三王会議へ
空に浮かぶ紅の球体、その内部へと俺達は突入した。
それは妙な感覚だった、球体の表面は柔らかくゴムの感触に似ており、ある程度するとスルリと溶ける様に中へ吸い込まれた。内部で目に入ったのは通路、両壁は白く天井は赤、そして足場は黒と何とも近代的な構造物の内部を思わせる作りだ。
天井や壁、更に床はプラスチックの様な印象を受けるが当然違うのだろう。
しかし中に入った途端に廊下に出るとは思わなかった、球体は結界で中には西洋の城みたいな構造物があるとばかり思っていた。
外見と中のギャップが激しい、ツルツルした床や壁、奥は長く続いているらしく先が見えない。
これが王宮なのか?
「ううっ、初めて王宮に入ったですよう」
「わあ、ちょっと不思議な感じがするなぁ」
リリリもまこちゃんも驚いていた、無理も無いか。
「まああら、みんな驚いているわねえ? わたしが説明してあげるわ、ふふ、わたしは何て良い死神なのかしら」
どうやらこの不思議な王宮に付いてソフィーネオが説明をしてくれるらしい。それは有り難い、ヘルヴェルト自体もそうだがこの王宮も逸脱して異端なのだから。
「ここはねえ、球型個別空間なの」
「球型個別空間? 何だそりゃ、難しそうな話になりそうだな」
「大丈夫よ佐波峻、わたしが分かりやすく教えますから! 球型個別空間と言うのはこの球の形をした空間に別の空間が集まっているの、これは最初の地獄王が作ったと言われているわ」
別の空間、か。どうも分かった様な分からない様な。
俺って馬鹿なのかな?
「簡単に言うと……そうねえ、星の中にもう一つ星が何個もあるって感じかしら?」
それなら何となく分かると思う。つまりヘルヴェルトにもう一つの世界がある、みたいな感じだろうか。
て、そのままじゃないか。
「それでね、ここは非常に面白い仕掛けなの、空間に入る時この王宮はわたし達の思考を読み取り、瞬時に行くべき場所に通すのよ。つまり、この球体は別空間であってその中に様々な部屋が数多存在してるの、地獄王の部屋や騎士団の訓練場、地獄王とスミスの子供達の部屋など様々。ニュアンスとしては……そうねえ、丸い袋に四角い部屋を一杯バラバラに詰めている、って感じかしら。そんな様々な部屋が存在するからこの空間は思考を読み取り瞬時に行くべき部屋に飛ばしてくれるのよ……まああら、分かった様な分からない様なって顔ねみんな?」
「ううっ? 話が難しいですよう」
「つまりこの中にはたくさんの部屋があるから、王宮自らが球体の中の行きたい場所に飛ばしてくれる、と言う訳かな?」
さすがまこちゃん、分かりやすい。
「ふん、低能じゃな下衆にガキ、死神王様の説明でも分からぬとは……火の使い方から勉強し直したらどうじゃ?」
カチンと来たので何か言い返えそうとリリリと共にミラエルを睨んでみたが……。
「何じゃその目は! 微塵切りにされたいのか!」
怒りを表す上を向くミラエルのツノ、気の所為かツノが上にあると怖さが増して無いか? 正直怖くて縮こまってしまう、やっぱりミラエル怖い!
「すいませんでした!」
「うううーーっ! 四度ごめんなさいですよう!」
「もうみんな遊びに来たわけじゃないのよ? わたし達は今大事な局面なのに……ほらミラエルも怒りを押さえてえ? リリリ、佐波峻、皆川真、先に進みますよ?」
確かに馬鹿な事をしている訳には行かないか。
長く続く廊下を俺達は進む、何が待っているのか知らぬまま。
廊下を進むと広い場所に出た、そこは人が数十人いても余りが出そうな程広い四角い空間。天井は赤く、壁は白、床は黒く廊下を巨大化させた様なところだ、ただ違ったのは部屋の中央には円形の椅子が地より生えた様に三つ存在していた。
三角形を思わせる配置で、その一つに誰かが腰を下ろし、傍らに付き添いらしき人物を見掛けた。
「これはこれは、死神王様では無いですか、ご無沙汰してますね?」
こちらに歩み寄るのは椅子に座る者の付き添いの人物だ、短い白髪で小柄の優男、全身を白いスーツに身を包む人間、の様に見えるがここはヘルヴェルト、人間では無い筈だ。
「まああら、本当に久し振りねえ?」
「ううっ? ソフィーネオ様、この方は誰ですよう?」
「彼の名はルト、獣王の守護獣にしてヘルズゲートの番犬の一人なの」
ヘルズゲートの番犬だと? まるでルベスみたいじゃないか。
しかしこの男何故か気に食わないと思ってしまう、何故なら。
「おやおや、死神王様は珍しいものを連れていらっしゃいますね? こちらのキュートな方と、雄は人間じゃ無いですか?」
ジロジロとまこちゃんの体を隅々までじっくりと舐める様に見ていやがるのだ。しかも俺を雄と言いやがったぞこいつ! それに、何処と無く、嫌、完全に誰かに似ている!
「変な目でまこちゃんを見るんじゃない!」
「おやおや、雄が癇癪とは何とも醜いですね……ん? 雄、君から『結晶の碧』と『紅の帰還』の力の波動を感じますが……その力、何故人間の君が持っているのです?」
「な! どうして分かったんだ! テメェ何者だ!」
「やはり雄は馬鹿ですね、その台詞そのまま返しますよ」
何なんだこいつは!
「うるさいわ下衆、それにルト、ここを何処と思っておるのじゃ? 神聖なる王宮内部じゃ、騒がしくするでない!」
「うっ……さ、流石に騎士団長ミラエルは怖いですね、失礼しました……しかしルトは知らねばなりません、その力は“兄”の力、それが人間風情が持っているのか知らねばならないのです」
今聞き逃せない単語が出て来たぞ?
「ちょっと待て、お前今兄って言ったのか? まさかお前……」
「『結晶の碧』『紅の帰還』はルトの兄、ルベスの力……何故人間の君がそれを持っているのです?」
「ルト落ち着いて? 佐波峻、ルトはね、ケルベロスの弟なの。ルト、この人間はルベスと交流がある人間よ? そしてこの娘は皆川真、門を開く力を持った娘」
ソフィーネオが答えを示してくれた、この白髪野郎はまさかあのケルベロス、ルベスの弟だと! ああ、だから誰かに似ている気がしたんだ。そうか、嫌味なところがルベスにそっくりだこいつは。
「門を開く力を持った人間! おやおや、これは驚きました、まさかあのヘルズゲート事件を起こした人間とは……わははは! なるほどなるほど、道理で兄の力を持っている訳ですか。君が彼女の所為で出来てしまった亀裂を修復するまで仮の門番になった哀れな人間ですか。有名ですよ君達はこのヘルヴェルトで、良く裁かれずに生存していますね? 兄も甘い。しかし何故君達がここにいるのか……」
「ルト、それは後ほど会議で説明します。だから今は引きなさい」
「そうですか、死神王様にそう言われては何も口は挟めませんね……良いでしょう、ルトはこれ以上何も言いません。では後ほど三王会議が終わった後にでも話をしましょうか、ではキュートな人間、雄、また後で」
とまこちゃんを一瞥した後元の位置へと戻って行った。
「うううーーっ! 何か嫌な奴ですよう!」
「まこちゃん大丈夫か?」
「うん、大丈夫、あの人が言った事は事実だからね……でもルベスさんの兄弟何だよね? ルベスさんは確かに悪戯とかしてくるけどあんなに刺がある喋りじゃないよ」
ルベスは悪戯とかきつい事も言う時はあるが、それは俺達を思って言ってくれる事だ、つまり心がある。
しかしあいつは違う、心に針を突き刺す様に話すのだ。確かに雰囲気はルベスに似ているが、中身は全く別だ。
「あのソフィーネオさん、私疑問に思ったんですけどルトさんはルベスさんと同じケルベロス何ですか?」
「ルトはねオルトロスなの」
オルトロス? あまり聞き慣れないな。質問したまこちゃんもそうだったのか微かに首を傾ける。
ケルベロスと似た名前だとは思うが一体何なんだ?
「まああら、オルトロスを知らないみたいねえ? 簡単に説明してあげるわ、三つの頭を持った番犬がケルベロス。しかしオルトロスは二つの頭を持った番犬なの、双頭の生物、今は人型に姿を変えているだけなの」
頭が二つある犬って訳か、ルベスは三つの頭をした番犬でそれぞれ独立した人格を持っていた。
ならあいつも別人格を持っているのだろうか?
「まああら、みんな悩んでますよ~って顔ねえ? 取りあえずわたしは席に座りますから、みんなはわたしの後ろに待機ね?」
そうだ、俺達は三王会議に来たのだ、あんな奴の為に思考する時間も惜しい。
「そうしておくのじゃな、変に騒ぎを起こせば儂が微塵切りじゃ。良いな、騒ぎを起こすでないぞ?」
ミラエルの睨みが俺達を萎縮させて行く、ツノを見るとやや上に。
癇に触る事をしでかしたら恐らく即死だ、全員頭を縦に降る。
「良し、なら儂は調査の報告も兼ねて地獄王様を呼びに行く事にする。……本当におとなしくしておるんじゃぞ? 特に下衆とガキ、良いな!」
「うううーーっ! 了解ですよう!」
「わ、分かりました……」
こうしてミラエルは部屋の奥へ向かい何も無い壁へと歩き出す。否、俺が知らないだけらしい、瞬時人の通れる穴が開き、そこへ飲まれる様に消えて行った。
部屋の中央に三角形を模した位置に聳える椅子へソフィーネオが腰を下ろす。しかし横には先客がいた。ここは三王会議を行う場所、ならばそこにいるのは見当が付く。
オルトロスのルトが守護する存在、それは獣王だろう。
「お久し振りですねえ獣王ゼルガ、約10年ぶりくらいかしら?」
「……かも知れん、久しいな」
オルトロスの前に座る獣王ゼルガと呼ばれる存在は人の形をしていたが、一目で人ならざる者と理解させられた。鋭き眼光、逆立つ赤色の髪、筋肉質な体全て赤い毛で覆われており猿人を思わせる男。
こいつが獣王、ルベスやルトを統べる王か。
「……死神王、何故人間がここに?」
「今日の議題はもうご存じですよねえ? 彼らはそれに関する情報を持っています、それをここで言って貰おうと思ってます」
「……そう、か。ならば詮索は省く」
「助かります」
堂々とし威厳が感じられるな獣王は、それとは対照的にオルトロスはニコニコと嫌な笑いを浮かべている。本当に気に食わない奴だ。
ソフィーネオとゼルガはいわゆる世間話をしている。聞いた内容は全く理解出来なかった、まあヘルヴェルトの世間話何て人間が分かる筈が無い。
「それにしても地獄王様遅いですよう、何だか眠くなって来ちゃいましたですよう」
「何だよリリリは根性無しか」
「もうしゅーったらリリリちゃんに意地悪な事言っちゃダメだよ、私達の為に色々してくれてるのに」
まこちゃんにそんな風に言われてしまったら何も言えなくなってしまう。確かにスミスもリリリもソフィーネオも感謝し足りないくらい恩を受けたのだから。
「へへんだ人妻スキーしゅんめ、いい気味ですよう!」
「リリリちゃん……貴女も調子に乗らないでね?」
「うううーーっ! ごめんなさいですようまこと!」
さすがまこちゃん、ミラエルに負けぬ恐怖を生む。
「まああら、そうでしたか……それにしても本当に遅いですねえ? 何かトラブルかしら?」
「……確かに遅い」
と、そんな事を話しているとミラエルが戻って来た。
しかしたった一人で。
「まああらミラエル一人かしら? 地獄王様はどうしちゃったの?」
「少し問題が生じました、たった今謎の族が王宮に侵入し暴れているらしい、地獄王はそれの処理に向かわれた。死神王様、獣王様、ここでしばしお待ちを……」
「謎の族?」
何故か嫌な予感がする、どうしてだろうか。何故ならここはヘルヴェルトであってこの世間の治安している最高権威だ。その一員たるミラエルが“謎の族”と言ったのが引っ掛かる、ヘルヴェルトで謎、つまり分からない敵……。
まさか。
「ミラエル……さん! まさか悪魔が王宮に?」
「可能性はあると思うが今は分からぬ。儂はこれからそこへ向かうつもりじゃ、しばし待っておれ」
そう言い残して俺達が来た道を逆走して行く。ここは普通の建造物では無く特殊な空間だ、とある部屋で敵が暴れ様が他の部屋に影響は無い。何故ならその部屋とは空間的に繋がっていても直接は繋がっていないから。
だから異常事態が希薄に感じられるのだ。
「しゅー、本当は行って確かめたいんじゃ無いの?」
「え? ……まこちゃんはそう思うのか?」
「うん、だって顔に描いてあるもん行きたいって。私は悪魔の事をしゅー達から聞かされているけど忘れているみたいだから何とも思わない……実感が無いから。でもしゅーは違う、戦った相手だからきっと気になると思う」
確かにそうだ、もし悪魔だったら今度こそ倒しておきたい。そうしないとまたまこちゃんが狙われてしまう可能性があるから。
しかしここは宮殿で右も左も分からない上に俺は人間だ、ヘルヴェルトで異端とされる人間。
「まああら、難しい顔ねえ佐波峻? 行って来ちゃったら?」
「へ? い、良いのか行っても」
「……死神王よ、いくら貴重な情報を持っているのだろうが人間は人間、勝手にうろつかせるのは不味いと思うが?」
「まあそうなんだけど多分大丈夫よ獣王、心配なら見張りを付けて一緒に行動させればいいわ、例えば……ルトとか」
今なんて言ったソフィーネオは?
「おやおや、ルトをご指名ですか死神王様?」
「ええ、貴方なら得体の知れない人間を野放しにしておかないだろうし、ミラエルの加勢も出来るだろうし……それに唯一ヘルヴェルトの異変の根源を知る人間がそれを見に行くのに不自然な事があるかしら?」
「ルトは構いませんよ、死神王様が連れているとはいえやはり人間は人間、この世界に異端にして邪魔な存在ですからね。そんな雄を有り難くルトが見張っていましょう? どうでしょうか獣王様」
「……お前の好きにしろ、責任は小生は持たんぞ?」
どうやらオルトロスと一緒なら向かって良いらしいがよりによってこいつが付いてくるなんて。まあ今は贅沢を言ってはいられないがな。
「ではそうしましょうか。佐波峻、ルト、気をつけて行って来てねえ?」
「しゅん、隙あらばあの気に食わない白野郎を抹殺しちゃうですよう!」
「おやおや、可愛らしい死神娘がルトに喧嘩を売ってますね、余程痛い目に合いたいらしい」
「ううっ! じ、冗談ですよう!」
たくリリリは意気地が無いな。
「しゅー、気をつけてね、必ず帰って来てよね?」
「ああ、必ず!」
またまこちゃんと離れ離れになるなんてごめんだ、今起きている異変を軽く片付けて戻るさ。
もし本当に悪魔だったならあの時の様なへまは取らない。
「て、そう言えばどうやって別の部屋に行くんだ?」
「わたし達が来た道を戻るだけよ。ここは最初に説明した通り結界が意思を読む、外に出たいと思いながら結界へ飛び込めば外、侵入者がいる場所へと考えて飛び込めば良いわよ?」
「わははは! そんな事も分からないのかい雄、嫌々、兄もとんだ人間に力を貸し与えたものですね」
この野郎一々癇に触る事を言いやがって。
「足手まといになるなよ白髪!」
「おやおや、あまり威勢な言葉は避けた方が良い……吠える小者は惨めなだけですよ?」
「けっ、お前ルベスよりイライラするぜ」
言いたい事が山程あるが今は急ぐのが先決か、来た道を走り戻る。白髪と一緒に。
直線を駆けて行くと正面に結界の壁が見えて来る、あれに行きたい場所を思い描きながら飛び込めば良いんだったよな? 王宮に入り込んだ侵入者がいる場所へ。
そう思いを強め、俺達は飛び込んだ。最初はやはり弾力ある感触だったが直ぐに吸い込まれて行く。結界を抜けると目の前に巨大な空間が広がる、白い天井は数十メートル先に浮かび壁から壁まで果てしなく遠い。多分数キロは離れているのかも知れない、そして地は荒野、山や岩等が聳える世界。
例えるならばジオラマだ、白い部屋に荒野をそのまま作った様な部屋だ。とてつもなくでかい空間だ、一体ここは何をする場所なんだ?
「おやおや、騎士団の鍛練場ですね。わざわざこんな場所に侵入するとは、敵も馬鹿だ」
「騎士団の鍛練場?」
「おやおや何ですか雄、ルトに話しかけて来るとは。まあ良いでしょう無知な雄に教えてあげましょうか、いやはやルトは良い奴です」
こいつ本当にイライラしてくるな、リリリの言った通り隙あらば叩き潰してやろうか?
「何ですかその目は? ルトの親切を台無しにする気ですか? まあ、兄の知り合いらしい様ですから特別に話してあげましょうか。ここは言った通り騎士団の鍛練を行う場所、通常数百から数万の騎士達が汗を流すのです、つまり敵は騎士団の真っ直中に入って来てしまったのですよ、運が無いのかただの馬鹿か」
「けっ、ベラベラ勝手に喋ってくれてどうも有り難う、虫酸が走るくらいイライラしたが微々に感謝してやる」
「わははは! 嫌々、見苦しい雄の謝意たる言葉を聞けて嬉しいですよ」
苛立ちから怒りが生まれそうだったのだが、今は敵に集中するべくグッと我慢を。しかしこの荒野もどきと言おうか、そんな場所の何処に敵がいる?
耳を澄ますと何か音を掬い上げた、微かだったがこの音は……。
「おやおや、戦闘音でしょうか? 向こうから聞こえて来ますね?」
ルトが示す場所には巨大な岩山が聳えており、どうやらその向こう側で戦闘が始まっている様子。急いでそこへと走る、何が起きているのか、岩山の先に答えが蠢いているのだ。
突き進みようやく反対側えとやって来た、そこには全身銀色の鎧に身を包んだ騎士達が数十、何かと戦っていた。
それは奇怪、向かう騎士は容易く投げ飛ばされ宙を舞う。片手で騎士を掴んだ“そいつ”は騎士達へまるでボールを投げるかの様な容易さで投げ付けダメージを与える。
「あら?」
そいつが俺に気が付く、醜悪染みた笑みを浮かべこちらを見つめて来るのだ。
片手で騎士を軽々持ち上げる女、紫の長い髪が特長なあいつ。
「ふふっ、こんなところにいましたのね? お久し振りね、元気でしたかしら?」
「お、お前は……」
「わたくしをちゃんと覚えていますの? まあ忘れる方が不思議不思議ですわ」
ああ間違いない、あいつだ。まこちゃんをさらった奴等の一人、そう悪魔だ。
あの廃墟で戦ったんだ、忘れる筈が無い。
「お前はメイディア!」
「ふふっ、やっぱりちゃんとわたくしを覚えておいてくれましたのね? そうですわ、わたくしの名はメイディア……ああ残念ですわ、殿方に覚えて貰うより可愛い女性に覚えて貰いたいですわね、男何か野蛮で嫌いですわ」
やはりヘルヴェルトに悪魔達はやって来ていたんだ。またまこちゃんを狙っているのか? 何故ここにいる?
そんなあらゆる思いで悪魔メイディアを睨む。




