネガティブなのは直さなきゃですね。




