三人組
息が切れる、貪るかの如く空気に噛み付きながら心臓を急かし、働かせた。
足に疲労が絡み付き上げるだけで一苦労なのだ、しかし動かし続けなければいけない。
追う存在があるのだから。
「はぁ、はぁ、くそ!」
巨体なそれは見るだけで怖気に支配されてしまう。
ああもう嫌だ、何でこんな奴が現れた?
「何をしておる! 戦わねば死ぬだげじゃぞ下衆が!」
「そうですようミラエルの言う通りですよう!」
「ミラエルじゃと? 呼び捨てかガキ?」
「うううーーっ! ごめんなさいですようミラエル……様! リリリはうっかりさんですよう!」
喧しい、“上”で何を騒いでいるかは知らないが俺は今大がいっぱい付くピンチ何だぞ。
くそ、何でこんな目に合わなきゃならない!
赤き空の下、地平線と呼べる砂漠に似た赤き大地を踏み締めて俺はあるものから逃げている。簡潔に述べるならあれは巨大な蜘蛛である。4、5メートルはあるか無いか、白色の蜘蛛が追いかけて来るのだ。
「来るな来るな来るな来るな来るな来るなぁああああああ!」
「下衆が! それが最後の一匹じゃぞ!? さっさと仕留めぬか!」
「変態しゅんにはいい気味かも知れないですよう、逃げ惑うしゅんを見ていると……ゾクゾクしちゃいますですよう!」
リリリ、後で覚えていやがれ。しかし何故こうなったのか、それは俺達三人での初仕事での出来事。
赤き砂漠と呼ばれる場所に地獄の住人達が暴れ回っていると情報を掴み、調査及び鎮圧の為に出向いた訳だ。どうやら屍を邪悪な存在が操り暴れさせていた様で殲滅をミラエルが決定し、戦った。
問題無く片付けていたのだが、こいつは厄介な相手だった。
「何故戦わぬ! それでも男か!」
「お、俺は、俺は……俺は蜘蛛が大っ嫌いなんだああああああ!」
蜘蛛が苦手なんだ俺は、昔からあれを見るだけで怖気に襲われてズタズタにされてしまう。
小さな蜘蛛でもダメなのにあんな巨大なのは無い! しかも追いかけて来ると思うだけで発狂してしまいそうだ!
上空より背中に翼を生やしたリリリとミラエルが俺と蜘蛛の戦いを観察している。見下すミラエルとあざ笑うリリリ、ちくしょうミラエルはともかくリリリに馬鹿にされるとは腹立たしい。
「お、おおお前ら見て無いで助けろぉ!」
「べ~! 人妻スキーしゅんはそいつにペロリと食べられれば……面白い展開になるんですよう!」
「て、テメェ!」
「馬鹿者か貴様は! 良く聞け下衆、手を貸さぬのは下衆の力を見る為じゃ! どれ程の戦闘力を兼ね備えておるのかを見極めねば指示がしにくくなるわ! だからそ奴と戦い儂に下衆の力を示せ!」
無茶を言わないでくれ、だって相手は蜘蛛だぞ蜘蛛! あんなのと戦えと言うのか。蜘蛛嫌い、蜘蛛嫌い!
「蜘蛛嫌いだあああああああ!」
「軟弱者め、それで良くあの女子を守ると吐かしたのう! あれは偽りか!」
「男に二言は無い、それを貫くのが漢なんですよう!」
「ぐっ……」
女にここまで言われて黙っている俺じゃない、例え相手が蜘蛛でとしても逃げてはならない戦いがある。
良いだろう、戦ってやる、蜘蛛がなんだ、俺は、俺は……。
「俺は男だあああ!」
叫びを木霊させながら振り向き結晶の碧を発動させ、氷の弾を練成し放つ、それは蜘蛛の顔面にヒットし氷が張り付く。その影響で視力を失い大きく軌道を逸らし俺の真横を通過して行く。
蜘蛛が近くにいるだけで鳥肌が立つが我慢だ。そのまま奴に向けて結晶を連射、張り付く氷がやがて全身に回り完全に動きを封じる。
「どうだやったぞ!」
「甘いですよう、あんな戦い方はダメダメですよう! ん~点数を付けるなら45点くらいですよう!」
「阿呆吐かせガキが、あの様な戦いが45点じゃと? まだまだじゃ! あの様なおどおどした軟弱な戦い方はどう見積もっても20点以下じゃ! 次はもっとスムーズにせぬとな下衆!」
なんだよ二人してその評価は、大体俺は死ぬ程苦手な蜘蛛に立ち向かって行ったのにあんまりじゃないか! 分からないだろうな俺の辛さは!
「ふざけんなよ! こっちは一生懸命頑張ってんだぞちくしょうめ! 大体お前らは飛んでるじゃ無いかよ! こっちには羽根なんか無いんだぞ!」
「下衆……貴様、微塵切りが所望じゃな?」
「ご、ごめんなさい!」
やっぱりミラエルは怖かった、睨まれただけなのに縮こまらせられた。
「きゃははは! し、しゅんの今の顔最高ですよう!」
「黙らぬかガキめ、貴様も微塵切りに合いたいと見える」
「うううーーっ! ごめんなさいごめんなさいごめんなさいですよう!」
とまあミラエルの一喝により戦闘が終了と相成る。調査を開始してから戦闘が終わるまでもう数十時間が経過していた。さすがの体力馬鹿たる俺だが疲れた、いやいや本当に疲れた、特に蜘蛛辺りのところが。
「暴れ回っておった住人の排除が完了、弔いを施すぞ、戦った相手とは言え操られていた屍、供養してやらねばなるまい」
「ううっ、この子達みんな可哀相ですよう」
屍を操る敵、俺は悪魔の仕業と見て間違いないと思っている。
くそ、罪も無い住人達を弄びやがって。屍の中には子供らしき住人もいた。
奴等はこんな事をして一体何を企んでいやがるんだ、無言のまま屍を火葬する。どうやらミラエルは竜が祖先らしく炎を口から吐けたらしい。そのおかげで火葬が出来た。
葬儀を済ませ俺達は休息の為オアシスに向けて飛び立つ。
赤き砂漠をリリリに運んで貰い空を進む、しばらくすると湖が出現。しかし水の色が赤い。
これってまさか……。
「丁度良い、あの“血の池”で休息をとろうかのう」
「リリリもう汗でベトベトですよう、血の池でレッツ体の清め(お風呂)ですよう!」
「ち、ちょっと待った! お、お前らあれって……」
「む? 何じゃ下衆、血の池を指差しおって。あそこに何かあるのか?」
だって血の池って血だぞ? まさかあそこで水浴びする気か?
そりゃあここは地獄何だから血の池くらいあっても不思議じゃないけど、泳いで上がったら血まみれ。怖い怖い!
「どうしたんですようしゅん、何を騒いでいるですよう?」
「だから血何だろあの池は! あんなところで水浴びしたらヤバイだろうが!」
「ううっ? 何がヤバイですよう?」
困惑するリリリだったがミラエルは勘が鋭いらしい。
「……ああ、なる程、そうかそうか人間から見たらあの池が珍しい訳じゃな? んん、説明が面倒じゃ、ガキ、下衆をそのまま血の池に投げ込め!」
「ううっ! 了解ですよう! てりゃあーーですよう!」
「うぎゃああああああ!」
真っ逆様に俺は血の池へと落ちた。
体感したのは浮遊感と重力、その直後衝撃と息苦しさだ。赤き水中で暴れ回り何とか浮上する。
肺に一気に酸素を取り込み苦しさから解放されたのだった。
「ぶはぁ! はぁ、はぁ……何すんだよ! ちくしょう少し飲んじまったじゃないか! 人でなし!」
「ううっ? リリリ達は人じゃ無いのは当たり前ですよう?」
「どうやら落下の衝撃でおかしくなったらしいのう……まあともかく下衆よ、池の味はどうじゃった?」
何を馬鹿な事を訊いて来るんだ、血の池何だから鉄の味がして気持ち悪……くない。あれ? なんか普通に水の味がするぞ? しかもけっこう旨い。それに体も血に染まって無い、ただ濡れているだけ。
「どうなっているんだ?」
「まだ分からぬのか下衆? ふうやれやれ、低級な脳髄じゃのう。どれ説明してやろうか、と言うわけでガキ、説明してやるのじゃ!」
「ううっ! リリリがするですよう? 話の流れ的にミラエル様がするんじゃ……うううーーっ! そんなに睨まないでですよう! こ、このリリリちゃんがしっかりちゃっかりもっちりしっとり爽やかに説明しちゃいますですよう!」
何騒いでんだ上で?
下降しながらリリリが説明を始める。
「おっほん、この血の池と言うのは血そのものが溜まった池ではないんですよう。本当は透明で人間界と同じ水なんですよう。何故赤いかと言うと、元々ヘルヴェルトの地上と地中の色が違うですよう。地中が濃ゆい赤色で池の中は地中の色ですよう、見る角度で真っ赤に見えるって事ですよう。真っ赤な色が丁度血の色だったからみんなが血の池って呼んでるんですよう」
「なんだ、じゃあただの水なのかよ。驚かしやがって」
「きゃははは、落ちて行くしゅんは間抜けで最高だったですよう! でも“本物の血の池”じゃなくて残念だったですよう」
ん? 今何か変な事を言わなかったか?
「ちょっと待て! 本物ってどう言う事だよ!」
「簡単な話ですよう、何百もの血の池の中に一つだけ本物の血の池があるんですよう! これはハズレみたいで残念ですよう」
「全くじゃ!」
「じ、じゃあ本当はこれが本物の血の池か分からずに落としたのかよ! 本物だったらどうするんだ! てか、本物だとどうなってたんだ!」
「そりゃあ本物なら……どうなるですよう?」
リリリも知らないのかよ。
「四の五の五月蠅い、騒ぐな、黙れ下衆が! 儂らは体を清める、早く上がって向こうの岩陰へと走れ! 決して覗くで無いぞ? 分かったか!」
「は、はい!」
怖さに負け池の向こうには岩がゴロゴロとあり、そこの岩陰一つに入る。濡れた服を脱いで絞り、またすぐ出発すると思うから濡れたまま着替えた。
あ~あ、何なんだよちくしょう、いきなり落とされてずぶ濡れ、その前は蜘蛛と戦わされて。明らかに不当な扱いじゃないか、人間出来て無いからもう腹の虫が治まらない。
ふっふっふ、仕返しをしてやる、報いを受けさせてやるぞ。
つまりやる事は一つ。
「あいつらの水浴びを覗いてやる!」
岩は池の周囲に数個配置されており、上手く隠れながら進めばバッチリ二人のムフフな姿が見えるのだ。
ごめんまこちゃん、俺は男の性に逆らえないんだ! とまあそんな訳で出発。
そっと岩を壁とし身を隠しながら進む。慎重に遂行しなければなるまい。見つかれば直ぐに哀れな男の死体が出来上がる。
近付く度に二人の会話が聞こえて来る。
「ううっ~! 砂漠は暑かったからきっと気持ち良い筈ですよう!」
しゅるりと衣服が脱げる音が聞こえる、ちくしょう丁度見えない位置だ。
「確かにここは暑うてかなわぬ、特に鎧は熱を蓄えてしまうからのう」
ガシャンと鎧が脱げる音が聞こえる、ダメだダメだ、まだ見える位置では無い。
おっと低い岩に差し掛かった、匍匐前進を発動。
「わあ、ミラエル様はおっきいですよう」
「まじまじと見るでない! ……何じゃガキは小さいのう」
「ううっ、リリリはこれから大きくなるんですよう」
ヤバイ、今の会話だけで興奮するぞ。ああ、俺は今外道へと落ちているのだな。
しかし止められない、男にはやらねばならない時があるんだ、いざ進め!
「ううっ~! 水冷たくて気持ち良いですよう!」
「確かにそうじゃな。うむ、これは誠に良い心地じゃ」
ちくしょうもう水に入ったのか、くそまだまだ距離があるのに。しかし諦めない、期待する者達(?)の為にも俺は行く!
水の音が聞こえる、泳ぐ音らしい。
「うっうう~! うっうう~! うっ、うっ、ううう! ううう! うーーっ、うっ!」
「ご機嫌じゃなガキ、しかしその『う~』は何なんじゃ? 歌ってる様じゃが?」
「これはリリリのテーマソングですよう!」
変な奴だなリリリは、リリリの作詞作曲だろうが軽く音程がズレてたぞ?
お、ようやく二人に気付かれにくく尚且つ覗けるポイントに到着だ。
そっと神秘なる世界を覗く。いやいや、苦労したのが報われそうだ。リリリの体は水中だから見にくいが、ミラエルの背中がくっきりと。
綺麗な肌してんな。
綺麗な白い肌に目が離せない、背の下部には尻尾が生えてご機嫌そうに動き回る。後頭部から覗くツノは上下に揺れている、嬉しいんだな。
お! リリリが一回池から上がったぞ、前は見えなかったが後ろ姿がハッキリ! 無論上から下まで、苦労が報われるなあ。そのまま池に飛び込むリリリ、泳ぎ上手いな。
日頃の恨みだ、これくらいしたって罰は当たらないだろ? 本当にごめんまこちゃん、だけど俺は男なんだ(意味不明)!
「きゃ!」
突然リリリが短い悲鳴を、まさか見つかっちまったのか俺!
「何じゃガキいきなり悲鳴を出すとは何事じゃ?」
「い、い、今リリリのお股を何かがにゅるりって通過したんですよう! ううっ! 気持ち悪いですよう!」
「何じゃと? それは一体……ひゃん!」
あれ、今ミラエル可愛い声出さなかったか?
「おほん! どうやら儂もガキと同じらしい。股の下をにゅるりとしたものが通過した、何かこの池にいるぞ!」
今の無かった事にしたな? まさかあのミラエルがあんな声を。スミスと同じだな。
て、ちょっと待て、池の中に何かがいるってのか?
そりゃあ池に魚くらいはいるだろうさ、ヘルヴェルトの常識は知らないが人間界のを当てはめるなら。
池は真ん中から深い場所と浅い場所に分かれている、良く浅い方に落ちなかったな俺。じゃなくて深い場所に生物が生存している可能性は否めない。
「やん! また何かが足に触れたですよう! も、もうヤダ! リリリは出るですよう!」
「それが賢明じゃな、どれ儂も……む?」
ミラエルが顔をしかめ水中を睨んでいる、何かを見付けたのか?
「ガキ、飛んで逃げよ、その方が早い。もしかすると儂らはとんでもない場所に来てしまったかも知れぬ」
「な、何か分かったんですよう?」
「恐らく水中にいるのはランクAの住人じゃろうな、儂の予想が確かならば非常にまずい!」
まさかの緊急事態が勃発、ランクAの住人が水中にいるらしい。ランクSとAは力では殆ど差が無いと聞かされている、Sは知能が高いがAは低い。
つまりピンチだ、まだ何かは分からないが助けに行くか? いやちょっと待て、今出て行ったら覗きがバレてしまうではないか!
「何がいるかは分かりませんけど今は脱出が先決ですよう!」
「空へ飛べ!」
二人は翼を背より生やし素早く空へと舞い上がる。
しかし手遅れであった。
「ううっ! な、何ですようこれは! ですよう!」
「ぐっ、しまった!」
リリリとミラエルの足に何かが絡み付いて空への逃亡を阻止していた、それは水中より伸びた触手。半透明な細長い触手が二人の足に巻き付く。
「透明な触手、嫌だ気持ち悪いですよう!」
「やはりそうじゃったか、こ奴は池に訪れる住人をこの触手で絡めとり食べる奴じゃ! 本来は住人が住人を食べる事は無いがこ奴は別じゃ!」
「じ、じゃあリリリ達は食べられちゃうんですよう? うううーーっ! へるぷ~ですよう!」
「くっ、せめて剣が手にあったならこの様な触手など切り裂くのじゃが……む!」
水中から生えるかの現象を誤認させる様に次々と半透明なる触手が二人を襲う。
太股、腹、腕、手首と巻き付き更に捕らわれる。
「ううっ、うううーーっ! 動けないですよう! ふにゃあ、もの凄く破廉恥な格好になっちゃったですよう!」
「うろたえるな馬鹿者が! これくらい引き千切ってくれる! ぐう!」
力任せに四肢を動かそうと試みたが触手に絡めとられている為上手く力が出せないらしい。無駄な足掻きとなってしまう。
「ううっ、うううっ、ど、どんどん触手がきつくなって……ううっ!」
「ぐうっ、ふ、不覚じゃった……み、見ろ水面を! どうやら本体のお出ましじゃ!」
高い水渋きを飛ばし、それが姿を現す。
血の池より浮上するそれは穴と表現した方が適切かも知れない。蛇を連想させる長い半透明の図太い胴体、数メートルはあろうか長い。先端にはポッカリとした穴が、多分口なのだろう。
目は見当たらない、胴体より生える触手が二人を束縛、良質な餌を捕らえ喜んでいるかの様に触手がうねる。
もうこれは怪獣だった、何てデカいんだ。こんなのがいたなんて。
「うううーーーーっ! リ、リリリちゃんは美味しくないですよう! 食べたらお腹壊すって評判ですよう! だからへるぷ~ですよう!」
「何じゃガキ意外に元気では無いか。しかし見事に巨大な体よのう」
て感心してる場合かミラエル! お前ら今食べられそうなんだぞ! 身動きが取れない、つまりは大ピンチ。
ここは俺が助けるしかない。
「結晶の碧発動!」
瞳が青く変色し発動、右手に意識を集中させ力を具現化させて行く。冷気が生まれそれを元に空気中の水分を凍らせ結晶を作り上げた。
砂漠は温度が高く乾燥しているがここは池、水分が充分に待っている。容易く氷の弾を錬成に成功。
隠れていた岩から駆け出し半透明の怪物に向かう。
だが、
「へるぷ~ですよ~う!」
「騒ぐでないガキ、儂に剣が無くともこの様な事態は解決出来るわ! こうやってじゃ!」
紅蓮が落ちた、触手を統べる怪獣を飲み込む。それはミラエルの口より来たりたもの、一瞬にしてあの巨体を蒸発させた紅蓮の炎。
ミラエルが口から火を吐き出した。あまりの高温に巨体たる生物は縮小し、手の平サイズとなって池へと落ちた。
自然と触手も力を失い降下して行く。
「うううーーっ! ミラエル様が火を吐いたですよう!」
「何を驚いておる、儂の祖先は偉大なる竜、その血を引く儂が炎を吐けぬ道理が無い訳が無いじゃろうが!」
ゆっくりと地上に舞い戻る二人、翼をしまい落着を告げる。
何だよ驚かしやがって、とんだ茶番じゃないか。心配して損した。
「一時はどうなるかと思ったですよう、リリリの体は先輩だけのものなのにここで食べられたらどうしようかと思っちゃいましたですよう」
「危ない発言をしておるなガキ、スミスが哀れでならぬ……んん?」
「ううっ? ミラエル様どうかしましたかですよ……うう?」
何だあいつら、何で怖い顔をしているんだ?
しかもこっちを向いて……こっちを向いて?
「おい下衆、貴様そんなところで何をしておるのだ堂々と?」
「……変態だとは思いましたがまさかここまで大胆だったとはですよう」
「あ……し、しまった!」
覗きがバレた!
助けに駆け付けたがその前に倒してしまう何て反則じゃないか? 一応助けに来た事を有り難く思うべし。
等と言っても無駄だろうな、何でこうなる?
「下衆、時に尋ねるが……いつまでまじまじと食い入る様に儂らの肌を見ている気じゃ?」
ミラエルのツノが天辺に、あれは怒りを表す形。でも真っ赤だ、ツノが真っ赤っか、そうか裸を見られて恥ずかしがっているんだ。
顔は睨みを形作っているのにな。
「ううっ、うううーーっ! リリリちゃんの素っ裸を見て興奮するなんて! ですよう!」
一応二人は大切な部分を手で隠していてまたそれが何ともエロい。
釘付けである。
て、ちょっと待ってって俺! 見とれて無いで早く逃げろ!
「下衆、とにかく死ね!」
「変態覗きしゅんめ! 成敗ですよう!」
「ご、ごめんなさ……」
台詞を言い終える前に世界が赤く染まる。
正にそれは拷問と名称して不正解では無いだろう、一応ミラエルから剣による裁きでは無かったのだが変わりに殴られ蹴られの嵐。
リリリの場合は死神の鎌を取り出しそれで殴れ突かれの攻撃。全てが終わる頃には全身痣だらけ、口の中が鉄の味で気持ち悪い。
「全く男とは下賎な族じゃ! 儂らの肌を見てどうする気だったのじゃ!」
「ど、どうするって……」
「リリリは知っているですよう、はあはあ言いながら○○○○をするんですよう! この超変態しゅんめ! ですよう!」
この後も散々罵倒されて殴られた。この三人でこれからやっていかなくてはならないのだが、正直心配になって来た。
まあ自業自得何だけどな。
一応これはのほほんとしたエピソードになる訳だがこんな事がずっと続く訳では無いだろう。
悪魔を見つけ出して倒す、そうしないと人間界には戻れないのだから。




