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地獄世界のヘルヴェルト  作者: 生獣屋 芽怠
第十四章 彼の地にて集結せり
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彼女の証明

 思い掛けない再会でまこちゃんが帰って来た、しかも以前の彼女とは別人レベルで変わっていた。

 横世界の観測者である原初の皆川真が色々と助けてくれたとのことだ。

 原初モードや千里眼などゲートを使いこなす過程で派生したスキルだと言う。


 もう足手まといにはならないと言った、強い意志が籠もっている瞳が頼もしい。

 だが俺の正直な思いは、彼女に危ない目にはあってほしくない。


 そんな思いはとっくに彼女にバレていた。


「しゅーはさ、私は戦うべきじゃないって思ってるでしょ?」


「……ああ、正直に話せば後方にいてほしいって思ってる」


「うん、そうだと思った……じゃあさ、特訓の成果を見てもらえるかな? 原初ちゃんが協力してくれた私の努力と根性の全てを……模擬戦で証明するよ」


「俺が……まこちゃんと模擬戦……」


 そんな事考えたことも無かった、模擬戦とは言え彼女と戦うなんて。

 俺が知ってるまこちゃんは戦う人ではない、模擬戦と聞いて躊躇してしまう。


「しゅー、お願い……」


 懇願する彼女、その瞳の奥に垣間見える光は決意を感じさせる。

 ああそうだな、こうなったまこちゃんは梃子でも動かない。


「…………分かった、手加減出来ないぞ?」


「うん、ありがとう」


 力の証明、そこに手加減なんてものはまこちゃんの気持ちに対して失礼になる。それに、本気で戦ってどこまで出来るのかをちゃんと知らないといけない。

 これからの戦いは壮絶になるだろうから。


 マギサとフェルトは黙って距離を取り俺達を見守っている。


 皆川真と対峙する、妙な緊張感があるな。心の底では戦いたくはないと思っているが、戦わなければ彼女の力を知れない。

 ならばやるしかない、そう決意し結晶の碧を発動させた。


 まこちゃんも原初モードを使う、色が変わり身体が引き締まっていく。


「行くぞ!」


「はい!」


 先手必勝、右手に氷の結晶を生成、彼女へ向け射出する。狂いなく対象へ向う結晶は豪速球よりも速い。


「視界孔!」


 結晶が向かう先に小さなゲートが開いてその中へと消えていく、心の中で驚くが隙かさずに続けて結晶を連射する。その数は六、広範囲に突き進む。

 彼女はその攻撃を紙一重で避けていく、右へ左へとステップ刻みながら。まるでアスリートの様な身体能力で攻撃が当たらない。

 氷は地面、木々に当たり結晶を刻む。


 動きを捉えるだけでも一苦労だ。

 遠距離は当たらない、ならば接近戦を仕掛ける。彼女の身体を結晶化させて無力化させる、冷気を右手に纏わせて前進する。


 それに合わせるように、彼女は視界孔と呼ばれる小さなゲートを自分の前方の空間に五つ縦に配置する。そこに足先を掛け、まるでハシゴを登る要領で彼女は空中へ。


 ゲートをハシゴにするか、面白い使い方だ。

 だが、空中だと飛べない限り動きが制限される。結晶の弾を空中の彼女へ向かわせた。


 しかし視界がぶれて標的を通り過ぎる。


 何が起きたのかと冷静に分析、俺の左足が視界孔の中に入っていた。

 成る程、左足を踏んでいた地面に視界孔を展開、そして脚を落とし身体のバランスを崩したのか。

 視界がぶれるのは道理か。


 その隙を逃すまいと上空から彼女が落ちてくる、避けるのは困難だった。

 彼女との距離がゼロになろうとしていた、向こうは蹴りを食らわせる気だ。


 ならばと紅の帰還を発動した。


 むこうがゲートを使うならこちらもゲートを使うまで。


 彼女の後方へとゲートを繋げ瞬間的に移動する。

 眼前に着地し、驚き声を上げる彼女を捉える。後頭部目掛けて結晶を発射、当たっても平気なように空洞がある結晶の塊だ。これなら怪我させずに済むし遠慮なく攻撃も出来る。


 しかし結晶を一度も見ることなく頭を動かして攻撃を避けた、まるで後頭部に目がついているかのような動きだった。


「あれを避けるのかよ!」


「私の千里眼はゲートから見える景色を観れるんだよ、だから展開した視界孔は解除してない!」


 そうか、彼女がハシゴとした視界孔が目の役割をしているのか。なら俺が何処にいるのかすぐに分かるわけか。

 空中に目が浮いているようなもんだ、攻撃だけじゃなくてこう言った使い方も出来るのか。


 彼女は身体をこちらへと向ける。


 視界孔、確かに万能で恐ろしい力だ。対象が視界に入っていれば猛威をふるうだろう。


 ならやることは一つ。


 右の手の平に結晶を作る、弾丸として飛ばすものではない、薄く広く光を反射させる鏡へと加工する。

 ヘルヴェルトの上空に赤々と燃え上がる太陽の光を反射させ、彼女の目に向かわせた。


「あっ!」


 眩しさに堪らず目を瞑った、しかしこれだけでは駄目だ。ハシゴとして残っている視界孔へも光を反射させた。

 これで俺の位置は分からないはず、紅の帰還を使い彼女の真後ろへゲートを作り瞬間移動する。


 このまま結晶の碧を叩き込み動けなくする、俺は彼女の肩に手で触れた。


 結晶の碧を発動させる刹那、彼女は俺の手首を掴み、しゃがんで背中を俺の胸に密着させた。そのまま腕を引き、尻を上げ前方へと投げ飛ばした。


 驚愕したまま地面に叩きつけられた、呼吸が一瞬止まる。


 その隙を逃さずに彼女は俺の上に馬乗りとなった。


「……柔道の技だな、びっくりしたよ」


「これは高校の後輩、柳刃ちゃんに痴漢撃退用に教えてもらった技だよ! やった、しゅーを倒したよ!」


「凄いな、こんなに動けるなんて思いもしなかった……努力したんだな」


「うん、凄く頑張ったんだ」


「さすがまこちゃんだな、惚れ直したよ……そうだ、聞きたいことがあるんだけど」


「え、何?」


「男の人の鎖骨が性癖なの?」


 質問すると顔が真っ赤になる彼女は可愛らしかった。


「え! え! ち、違っ! 違うよ! そ、そそ、そんな事ないったら!」


「鎖骨に水溜り出来てたらぐっと来るんでしょ?」


「ひゃあ! だ、誰がそんなこと言ったの! 違うから! 誤解だから! 私そんな変態さんじゃないから!」


 動揺して否定を繰り返している、図星なんだな。


 さてと。


「ごめんまこちゃん、もっと動揺している可愛らしい姿を見ていたかったんだが、時間稼ぎが終わった」


「へ? ひっ!」


 彼女はうなじに違和感を感じた、それはそうだろう氷が触れたらそんな声が出てしまう。

 馬乗りにされた瞬間に右手から細長いヘビのような氷の結晶を俺の身体を死角にして這わせ、彼女の背中に回り込ませてうなじをつついた。


 結晶の碧の氷を操る力だ。


「まこちゃん、油断したら駄目だぞ? 俺が軽口言ってる時って時間稼ぎしてるんだからさ、それに捕らえたからって気を緩めない!」


「うっ……ごめんなさい」


「ま、これは引き分けだな。動きを封じられてるからな……」


「……でも本当ならこの氷で相手の喉を貫いているんだよね? それか首を絞めて窒息させる……私の負けだよ」


「じゃあ俺の勝ちってことで。でもまこちゃんの努力はちゃんと俺に届いたぞ? ……凄いな、この力で俺を守ってくれるんだろ? じゃあ俺も力を尽くしてまこちゃんを守るよ」


「それって、私も戦っていいの?」


「無茶はしないでくれ、約束できるか?」


「うん、できるよ!」


「じゃ、約束だ」


 こうしてまこちゃんとの模擬戦は終わった、めちゃくちゃ強かった。

 視力に頼った戦闘だけど、それを塞がれた時の対処も出来るなんて万能だな。


 これなら初っ端に空中に視界孔を展開させておけば全体を把握出来るし、様々な場所に展開させておけば敵の動きはバレバレだ。


 後で聞いたが対象を視界孔に入れて閉じると切断出来るらしい、ならさっきの戦いがもし命を賭けたものならば俺が負けていた可能性が高い。


 これは認めるしかないな、まこちゃんのこと。


 馬乗りしているまこちゃんがどいてくれてようやく動ける、起き上がり結晶の碧を解いた。

 するといつも感じている疲労感がなく、まだまだ余裕で動ける体力に驚いた。

 あの実がちゃんと効いていると証明出来たな。


 良かったと呑気に思っていたらまこちゃんにほっぺをつねられた。


「痛たたたたっ!」


「しゅー! わ、私がさ、ささ、鎖骨を好きだなんて誰に言われたの! 誰にもバレないように必死に隠してきたのに!」


 視線をマギサに向ける。


「同じ皆川真だから多分そうだって言ってたぞ?」


「マ、マギサさん! しゅーに変な事言わないで下さい! 私そんな変態さんじゃないですから!」


「いいえ! 貴女は立派な変態よ! 私がそうなんだから! 鎖骨たまらないでしょ? 水溜り出来てたら最高でしょ? それに……舐めたいって思ってる! 我慢出来なくて鎖骨を舐めてしゃぶりついちゃう、それがトリガーとなって暴走しちゃうでしょうが! 貴女の本質はSなんだから!」


「ひゃああああっ! そんな事ないもん! しゅー違うからあああ!」


 同じ存在ってこんな時は困りものか、知られたくないことも知り尽くされてるもんな。

 涙目になって恥ずかしがるまこちゃんは可愛らしい。

 フェルトはよく分からない感じでマギサの横で毛づくろいをしていた。


 秘密を暴露されたまこちゃんはマギサとの模擬戦を提案した、暴露された怒りか、それともただの八つ当たりか。

 マギサは了承し二人が戦うこととなった。


 結果から言えば実戦の経験の差からマギサに軍配が上がる、だがとても良い勝負だった。

 序盤は視界孔でマギサを追い詰める、その後シュバルツミストを広域展開させ視界孔を塞ぎ、千里眼を封じた。

 しかし高い身体能力と柔道を組み合わせてマギサを翻弄、いいとこまでは追い詰めたのだがミストを広域展開した瞬間にまこちゃんの服に侵入させております、それを動かし動きを封じてしまう。一歩及ばすだった。


 だがマギサを追い詰めるなんて凄いな。


「ふふっ、やるわねそっちの私、冷やっとした場面が沢山あったわ」


「能力の使い方が上手いですね、黒い霧みたいな技を私の服の中に潜り込ませてたなんてびっくりしました」


「そっちの私は実戦経験が少ないけど機転を利かせるのが上手いわ……精進すれば私を越せるわよそっちの私…………んーー、それにしても貴女の呼び方がそっちの私じゃ言い難いわね」


「お! ならまこちゃんの新しいニックネーム考えてやるよ! そうだな、まこぴー、ちゃんまこ……うーーん、そうだ、まこまこってどうだ! 可愛いだろ!」


 我ながら傑作だ。


「ま、まこまこ……まあ佐波くんにしてはまともなネーミングかもね、じゃあまこまこで」


「ええ! ま、まこまこ、ですか? 恥ずかしいんですけど」


「でしょうね、言ってる私も恥ずかしいわ……まあでも区別しやすいわ。と言うわけでこれからはまこまこよ! よろしくねまこまこ!」


 言われた方も言った方も照れていた。


「喧嘩終わったーー?」


 退屈そうにしていたフェルトはやっと終わったと目を輝かせていた、喧嘩ではないがフェルトにとって模擬戦も喧嘩も同じようなものなのだろう。


「模擬戦は終わったよフェルトちゃん、ごめんね放っておいて」


「いいよーー、聖女様ならずっと待ってるーー!」


 そう言いながらフェルトはまこちゃんへと駆け出して飛び付いた。喉を鳴らしながら彼女の胸へと誘われていた。まこちゃんが頭を撫でてやるとご満悦だった。


「……良いな、俺もまこちゃんによしよしされたいな」


「佐波くん、私がよしよししてあげようか? ちょっと撫でる場所違うかもだけど」


「え? 何処撫でるんだよ」


「下半身、男の人の……」


「不意打ち痴女するな!」


 油断も隙もない。


 ようやく騒ぎが収まり俺達はフェルトの家へと戻ってきた、床に座りまこちゃんの膝の上にフェルトがうずくまる。

 羨ましそうに見詰めるマギサと俺。理由は別々である。マギサはフェルトをよしよししたい、俺はまこちゃんによしよしされたい。


「フェルト、まこちゃんの膝の上さ、俺に譲らないか?」


「いやーー! 聖女様のここはあたしのものーー!」


「ちょっだけいいだろ! まこちゃんのそこは俺の場所でもある!」


「ちょっと、何言ってるの! 恥ずかしいことばっかり言って、しゅーは本当に変態さんなんだから……そう言うのは二人きりのときに言ってよ」


 確かにそうだな。


「分かった、良しマギサとフェルト、ちょっと2時間くらい外出ててくれよ、密室で二人きりになりたい」


「嫌よ、するなら見ててあげるから気にしないで?」


「なんの話ーー? あたしも見るーー!」


「ちょ! 見ないで! と言うかしゅーも変な事言わない! なんか久し振りに会ったら知能指数低下してない?」


「まこちゃんに会って馬鹿になったかもな…………あ、そう言えば聞きたいこともう一個あったな、原初ちゃんだっけ? なんかテクニックを学んだ的な話をしてたけど何の話?」


「うっ! その話は人がいない時にしてほしいんだけど……」


 顔が噴火でもするかの如く赤々と染め上げていく、なんのことがわからなかったがこの話題にピンときた人物がいた。


「……まこまこ、原初の私ってどんな存在?」


「え? えっと……横世界で一番最初の私で、自分大好きの重度のナルシスト、自分好きだから私やマギサさんも大好き……後、特技とか能力とか皆川真が習得できるものは全て扱えるってとこかな」


「成る程成る程……テクニック、話の流れ……まこまこの反応……原初の私の特性…………ははーーん、まこまこったらスキルだけじゃなくてそんな事まで習っちゃったんだ、佐波くんこれから大変だね?」


 なんの話だ?


 マギサはまこちゃんの隣に行って肩に手を掛けた。


「ほら、お姉さんに言ってご覧? テクニックの内容……そうよね、愛する人を喜ばせたいものね?」


「な、何を言っているのか分からないです……」


 赤面しながら否定するまこちゃん、だがマギサはなにやら嫌らしい笑みを浮かべていた。


「そうね、まこまこ風に言えば……スキル、夜伽ってとこかしら?」


「ひっ!」


 なんだろう小声で話してるから良く聞こえないな、二人で何を話しているんだ? 


「ほらほら、言っちゃいなさい? 大丈夫、佐波くんにはバラさないから」


「あ、あう……」


 あれ、まこちゃんの頭から湯気が出てきたような?


「そ、その……一回外出ましょう、ここだと恥ずかしいです」


「良いわ、何処までもお供するわよ?」


 フェルトに待っててと言って二人は外へ出て行った、一体なんなんだ?

 数分後帰って来たのだがまこちゃんが顔を手で隠しながら現れるし、マギサは神妙な表情で真剣だった。


「まこちゃん……?」


「し、暫く、話し掛けないで……」


「むむ……まさか習った内容、もしその通りなら……まこまこは私以上になるわ…………佐波くん、御愁傷様かも」


「あのーー、俺蚊帳の外なんだけど……マギサ、なんで俺を憐れみの表情で見詰めてくるんだよ」


「……ま、改善された体力なら…………頑張ってね佐波くん、その内分かるわよ、嫌でも」


 本当に訳が分からなかった。


 数分経ってやっとまこちゃんが元に戻ったが話の内容は全然教えてくれなかった。

 フェルトは待ち疲れて白い綿の上で丸まって眠っていた。


「……マギサさん、色々あってすっかり忘れてたけど、原初ちゃんとお話しませんか?」


「話できるの?」


「はい、私の手に触れてください、そうすれば原初ちゃんの声を届けられる……彼女、貴女に謝罪したいって言ってました、助けられなかったからって……」


「……そう、なら話を聞いてあげなきゃね」


「しゅーも話してみる?」


「俺も良いのか?」


「うん、大丈夫だって原初ちゃんが言ってるよ……私の手を掴んで?」


 俺とマギサはまこちゃんの手を握った、すると手が虹色に輝き始めた。


『あーー、あーー、聞こえている? こちら始まりであり、数多の彼女を介する観測者、果てしなき合わせ鏡の唯一なる存在、原初の皆川真……そんな訳でまーちゃんから色々聞いてると思うけど、私のことは原初ちゃんって呼んでね!』


 頭の中に声が響く、これが原初ちゃんの声か。


『精神改善の応用で声を伝えてもらっているのだけど聞こえてる?』


「あ、ああ、聞こえているぞ?」


「ええ、聞こえているわ」


『それは良かった……それにしてもまーちゃん意外とお話するって久し振りでちょっと緊張してるよ。マギサちゃん、佐波峻くん、初めまして、と言うか可愛い私に囲まれている貴方に軽く殺意を感じちゃう程羨ましいのだけど! はぁ、まーちゃんもマギサちゃんも可愛い……さすが私、素晴らしい……私に囲まれるなんて最高過ぎる! はぁ、はぁ、私可愛い私可愛い!』


 なんか暴走しているのだが、もっと神秘的な感じをイメージしていたので面食らってしまった。

 後半はなんか危ないやつだなこれ。


「原初ちゃん、暴走しないの!」


『おっと、これは失礼。取り敢えず真面目にお話するから……こほん、マギサちゃん、貴女に謝罪したいの……貴女が悪魔にされた日、私は貴女の瞳を通して悪魔の存在が私達を脅かしているのに気が付いた、助けたかったけど何も出来なかった…………本当にごめんなさい、貴女に過酷な運命を強いる羽目になってしまった』


「……原初ちゃん、貴女は悪くないわよ、悪いのはあいつらなんだから気に病まないでほしい。でもそう思ってくれるのは貴女の優しさね、その気持ちは嬉しく思うわ…………私は悪魔レイスを殺す、必ず殺す……タイムリミットが迫ってる、余裕がなくなっていくから周りが見えなくなるかも知れない、そんな時に助けてくれれば有り難いわ」


『分かった、必ず助けると今ここに誓う。まーちゃんに頼ることになるけど協力してほしい』


「うん、お手伝いするよ!」


「……ありがとう」


 三人の話を聞いているだけだが俺もマギサを助けたいと思っている、俺を命懸けで守ってくれた恩もあるしな。

 それに同じ皆川真なんだ、彼女には笑っていてほしい。


 大事な話は終わり後は三人でかしましくお喋りをしていた。


「そう言えば原初ちゃん、まこまこにテクニックを教えたらしいけど……精神体である貴女はそう言う経験ってあるのかしら?」


 またテクニックの話だ、なんのことなんだろう。


『身体がある頃に経験したよ、そういう事に興味は普通にあったからね……まあ相手は幼馴染の子でね、その子なら良いかなって……いっぱい勉強してね、技を磨いた…………そしたらその技に耐えられなくなってその子は私から離れていっちゃった、ちょっと寂しかったかな』


「そうだったのね」


『ちょっとだけ凹んだけど、ま、私は私が一番だから大丈夫だったな…………あ、ごめんなさいね佐波峻くん、私達だけで話して』


「いや大丈夫だ、まこちゃん達の会話を聞いているだけでも楽しいものだぞ?」


『貴方は本当に皆川真が好きなのね……まーちゃんの事、大事にしてね? そしていっぱい優しくしてあげて、悪魔共にきつい目にあわされた、それを乗り越えてここにいる……いっぱい甘やかしてね、お願い』


「……分かった、任せとけ」


 まこちゃんは少し恥ずかしそうに視線を天井に反らしていた。


『まーちゃんも私が教えたテクニックを駆使して頑張って!』


「そ、その話はもうやめてよ!」


 本当になんの話なんだよ。女同士の内緒話なんだろうな、なら訊かない方が良いか。これい以上は彼女達の会話の邪魔だと悟り俺は手を離した。


「まこちゃん、俺は地獄王に君がいた事を知らせてくるよ」


「うん、分かったよ。私はここにいるから何かあったら呼んでね?」


「ああ、了解した」


 フェルトの家を後にし村外の騎士団が駐屯している広場に向う、取り戻すと決意した最愛の彼女はここにいる。

 こんなにあっさり再会するとは思わなかったがそういうこともあるのだろう、魔王にさらわれたお姫様を助けに行く話は一回で充分か。

 今度は武器を手に取るお姫様の魔王に挑む話が始まるって訳か。


 ならお姫様にお供して戦おう、彼女を辛い目に合わせた悪魔は許さない。


 その決意をし、俺は地獄王の元へと向かった。



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