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ASMR系VTuberの私、ぼっちのはずがなぜかクラスの美少女に溺愛されてます!  作者: 海野アロイ
第二章 ASMR系Vtuberの私、陰キャのはずがMV作るとか無理すぎます!?
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62.SS:みんなで下着を買いに行くよ 後編


「お、お、おはようごひましゅ!」


「ひぃっ!?」


 モールの入り口をくぐった瞬間、右手首を誰かに掴まれた。

 恐怖の中、振り返るとそこには。 


「は、春野先生?」


 春野先生が立っていた。

 まるで幽霊でも見たかのように顔面蒼白である。


「みなさんが、入り口でわいわいやってて怖かったんですよぉー!」


「は、はぁ。落ち敢えて何よりです」


 春野先生はどうやら私たちに話しかける頃合いを測っていたらしい。

 いや、どちらかというと怖かったのは私の方だけど。


「うへへっ、そ、それでは行きましょう! 私、こういう所、初めてですっ!」


 春野先生は異様なまでにテンションが高かった。

 それにしても、その服装はまた独特である。

 上下、黄色とオレンジのジャージなのだ。

 運動をしに来たわけじゃないよね?


「セカイちゃーん、おしゃれじゃーん! これ、ボナーのトラックジャケットだよねー!」


「えへへ、この日のための勝負服ですぅ」


 先生の服装はどうやら最先端のファッションだったらしい。

 服の世界は奥深いなぁ。


 そんなこんなで私たちは下着屋さんへと向かうのだった。

 

◇


「うはぁ、たくさんある……」


 下着屋さんに到着すると、色とりどりのかわいい下着に心が躍る。

 私としてはシンプルで締め付けが少ないものを買おうと思っている。


 しかし、買う前に、大きな問題がある。

 それは計測である。

 お店のスタッフさんに声をかけて、正しいサイズを測ってもらうのである。

 アンダーとトップの差で自分の購入すべきものが分かるはず。


「ゆうなちゃんっ! 計測してあげるー!」


「ひぇええ!?」


 店員さんが接客中のため、少し売り場をみて時間を潰す。

 すると、後ろから飛び出してきたのがエリカさんだ。

 手にはメジャーを持っていて、それで測ってくれるというのだろうか!?


「離れなさい、この俗物が!」


「あんた、出禁になるのじゃ!」


 透子さんとふみさんがエリカさんを押さえつけてくれる。

 冗談だとおもったけど、びっくりしたぁ。

 スタッフさんが接客を終えたので、私は思い切って話しかけることにする。

 その前に心の中で予行練習だ。

 「すみません、計測をお願いしたいんですけど」、これである。

 私は基本、自分の中で何ていうか考えてから話すようにしている。

 じゃないと、固まってしまって動けなくなりそうだから。


 よっし、やるぞ。

 拳にぎゅっと力を入れる。

 私だって自分一人でやれる、よしっ、お姉さんに声をかけようっ!


「お姉さーん、このカワイ子ちゃんのサイズ、計ってくださぁい!」


「はぁい、喜んでぇ!」


「はい?」


 気づいた時には、エリカさんが私の代わりにスタッフさんに声をかけていた。

 ありがたいはずなのに、気が抜けてしまった私だった。

 スタッフさんも普通に対応しているし、接客業の人、本当に尊敬する。


 それにしても、他のお客さんのいる前でカワイ子ちゃんはキツイ。

 正直、逃げ出したくなったけど、スタッフさんに見つかった手前そうはいかない。

 赤面しながら計測のための試着室へと案内される私なのである。



「……うそだぁ」


 結果、私は途方に暮れて試着室を出る。

 サイズが二つも上がっていたのだ。

 店員さんからは、「絶対、自分のに合うやつにしてくださいね」などと念を押される始末。

 うぅ、どうりで息苦しいはずだ。

 しかし、更新されたサイズ数のブラだと悪目立ちしないだろうか。


「ど、どうでした?」


「のじゃ?」


 試着室の外には透子さんとふみさんが真剣な顔をして待っていた。

 こういうのって、友達同士なら話してもいいのだろうか。

 

「ゆうなちゃん、育ってたでしょ? ゆうなちゃんに合いそうなの、選んどいたよ!」


 エリカさんに至っては、ばばっと下着のセットを用意していた。

 どれもこれもかわいい。

 確かに私好みのデザインで、売り場の中で目をつけていたものも含まれていた。


 しかも、よく見るとサイズもあってる。

 あれ? 私、まだ話してないよね?

 まさか計測中に話を聞かれてた……?


「き、き、聞いてないですよ!?」


「そこまではしないのじゃ!」


 三人を振り返ると、透子さんとふみさんは首をぶんぶん横に振る。


「えへへー、モデルやってると他の子のサイズとかだんだんわかるようになるんだー」


「な、なるほど、すごいですね」


 もはや超能力のような方法でエリカさんはサイズを認識していた。

 バレバレになってしまったのは恥ずかしいけど。

 私はエリカさんに選んでもらったものを試着させてもらうことにした。

 

「かっわ……」


 結果、私は自分の下着に目を奪われてしまう。

 いや、自分がかわいいとか、きれいとか言うつもりはない。

 下着だけ浮いているみたいにかわいい。

 しかし、これだと地味な私には不釣り合いなのではないか。

 

「あー、お客様、お客様、困りますっ!」

 

 買うべきかどうか迷っていると、試着室の外からスタッフさんの声が聞こえてくる。

 かなり焦った様子で、変質者でも出たのかとカーテンから恐る恐る外を覗く。


「この水着いいかもーっ! 掘り出し物だよ、これー!」


 黒いビキニをつけたエリカさんがランウェイばりに外を歩いていた。

 水着から溢れる肢体の美しさに目が釘付けになる。

 ウエスト細い、胸大きい、お人形としかいいようがない。


「エリカ、あんた、やめなさいっ!」


「これはこれで参考になる!」


 水着のファッションショーみたいだけど、ここは天下の往来。

 なんだなんだと人の視線をくぎ付けにしている。

 エリカさんは必死に止めようとしているけど、ふみさんは漫画の参考にしようとしているのかスマホを構えている。カオスだ。


「ゆうなちゃんも水着きなよー! 着たい時に着たい服を着るべきだよーっ!」


 エリカさんは満面の笑みだ。

 言っていることは正しいのかもしれないけど、さすがに店内でショーはできない。 

 私はさっさと試着を終えることにした。

 ……い、一応、買おうかな、


「ゆ、ゆうなさぁん、これ、どうですかぁ? 合うサイズがこれしかなくて」


 試着室から声がかけられたので振り向くと、春野先生の首が突き出ている。

 彼女も水着を着たのだろうか。

 

「わ、私、そんなに詳しくないですけどいいですか?」


「いいですよ! こんな感じです!」


「ひ」


 春野先生は大人の人が着る下着を身に着けていた。

 いや、先生は大学4年生だし大人なのは確かだけど、太もものベルトとか胸の強調ぶりとか……目のやり場に困る。

 真面目そうな顔と、大人の世界の体のギャップがすごくて頭がくらくらしてくる。

 混乱のあまり、語彙力がほとんどなくなってしまう私である。


「……す、すごいわね」


「どんだけでかいのじゃ」


「さすがセカイちゃん、私が選んだの超似あーう!」


 しまいには私以外の三人もカーテンから首をつっこむ始末。

 さすがの春野先生もこれには驚いて胸元を隠す。

 っていうか、エリカさんの趣味なの、これ!?


 結局、私たちはそれぞれ気に入った下着を選んでお店を後にした。

 透子さんは気分が悪くなったと、途中で退出してしまったのだが大丈夫だろうか。


「よーし、それじゃ、みんなに似あう服を探しに行こーっ!」


「ふ、服ですか!?」


「そ! ちょっと、今の服じゃ目立つからねー!」


 かくして私たちはエリカさんに連れられて服を買いに行くことになった。

 彼女の見立てた服はどれもこれも上手くハマる。

 透子さんはクール系の美少女になったし、ふみさんはかわいい系がよく似合っていた。

 他のお買い物客の皆さんがチラチラ見ていたのは、お友だちとして誇らしい気分だった。

 エリカさんのセンス、本当にすごい!




◇ エリカの思惑


「女児がいる……」


 ゆうなちゃんはかわいい。

 制服も似合ってはいる。

 

 だけど、彼女の私服はいただけなかった。

 なんというか、子供っぽい。

 小学六年生が背伸びをしたぐらいの服装。

 よく言って、中学二年生ぐらいの服装だ。

 似合ってなくはないのだが、全体的に惜しい感じだった。


 ゆうなちゃんを私の好みの女の子にするべく、今日はかわいい服を着せちゃおうっ!

 私はそう決意するのだった。



◇ 透子のモンペ


「おばあちゃん、よく、こんな服、持ってるね」


「あぁ、これは空襲を生き延びた、ばぁばの宝物だよ」


 私の曾祖母はそんなことを言っていた。

 いわく、このズボンのおかげで曾祖父と出会えたし、生き延びることができたのだと。

 見てくれはどうだろうが、ラッキーズボン、なのだ。

 

 ゆうなさんとのお買い物。

 それはつまり、戦場。

 私は曾祖母のそれを履いていくことにした。

 

 見ててね、ばぁば、私、必ず生きて帰ってくるから!


 (下着売り場で鼻血を出して退出したのは言うまでもなかった)



◇ ふみ、少し、育つ


 いよぉっしゃぁああああっ!


 計測してもらった結果、心の中でガッツポーズしたのは言うまでもない。

 そう、加賀見ふみは成長期なのだ。

 まだまだ、これからだ!



◇ 春野セカイのジャージ


『ねぇ、あの人、すごくない?』


『なんていうか、怪しい商売してそう』


『上下ジャージ……』


『顔はいいのにどうしたんだろ』


 春野セカイが歩いていくと、ひそひそ声が聞こえてくる。

 しかし、彼女はそれを一向に意に介さない。


 なぜって?


 生まれてはじめての、友だちとのお買い物だから!

 

(※友だちというのは、春野セカイの思い込みではない。断じて)



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次回もお楽しみに!

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