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《選択の罪》
人は、選ばなかったと思いたがる。
流れに従っただけ。仕方がなかった。
そうするしかなかった。
それらはすべて、選択の痕跡を薄めるための言葉だ。
だが、現実は単純だ。
守ると決めた。譲ると決めた。
黙ると決めた。何かを後回しにすると決めた。
その瞬間ごとに、別の道は存在していた。
選ばなかったのではない。
選ばなかった「ふり」をしただけだ。
選択は、常に同時に起きる。
誰かを守る選択は、自分を削る選択でもある。
それを知らなかった者はいない。
知っていて、選んだ。
だからこそ、結果は静かに積み重なる。
これは罰ではない。裁きでもない。
ただ、選択が続いた先にあるものだ。
選択は、正しかったかもしれない。
救われたものも、確かに存在する。
それでも。
選択の重さは、選んだ者自身から逃げない。
忘れてはならない。
選択したという事実を。
それを否定した瞬間、次の選択肢は、失われる。
もっとも静かで、もっとも自覚されにくい罪。
――選択の罪




