白樹にて侵食する黒蟲
危機とは今の現状を言うのだろうか、現段階では固唾呑む事しか出来ない歯痒さに苛立ちを覚えた。
白一色の森に黒い点がザワザワと蠢く気持ち悪さが鳥肌を生む、悪魔ロゼリアの下部たる黒き蟲が幹に枝に葉にと異色な黒で染め上げていく。
そいつらが這う度にガサガサと不快な和音を響かせ鼓膜を舐めるかの様に震わす、気色が悪過ぎる、それだけでも我慢ならないのに目の前にはロゼリアがいる。
まこちゃんを痛め付けたこいつが憎くて憎くてしょうがない。今直ぐにでも殴り掛かりたい焦燥をなんとかなだめる。
下手に動けば蟲共に狙われるし、ロゼリアの右目が待っているのだ。
奴の右目と視線がぶつかれば精神世界に介入されてしまう。そうなったらゲームオーバー。蟲に右目、くそ、厄介だ。
ロゼリアはやらしい笑みを俺に向け放つ、勝ち誇った者が見せる表情だ。つまり完全に舐められているのは明白、しかも欠伸までもするとは本気で相手にされていない。
怒りが決壊しそうになるが我慢だ。冷静に現状を見極めないと。
四方八方蟲に囲まれている、頭上は? ちらりと上へ視線を送りながら見ると案の定蟲だらけ。完璧に囲まれている訳か、くそ囲まれているって事が最初から分かっていたらその前に戦いやすい場所まで逃げたのに。
今更後悔は無意味、戦うしかない。
結晶の碧は最初から発動していたから素早く氷を作れるだろう、果たしてこいつに通じるのかは分からないが。
とにかくいつでも攻撃出来る様にスタンバイだけは忘れない。
後は相手の出方次第だ。
「キヒヒヒヒヒ、どうしたのその他、顔色が真っ青だし! キヒヒヒヒヒ! 怖いのかな? 恐ろしいのかな? 蟲達が一斉に飛び掛かって今にも食いちぎられそうで震えちゃってるの? キヒヒヒヒヒ!」
「……相変わらず癇に触る笑い声だな、一体何を企んでんだお前らは、ヘルヴェルトで何をしたいんだ!」
「キヒヒヒヒヒ、何でそんな事を教えないといけないの? ワタシらの勝手だし! まあ偶然お前を見掛けたからちょっかい出しに来たんだよ? 有り難く思って欲しいし……キヒヒヒヒヒ!」
偶然だと? 本当にそうなのか? だってヘルヴェルトは広大だ、聞いた話では人間界よりもこっちは更に広いとスミスが言ってたぞ?
そんな場所で王宮に現われたメイディアと言い、ロゼリアと言い……出来過ぎてないか?
確かにこちらから奴等を探してはいるがこうもあっさりと見つかるなんておかしいと思う。こいつの事だ、この疑問をぶつけたって喋りはしないだろう。
「ん? 何その疑う様な目は? 何か納得してないのその他?」
「……ロゼリア、お前俺を監視しているのか? 多分……メイディアがまこちゃんの居場所を教えて俺をずっと見張っているのか?」
真実を聞き出す会話テクニックを持たない俺は真相に近い事を突き付けて相手の反応を見る事にした。
そうすれば傲慢なこいつならもしかしたら……。
「キヒ、キヒヒ、キヒヒヒヒヒ! 凄い凄い、良く気が付いたねその他! 人間のくせに良く気が付いたね! そうだよ、ずっと見張っていたよワタシ! キヒヒヒヒヒ、皆川真は王宮で守られてて攻め込めない。だったら同じ人間のお前を見張って機会を伺う事にしたんだよ!」
良かった、勝手にベラベラ喋ってくれた。
しかしそうだと言うのならば妙な話になってくる、機会を伺う為に見張って来たのなら何故今になって姿を現わしたのか、と言う疑問が浮上するのだ。
見張る以上ターゲットに見つかるなんて言語道断だ、それなのにこいつは自ら気配を漂わせてあっさりと出て来た。
「見張るなら出て来ちゃダメなんじゃないのかよ」
「何で?」
「何でって……まこちゃんを拐う機会を見張りながら待ってるなら出て来たら意味が無いだろうが、見張る俺に気付かせたらもう見張る意味が無い」
「キヒ、キヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ!」
嫌な笑いを高らかに散布するロゼリア、それは馬鹿にするかのように。
「キヒヒヒヒヒ、その他ぁ、お前勘違いしてるよ」
「勘違いだと?」
「別に見つかっても見つからなくてもどっちでも良いし……お前はこう思ったの? 何らかの企みで姿を現わしたって、思ってんでしょ? キヒヒヒヒヒ、違う違う、ワタシはただ……お前をからかいに来ただけだし」
からかいに来ただけ? 何だよそれ意味が分からないぞ。見張っていなきゃならないんだろ? それなのにからかいたいだけで姿を晒す?
訳が分からない、こいつは何を考えていやがるんだ。
「キヒヒヒヒヒ、馬鹿だなぁその他、お前難しく考え過ぎだし! 大体見張っているなら姿を見せてはならないって論法は組織とか軍隊とかお前らのルールだろ? ワタシはただ好きな事をしているだけだし……他の奴は知らないけどワタシはただ楽しみたいだけだし! キヒヒヒヒヒ、人間が苦痛に歪む顔が見たい、見たくて見たくて堪らない! キヒヒヒヒヒ、その他ぁ、お前が苦しむ姿がワタシの糧、全て、存在意義だし! ワタシはただ苦痛に歪む人間を見たいだけだしぃいいいいいい! キヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ! ワタシは人間が大っ嫌い! ここにはいない、だったらお前で遊ぶしか無いじゃん! キヒヒヒヒヒ!」
歪んでいる、やはり悪魔か。それに分かった事がある、それは悪魔達にとっても俺達にとってもこいつは問題児だって事だ。
ロゼリアは人間が嫌い、だから俺にちょっかいを出しに来やがった。
人間界で戦った巨人の様な悪魔、確かリーゼスだったっけ。そいつは子供に手を出さなかった、そしてこいつは人間の苦痛に歪む姿を求めている。何か闇を抱えている? 悪魔なのに何故か人間味を感じるのは気の所為か?
「キヒヒヒヒヒ、それで? 黙り込んじゃったけどもうお喋りはお終いぃ? で、どうだった? お話の中でワタシをちゃんと分析出来たぁ? キヒヒヒヒヒ!」
こいつ、分かってたのか。無駄話をして相手の情報を得ようとしていた事を。それに乗って無駄話に付き合ってたのか。
「皆川真の記憶を覗いた時にお前の事を良く調べたよ。お前勉強は出来なくても状況判断能力に長けてるよね? まあ使いどころでは全然役に立たないけど戦闘では話は別、キヒヒヒヒヒ、優秀優秀……でも、あくまで一般人と比べた場合だし」
不快な笑い声に紛れて蟲共が蠢く、鋭い殺気が辺り一面を埋め尽くして緊張感が高まる。今にも飛び掛かってきそうな殺気を蟲一匹一匹から刺される様に感じた。
つまり無駄な話はここまでだと言っているも同じ、冷や汗が額を伝う。
「キヒヒヒヒヒ、そう言えばさぁこの森面白いよね? 鋼の様な固さを持った木、だけど柔軟性も高い。そして葉の一枚一枚がまるでナイフみたいに鋭くて……キヒヒヒヒヒ、良い事考えたし!」
不意に頭上からざわめく蟲の音が鼓膜を殴り付けるかの如く震わせた。
次の瞬間、数枚の葉が落下を開始し俺に降り注いだ。
直ぐに前へと飛び回避する、数秒前にいた地面には大量の葉が地面にのめり込んで悍ましさを覚えさせられた。避けなかったら今頃穴だらけだ。
「キヒヒヒヒヒ! 良い反射神経だし! そらもう一回!」
更なる葉の雨が追撃、それも何とか交わす。恐らく蟲に命令させて葉を落としているんだろう。しかし条件は同じ事を忘れているぞ。
氷の弾を作り出してロゼリアへと向かう放つ。案の定それを避けるが素早く奴の頭上に弾を打ち込む。
すると葉がロゼリアに降り注いだ。最初の攻撃は囮だよ。
「キヒヒヒヒヒ」
だが、それを難無く回避。
「ハッズレ~! キヒヒ、ゲームしようよその他! どうせ逃げ場は無いんだから付き合ってよ、葉を落として相手に当てたら勝ち、もちろん直接攻撃だってOK! 勝ったら逃がしてやっても良いよ~? キヒヒヒヒヒ」
「ふざけるな!」
「ふざけてないし、……まあ勝手に始めるから、じゃ始め!」
途端、頭上に這い回る蟲が木々を揺らし葉を次々と地面に投下させて行く。止まっていたら的にされる、素早く前方へと駆け避けるが追撃が迫る。
逃げる先に合わせたかの様に次なる葉が落下を開始、それも避けるがまた葉が。こいつ蟲に俺が逃げる先に葉を落とす様に指示を出しているらしい。
根比べって訳なのか? 俺の体力が無くなるか葉が切れるか。
しかし頭上に根付く葉は空を隠す程の密度、どうやら体力が先に切れる恐れがあるらしい。だからと言ってただ逃げ回るだけじゃ終われない。
素早く氷を頭上へ放ちロゼリアにも落とす。もちろん直接攻撃も敢行するがあっさり避けられてしまう。
「何処狙ってんだか! キヒヒヒヒヒ!」
葉を避け、氷を飛ばす。それの繰り返し。
俺は避ける事にばかり考えていたら重要な事に気が付いた、これは時間を掛ければ掛ける程ヤバイゲームだと言う事に。
葉が落ちるとどうなるかと言う点に注目すると自ずと答えが出て来る。至極当然刃の如き葉が落ちれば地面に突き刺さる、今も遠慮無しに落ちて来ている訳だが、このままでは地面が刃だらけになり逃げ場が無くなる。
時間が経てば経つ程逃げ場が限定されて行き、終いには動けなくなる。
持って後数分か。
「キヒヒヒヒヒ! ほらほら逃げないと刺さっちゃうよ! おっと! その他の攻撃何か当たらないし! キヒヒヒヒヒ!」
「くそ!」
攻撃が当たらない、葉も止まない、逃げ場が無くなって行く。
どうする、ここは気温が高くて密室では無い為、絶氷空間は無理だ。ただ湿気が多いから氷をジャンジャン作れるのは幸いと思うべきか。
何とか策を練らないと。しかし困ったな、せめて周りの蟲共が居なかったら良かったのに。
「キヒヒヒヒヒ、頑張るねその他ぁ! よ~しその功績を称えてワタシが良い事を教えてあげるよ、感謝しなよ?」
「はぁ、はぁ……い、良い事だと?」
「そうそう良い事良い事! 耳を澄ましてみなよ、そうすれば分かるし……キヒヒ」
何を考えているんだロゼリアは、攻撃の手を休めて教えるものとは一体? 罠か? まあ良いさ、今の段階では逃げ回るしか出来ないんだ、一時だが体を止めて休める。
聴覚に意識を集束させた、すると今まで不快だった蟲達の蠢く音がしない。動きを止めているらしいが、まさかこれを教えたかったのか? 何の為に?
いや、ちょっと待て、何かが聞こえる。何の音だ?
ここではない別の場所から生じる異音。
この音、まさか……。
「……戦闘音?」
「大正解! ここから少し西の方と南からかな、戦闘音が聞こえるでしょう?」
待て待て、西と南、つまりは二つの場所を示している訳だ。
もしかしたらこの戦闘音の正体はあいつらの?
「リリリとミラエルが戦っているのか!」
「キヒヒヒヒヒ、ロリっ子と女騎士が戦ってんだよ? さて、くえすちょん、一体あいつらは何と戦ってるんでしょ!」
「地獄の住人か?」
「ぶ~! ハズレだし、ダサ! キヒヒ、ワタシは優しいからヒントをあげるよ。もうここの森には既存していた生物は居ないんだよ? あ、もうこれは答えか」
既存していた生物は居ない、じゃあ今戦っているのはもしや“こいつら”か? 周りに腐る程に這う蟲の大群が視界に飛び込む。
「キヒヒヒヒヒ! そうだよ正解! あいつらはワタシの蟲と戦ってんだよ!」
「……ち、ちょっと待て、既存していた生物は居ないってどう言う事だ!」
「分からないの? 何だやっぱりその他ってただの馬鹿何だね、キヒヒヒヒヒ! 既存していた生物はみんなみんな……蟲の胃の中だし! キヒヒヒヒヒ! この森全てにワタシの可愛い蟲ちゃんをばらまいて全ての生物を襲わせて食っちゃったしぃいいいいいい! 獣の巨体に張り付き皮膚を食い破って中身を美味しそうにピチャピチャと食ったんだよ!
想像出来る? 体内に侵入されて中で動き回り悪寒と悍ましさを振り撒きながら激痛を伴う気持ち! キヒヒヒヒヒ! 痛いよ痛いんだよ! 中身がドンドン減って行く、苦痛に頭を掻きむしる! キヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ! みんなみんな食べた! カラッポになっても大丈夫、ちゃんと皮も食わせたから森は綺麗だよ! キヒヒヒヒヒ!」
「テメェ……やっぱり悪魔だ」
「はぁ? 悪魔だってちゃんと認識してたんじゃないの? キヒヒヒヒヒ、まあいっかそんなのは。つまりさ、お前がもたもたとしているとあの死神と騎士食べられちゃうんだよ? さっきから逃げてばっかりだしゲームはもっと楽しまないとね! だからタイムリミットを追加だよ、数千の蟲を相手に二人が殺られたらタイムリミットでゲームオーバー、キヒヒヒヒヒ、それにもうすぐこの場所は葉っぱだらけになって踏める場所も無くなる。さあ続けようよその他ぁ、ゲームを続けよ? キヒヒヒヒヒ!」
状況が悪化しやがった。いや、悪化させられたとの表現が正しいか。もうちまちまとしたお遊びには付き合っていられない!
いくらあいつらでも消耗戦は辛い筈だ。死神と騎士とは言え女性だ、人間とは違うがやはり体力的に不利だ。
やるしかない、絶氷空間を。しかし条件はそろってはいない為完全なものは不可能。湿気は申し分無いが密室では無い。だが氷を放ち続け木々に張り付かせ徐々に広げさせて気温を僅かだが下げた。
つまり一瞬だけなら絶氷空間が使える。だがどのタイミングでどう使うかがポイントになってくる。
「どうしたんだよその他ぁ! 反撃しないの? もしかして諦めちゃったぁ? キヒヒヒヒヒ!」
再開されたゲームでは思考を優先させロゼリアへの攻撃を休めていた。逃げながら考える、止まったら死ぬ、死んだら誰があいつらを助けるんだよ。
死んだら……まこちゃんを悲しませるだけなのは明白だ。
こんな訳の分からない奴に訳の分からないゲームで殺されたら七代までの恥だと思え!
「キヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ! チェックメイトだし!」
走り回り、攻撃を避け続けた末に終着点が決まったらしい、地面全てが刃たる葉が突き刺さった状態。
もう一歩も踏み出す事が出来ない、等々周り全てが葉によって支配され身動きを封じられた。
「キヒヒヒヒヒ、呆気なかったねその他ぁ、後一手で決まっちゃうし、キヒヒヒヒヒ……どうしようかな、葉っぱを落としてみるのも面白いけど、そのままにして仲間が殺られて行くのを待たせるってのも有りだね……キヒ!」
「はぁ、はぁ、はぁ……ぐっ、くそっ!」
「ん~悩むなぁ、でも簡単に殺したらつまらないし……あ、そうだ、面白い事考えたし! その他ぁ、ワタシの言う事を聞いたらあの二人を助けてやるよ?」
こいつ何を考えている? 一体何をさせようと言うのだろうか? ロゼリアの事だ、苦痛を感じるものには違いないんだろうな。
「その他ぁ、ズボン脱げよ」
「何?」
「キヒヒヒヒヒ! ズボン脱いでパンツも脱いでオナって見せろだし! キヒヒヒヒヒ、そうしたらあいつらを助けてやるよ~! キヒヒヒヒヒ! あ、それとも別のが良いかな? あの二人の内のどちらかを選んでお前が犯すってのは? 犯した方を助けるよ? キヒヒヒヒヒ、それか全部服脱いで裸踊りでも良いよ? 大切な部分は手で隠したらダメだよ? キヒヒ、さぁどうする?」
こいつ変態じゃないかそんな事を提案して来るなんて、無論全部パスだ、さてとそろそろここから脱出しようか。
タイミングが無かったが今なら自尊心と優位な立場が隙をもたらす筈。
その時を待つんだ。
「変態め、……じゃあお前が全部脱いでくれたらしてやっても良いぞ? オカズが無いとやりにくいしな」
「はぁ? ワタシの体を見たいっての? キヒヒヒヒヒ、ダメだよダメ、お前何かに見せる訳ないし!」
「はは~ん、さては体に自信が無いんだな? あ~悪かったな変なお願いしてよ、そりゃあそんな幼児体型じゃあ見せたくないのは無理は無いな、悪魔でも成長しないんだなぁ、いやいや俺が悪かったよ……このまな板娘」
「お、おお、おおおおおお前ぇえええ! ワタシの体が幼児体型でまな板だと! ふざけるなだし! ワタシは幼児体型じゃなくて可愛い系だっての!」
こりゃあ驚いた、こいつ体の事を気にしていたのか。
もしかしたらこれで突破口を開けるか?
「だったらその可愛い系の体を見せてみろよ、あ、別に無理には言わないからな、お前の名誉の為にさ」
「ふ、ふざけるなだし! ふざけるなだしぃいいいい! ああ分かったよ! 見せてやるよワタシの可愛い体を見てテントを張らせるが良いさ!」
そう断言をし怒りに我を忘れた手が自身のズボンに手を掛けて下ろしてしまう。するとピンク色をしたイチゴの絵がプリントされたショーツが姿を現わす。
何か可愛い下着が出て来たな、俺はてっきり黒い下着かと思った。と言うかいきなり下から脱ぐか普通?
「どうだその他ぁ!」
「どうって……子供っぽい体で子供っぽい下着じゃ逆に萎えるぞ。やっぱり成熟した女性じゃないとな、だから人妻……おほん、何でもない、とにかくそんなんじゃ無理だ無理」
「ふざけるなだしぃいいいい! ああもう! なら見せてやる! 見せてやるんだからぁあああだしぃいいいい!」
すかさずショーツにまで手をやる、若干頬が赤いのはやはり恥ずかしいのか? まあこのまま見ていたかったが今が一番のチャンスだと判断を下した。
「……劣化、絶氷空間!」
攻撃目標は周りを囲む蟲の軍団だ。一瞬で、たった一度の絶氷を与える。すると綺麗に巨大な氷のドーナッツが出来た。
俺は葉を避けて逃げる間に端の方へとなるように逃げていた。つまり今、周りは固まり端にいるのなら。飛び越えられる。
素早くジャンプし、蟲の氷を越えて走り出す。
「どうだその他ぁ! ショーツを脱いでやった……ああっ! に、逃げたなぁ! ふざけるなだしぃいいいい!」
ようやく気が付いたか、蟲を固めて逃げるまで何秒も掛かって無い筈だからな。とにかく逃げ道は確保した、とにかくリリリとミラエルと合流しなければ。
先ずは一番近い戦闘音の方へ走るしかない。そこにいるのはリリリかミラエルか。
黒い大群を連れて追っ手が迫って来る、捕まる訳にはいかない。




