第9羽 ~亀の仙人~
村長が教えてくれた場所は、俺がこの世界に 鶏として目覚めた山から
ちょうど反対方向にある山だった。山の 麓から直線距離で5か6km程。
まあ、計りなんてないから大体だけど。そんな距離を無心で歩くのももったいないので
思考を巡らせながら進んでいく。
(村長が用意してくれた鉄爪…… この世界の文明を考えて、ハイスペックすぎる。
なんか、”情報記憶合金”? とか言ってたし。いや、現代日本でもまだ新しい方の
技術のはずだろ! この世界は不思議なことが多すぎる。そもそも、帝って……)
そんな事を考えつつ、スタスタと歩いていくと、意外と早く山の 麓まで着いて
しまった。
「なんや、アンさん。そないに急いで進んで。急いでもいい事無いんよ?」
急に、帝の使いに声をかけられ、慌てて歩みを止める。
「……っえ? 俺、そんなに急いでたか? ただ普通に」
「そないやったら、どうして” 瞬足”なんて使うん。アテが何度呼びかけても、なかなか答えてくれんかったしなァ」
そんなつもりはなかったのだが、いつの間にか”早く強くならなきゃ”という気持ちが
高くなって、無意識に急いでしまったのか。
「ごめん、心配させちゃったな。んじゃ、”普通に”歩いて行く……っ!!!」
そう、普通に歩こうとしたのだが、運命というのは残酷だ。いつも俺に試練を
与えてくる。そう、今の状況のように……
ズコォ…………
「あ、アンさん。そないな古典的ボケは要らんて。フフッ」
木の根っこに足を引っかけて、壮大にすっころんだ。
■■■
「か、体中が痛ぇ。てか、折れてる。絶対折れてる。これじゃ空も飛べないわ」
「いや、空飛べんのは最初っからやないの。何言うとるん。さ、男なんだからシャキッと歩き!」
「も、もう無理。マリカしよ…… って、ん? アレは何だ!」
俺たちが発見したものとは?!
「ほう、まだ形残っとったんか。ま、あの爺さんやたらと綺麗好きやしなァ」
「……で、アレ何?」
「何って、 寺院に決まっとるやないの」
良質な木で作られた門構え、その奥にはこぢんまりとしているが、存在感のある
木造の建物が見えた。もう、現代日本には存在しないはずの完全木造の寺院。それは、
ある意味ファンタジー感ある建築と言ってもいいだろう。
その、現実からかけ離れた建築物だから圧倒されたのか…… もしくは。
「ほほう、鶏が迷い混んでしまったか。ここは虎がよく出る。早く 寺に入りなさい」
その建物から出てきた、この爺さんのせいか。
仏教徒だからか、歳だからか分からないが、髪の毛は生えていない。
その代わりのように、長くのびた白髪の 髭が生えていた。
服装は、修行僧又は仙人のような服に、亀の甲羅のような凹凸がある 鎧を着ている。
それは、仏が身につけているような、強い神秘性があった。
っと、驚いている場合ではない。この人が誰なのか聞かなくては。もしかしたら、
自分の助けになってくれるかもしれない。
「あ、あの。貴方がここの 御院主さんですか?」
「……ほう、しゃべる鶏か。 干支幻獣の一匹がなぜここにと思うたが、なるほどのぅ。また、 帝の悪ふざけが始まりおったか」
(話がかみ合っていない、と言うより…… この老人、勝手に自分の世界に入っていったぞ)
「……ふむ。ならば、この鶏の 頭に居るのだろう? 出てこんか、帝の使いよ」
老人の声に反応し、俺の頭から半透明の”何か”が出てくる。
それは、見覚えがないはずなのに、最近見たかのような錯覚におちいった。
「う~ん、最近は 比内はんの中に居たから、体が鈍ってしゃあないわァ」
銀髪の髪を腰まで伸ばし、その腰には大きな尾が九本生え、頭には動物のような耳が付いていた。
動物的要素があるものの、高校生ほどぐらいの女の子と大差ないような背格好だ。
ただ、胸はでかい。その体に、 巫女装束を身にまとっている。
そして、出てきた時と同じように、服も含めたその全ては、半透明になっている。
「……え、どちらさん?」
いや、もう話の流れ的に誰かは分かるのだが、思わずそう言いたくなった。
だってそうだろう。いつも頭の中に居た存在が、いきなり外に出てきたと思いきや、
” 狐っ娘”だったなんて、どこのラノベだよ。
「いや、いやいやいや。アンさん、話の流れで分からんかったの?」
「分かるわボケ! いや、聞きたくなるだろ普通。てか、出られるならそう言えよ最初に!
いきなり出てきて心臓飛び出るかと思ったわ!」
「でも、そこの”ジジィ”が出てこいと言うてから出てきたんやし、いきなりでも……」
「おい、私をジジィとは…… 貴様、殺されたいんかのぅ?」
「ま、このジジィはどうでもいいんよ」
「いや、良くないだろ! なんか荒ぶる鷹のポーズしだしたぞ! ぜってぇ殺される!」
そう言っている間にも、「コォォォォ……」と、気を練るような呼吸をしている。
てか、何? 知り合い? 仲悪いの? 何でそれ言ってくんなかったの?!
「死にさらせぇええええええ!!!!」
「「ぎぃやああああああ!!!!!」」
帝の使いと、巻き込まれてしまった俺は、亀の仙人によって 粛正されてしまった。
三ヶ月以上放置していました。
今は色々あって、活動を再開していますが……
いつ休載になるか分からないので、ご了承をお願いします。
P.S.
この小説だけで考えたら4ヶ月ですね。
あっという間に過ぎましたが、自分の中で
様々な事が起きました。伝えられる日が
来るのを待っていてください。
P.S.のP.S.
ブックマーク数30突破しました。
減っていくか心配ですが、減らさずに
待っていてくださった人達もいますし、
その人達のために書こうかなと。
一番は自分のためですが。




