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ASMR系VTuberの私、ぼっちのはずがなぜかクラスの美少女に溺愛されてます!  作者: 海野アロイ
第一章 ASMR系Vtuberの私、ぼっちのはずがクラスの美少女に囲まれています!
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5.朝霧さんと二人でストレッチ。それが終わると、すごい美人と遭遇する

「じゃ、二人一組になってストレッチして」


 今日の時間割には体育があった。

 その授業終わりに、先生から最悪な指示が出される。

 二人一組、それはぼっちにとっての死刑宣告。

 前回は体育の先生と一緒にやったのだが、非常につらかった。ものすごく押すんだもん。

 誰か組んでくれる人、いないかなぁ。

 辺りを見回して、きょろきょろするのは恥ずかしいけど。


「藤咲さん、私としませんか?」


「あ、朝霧さん!」


 私の前にきれいな手が差し出される。

 その先には朝霧さんの美しいお顔。

 クラス中の女子が朝霧さんと組みたいと思っているだろうに、なんてありがたい!


「お、お願いしますぅ」


「ごふっ!?」


 感激のあまり、朝霧さんの手を取る私。

 すると、彼女は胸を抑えてうずくまる。


「だ、大丈夫ですか!?」


「大丈夫、心臓をやられただけ」


「大丈夫じゃないじゃないですか!?」


「問題ないわ。私の心臓、200個あるから」


 無惨様もびっくりの個数である。

 いや、冗談なんだろうけど、朝霧さんの顔が笑ってないので笑えない。


「さぁ、やるわよ。藤咲さん、押してくれるかしら」


「は、はい」


 朝霧さんは体育館の床に脚を延ばして、前屈の姿勢になった。

 私はすかさず後ろに回る。

 補助の人が後ろから軽く押してあげることで、ストレッチの強度を高めるのだ。

 私は背中と腰に手を置いて、ぎゅうっと押す。

 朝霧さんはバレエでもやっていたのか、すっごく柔らかい。

 開脚も見事なもので、細長い脚がまっすぐに伸びる。

 しなやかで羨ましいなぁって思う。


「じゃ、今度は藤咲さんの番ね。私がやってあげる」


「ぅお願いします」


 続いて私の番である。

 正直、私は体育全般が苦手だ。

 ストレッチももちろん苦手で、おばあさんかというぐらい体が固い。


「ふむむむ……ふぬぅぅうう」


 それでも頑張って前屈をする私。

 せめてつま先に指がくっつくぐらいにはなりたい。

 朝霧さんもしっかり目に押してくれているのに、私の口から洩れるのは変な声だけである。


「もう……だめ……」


「あ、朝霧さん!?」


 どうしたことだろうか、押している側の朝霧さんが盛大に倒れた。


「こんなこと無料で許されていいの? ここは天国?」


「だ、大丈夫ですか!?」


 朝霧さんはうわ言めいたことを呟いている。

 貧血とかなんだろうか。

 顔色はものすごくよくて、肌もツヤツヤなのに。


「大丈夫よ。次は開脚をしましょう」


「は、はぁ……、朝霧さん、体調、大丈夫なんですか?」


「元気すぎて困ってるぐらいよ。誰にもこの場は渡さないわ」


「な、ならいいんですけど」


 話がかみ合わない。

 朝霧さん、一度、大きな病院で検査した方がいいんじゃないだろうか。

 いやいや、朝霧さんのことを心配してる場合じゃないか。

 実際、私の方がよっぽど体が固くて不健康なのだ。

 

「ふぬぅうううう」


 開脚に挑戦するも、やはり全然広がらない。

 脚だけじゃなくて腰や背中までピキピキ痛い。


「くっ……藤咲さん、呼吸を使ってみるのはどうかしら。息を吐きながら、体を伸ばすの。こうやって」


 朝霧さんは私にお手本を見せてくれる。

 なるほど、呼吸か。

 一応、VTuberとして活動しているため、息の扱いはある程度分かるかもしれない。

 ふむふむ、なるほど。


「ふひゅぅぅうー」


 息を吐きながら体を伸ばすと、思いのほか開脚前屈ができてしまう。

 もちろん、太ももの裏は痛いし、胸が床に着くなんてこともない。

 それでも自分の体が目に見えて変化したことに感動を覚える。


「朝霧さん、ありがとう! 呼吸ってすごいんだね!」


 思わず朝霧さんの手をとってお礼を言ってしまう。

 興奮したせいでもあるが、我ながら思い切った行動をしてしまった。

 馴れ馴れしすぎたかな。

 

「お゛っほっ」


 当の朝霧さんは斜め上45度ぐらいを見て、思い切りのけぞっていた。

 しかも変な声まで出してる。

 し、しまった、調子に乗り過ぎた!


「ご、ごめんなさいっ! 嫌だったよね?」


「め、滅相もない! 今のはちょっとしたジョークよ、ジョーク」


「そ、そうなんですか? びっくりしてごめんなさい」


 朝霧さんは顔どころか首まで真っ赤にしていた。

 ジョークが不発で恥ずかしかったのだろう。

 あーぁ、しまった。

 私はコミュ障すぎて、こういう突発的な笑いに対応できないんだ。


 こんな感じでドタバタとストレッチを終える。

 それでも体が伸びる感覚は気持ちよかった。

 寝る前に一緒にストレッチする配信なんて言うのもいいかも。


 そんなことを思いながら、朝霧さんと更衣室に向かった時のことだった。

 


「体育お疲れー。あ、最近、とーことよく一緒にいる子だー」


 廊下で眩しすぎて直視できない女の子が話しかけてきた。

 金色の髪の毛に、大きな瞳、小さな顔。

 どの方向からみても美人!って感じの女の子である。

 うわぁあ、私、この人、知ってる。

 いつも朝霧さんと話している女の子、名前は鏑木かぶらぎエリカさんって言うはず。

 制服姿なところを見ると、今、登校してきたらしい。


「ふ、藤咲と申しますぅ」


 不思議そうな顔で見られたので、もちろん、自己紹介の挨拶をする。

 相手は170センチ近い長身の女の子だ。

 めちゃくちゃ目立つ子だと思う。

 学内じゃ、朝霧さんぐらいしか並び立てないだろう。

 なんていうか、同い年とは思えない。

 短くしたスカートからはみ出す太ももがまぶしくて、同性ながらドキドキする。


「へー、藤咲ちゃんかぁ。これ、現場でたくさんもらったから、あげるよ! 喉乾いたでしょー?」


「は、はぁ……」


 鏑木さんが差し出してきたのは、いちごみるくと書かれた紙パックのジュースだった。

 甘い奴である。嫌いじゃない、好きだ。


「ちょっと、エリカ! 藤咲さんが苦手なのだったらどうするのよ!」


「えー、そういうことあるー? 藤咲ちゃんは、大丈夫?」


 鏑木さんが陽キャ100%のオーラで尋ねてくる。

 うぅう、眩しい。消え入りたい。

 しかし、である。

 陰の者はこういう圧倒的な陽キャ様の光に弱いのだ。

 断ることなどできないし、そもそも、いちごみるくは好きである。


「だ、だいじょうぶです……。ありがとうございます」


 私はそれを丁寧に受け取る。

 貴族から食べ物を下賜かしされる平民になった気分だ。


「あんた、何で遅れてきたのよ?」


「朝一でウェブマガジンの撮影があったんだよね。みて、ほらー。かわいいっしょー?」


「へー、キレイに撮れてるじゃない。このスカートいいわね」


 鏑木さんと朝霧さんはスマホを見ながら殿上人のような会話をしている。

 おそらく見せているのは、写真か何かだろう。

 鏑木さんってモデルさんなんだ、どおりですごいオーラがある。

 一生、関わり合いのなさそうな人種である。危うく拝んでしまいそう。


「そ、それじゃ、私は、い、いただきます……へへ……」


 二人が話している間、手持ち無沙汰な私は紙パックを飲むことにした。

 本当は二人の前からフェイドアウトしたほうがいいのかなって思うけど、なんて挨拶して去っていけばいいのかわからない。

 そういうことができないのも、陰キャたるゆえんかもしれない。悲しい。


 紙パックにストローをさして、ずびずびと頂く。

 うん、美味しい。

 体育が終わったばかりで喉が渇いていたから、なおさら美味しく感じられるのかもしれない。

 私の喉もついごくごくと音を立てる。


「それで、スタイリストのお姉さんが……ん?」


「ちょっと、お姉さんがどうしたのよ?」


「ちょっと待って、藤咲ちゃんだっけー、今、そのジュースの飲み方」


「って、待ってる暇ないわ! そもそも、私たち着替えなくちゃいけないのに」


 私がいちごみるくを堪能していると、朝霧さんがもっともなことに気づく。

 休み時間の間に着替えないと、次のクラスに合わなくなってしまう。


「えぇ、ちょっと待ってよー。藤咲ちゃんは体育服で授業受けよー?」


「そんなわけに行くわけないでしょ! 藤咲さん、急ぎましょう!」


「はぁあいぃ!?」


 私は朝霧さんに腕をひかれて、更衣室へ連行されるのだった。

 朝霧さんの着替えを直視できなかったのは、また別のお話である。

 み、見てませんよ!?



PS

 ちなみにその後、鏑木さんが何度か話しかけてきたけど、朝霧さんが全て応対してくれた。

 緊張してしまうので助かった。

「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「今後どうなるんじゃっ……!」


と思ったら


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