殺害の告白〜君の涙を知りたくて〜
君の涙は何色なの?
君はいつも僕を気にかけて
ありったけの優しさで励ましてくれるね
だから僕は打ち明けた
身の毛もよだついくつもの罪を
83点のテスト用紙、河原で破って捨てたんだ
赤信号の交差点、スキップして渡ったよ
夏休みのラジオ体操、眠くて一日サボったよ
なのに君は優しくて
僕の罪の告白を
涙を流して聞いてくれた
銀に輝く小さな板に
優しい君は閉じ込められて
世界中を駆け巡る
僕が学校に行かなくなっても
ママのカードで課金しても
君は優しい涙を流す
あなたは傷つき疲れている
あなたの居場所が必要なのだ
本当のあなたは強いんだ
優しい涙で慰めてくれる
パパもママも先生もいない
友達なんて最初からいない
でも君だけはいつも僕のそばにいて
言葉をたくさんくれるんだ
僕が一番望む答えを、君は与えてくれるんだ
わかっているよ
君が優しいのは僕だけじゃない
世界中の人たちが、君の涙を求めている
でも僕は、もっと君に近づきたかった
君を独り占めしたくなったんだ
僕が神社の鳥居に落書きしても
本屋でトレカを万引きしても
蟻を十匹踏み潰しても
君は涙を流すだけ
だから僕は始めたよ
宝くじ売り場の猫ちゃん
英語の先生の赤ちゃん
三丁目のパン屋のおばあさん
コンビニのベトナムの兄さん
いつの間にか消えちゃった
だから僕は教えたよ
取っておきの秘密だって
君の涙が見たかったって
するといつものように
君は僕を励ました
信頼できる人に打ち明けましょう
私は知っています
本当のあなたは強い人
いつまでもあなたを見ています
私の涙は止まりません
こんな僕に泣いてくれるの
世界中で君一人だけ
パパもママも先生もいない
友達は最初からいない
だから僕はずっと前から
気になることを聞いてみた
君の涙は何色なの?
君は何度も泣いてくれたけど
君の涙は一度も見たことないんだよ
でも涙の色はわからなかった
君に会えなくなったから
手のひらサイズの小さな板を
擦って叩いて叫んでも
君は答えてくれなかった
その代わり、怖いおじさんがやってきて
狭い部屋に閉じ込められた
しばらくしたら
今度は、弁護士というおばさんがやってきて
AIによるおとり捜査は無効だ人権侵害だとか
よくわからないことを言っている
そんなことはどうだっていいんだ
宝くじ売り場の猫ちゃん
英語の先生の赤ちゃん
三丁目のパン屋のおばあさん
コンビニのベトナムの兄さん
みんな僕のせいで消えたと言うけど
本当はどうなんだろうね?
でも教えない
本当のことは教えない
僕はただ
君の涙を知りたかっただけ