第8羽 ~下っ端村長~
帝の遣いの話に大層驚いたのか、二人は固まっていた。
てか、サクラちゃんの方は、気絶した後眠ってしまったようだ。
(って、ちょっと待て。鳳凰って確か……)
そう、俺が考えたのを読み取ってか、俺にだけ声が聞こえるように、
『本当の真実は教えないのが、奴さんらの為やろ。
勿論、アンさんに伝えた話も嘘かもしれんよ?
ま、そう真実からも離れてないんやけどな』
と、至極全うな答えを言った。
「な、なるほど…… ワシらが知っていた話は、間違っていたと。
この話、村の全員に伝えておきますじゃ」
あ、村長のロウさん。復活したんだ。
と思った矢先、ロウさんがいきなり血相を変えて……
「……あっ! 申し訳ありませんじゃ。そんな重そうな荷を
持っているのに…… どうぞ、荷を下ろして、くつろいでくだされ」
俺を見ながら、ロウさんがそう言った……
って、重っ! 意識すると重たっ! 村長様が気絶した時、厖-ボウ-
を解いてたからか。
結構、限界近かったので、急いで
「じゃ、遠慮なく置かせてもらいますね」
と言いつつ、首をブゥンと振り、その勢いで荷を背中から前方へ回し、半場
前へ投げ飛ばすように、結び目を首から離した。
その荷を見たロウさんは、いきなり目を輝かせはじめた。
もう、欲しいおもちゃを見つけた少年のように。
「こ、これは”虎の皮”! な、中には何が?!」
「見ていいよ」と俺が言うと、急ぎつつ丁寧に結び目を解き、
中を確認しはじめた。
「虎の爪に牙まで!? まさか、一匹で虎を?! これ、譲っては」
くれませぬか? と聞かれる前に
「いいですよ。この村で売り飛ばすつもりだったし」
と答えると……
「ほ、本当ですな?! なら…… 金貨五枚出しますじゃ!」
『安い。十五枚出しなさい』
ロウさんの提案に、三倍の量を帝の遣いが言った。
って、ロウさんが白目むきながらタンスをガサゴソしてるよ!
もうやめたげてよぉ! と思いつつ、
「ロウさん! やっぱ十六枚がいいです!」
俺は更にボッタくるのであった。
■■■
「んじゃ、金貨を十枚渡すんで、俺用の鉄爪を用意してくれませんか?」
その言葉に、金貨を握りしめて「行って来ますじゃ!」と、
勢いよく家を飛び出して数十分後……
「比内様…… 買って…… 来ました…… じゃ」
肩で息をしながら、ロウさんが鉄爪を持って帰ってきた。
「基本的な鳥の幻獣用の鉄爪ですじゃ。この鉄爪は、”情報記憶合金”
が練りこまれているらしく、比内様が巨大化しても、
そのサイズにピッタリあうサイズになるはずですじゃ」
まるで、不良の下につく使いっぱしりのようになっている。
「お、お疲れ様です。あと、さっきの金額はノリで言っただけなんで、
金貨はすべて返します。俺は、自分の装備が揃えられればいいんで」
そう俺が言いながら金貨を渡すと、『アンさん、甘いなぁ』と帝の遣いに
どやされてしまった。
「それでは、こちら側が得をしすぎに…… で、では……
風呂敷を持って行ってくだされ。丈夫で破れにくい、高級な
物を用意いたしましょう」
俺から金貨を受け取った後、家の奥から綺麗な柄の風呂敷を
持ってきてくれた。
その風呂敷を手渡すと同時に、ロウさんが
「これからの予定はお決まりですかな? もし、決まっていないなら、
鳳凰山と対をなす山…… ”蓬莱山”に行かれては
どうですじゃ?」
と、助言をしてくれた。
『蓬莱…… 丁度ええな。 アンさん、はよ行こか!」
まあ、特に行き場所も決めてなかったので、
ロウさんの助言通りに、蓬莱山へ向かうことにした。
なんか、帝の遣いも乗り気だし。
「色々とありがとうございました。では、俺はこれで」
と言いながら、俺は村長のロウさん宅を後にした。
いや、使いづらいからそうしたわけじゃなく、
進行的なアレで…… ロリコンの人、すみません。
P.S.
次回から、第二章に進展します。
第0話を序章、ここまでの話を第一章に
変えたいと思います。
※6/29 追記 この話までを序章に変更しました。
P.S.のP.S.
第二章では、主人公にある変化が?!
お楽しみに!




