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ASMR系VTuberの私、ぼっちのはずがなぜかクラスの美少女に溺愛されてます!  作者: 海野アロイ
第一章 ASMR系Vtuberの私、ぼっちのはずがクラスの美少女に囲まれています!
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15.悠木ゆめめの配信:リスナーさんのお悩み相談&読み上げASMR


「悠木ゆめめです。こんばんは。今日も一日、お疲れ様です。今日は雑談とちょこっとASMRという二本立てで配信します」


『待ってました!』


『ゆめめ様!』


『ちょこっとASMRってどんなだろ』


『こんゆめめ~』


 ライブ配信の接続数は1200人ぐらい。

 これからもう少し増えていくと思う。

 自分の他愛ない話を聞いてくれる人がいるなんて、まだまだ不思議だ。


『nekonomura ¥1000 ゆめめ様、僕はASMRが好きなのですが、友人には理解してもらえません。どうしたらいいでしょうか?』


 他愛ないもないことを話していると、スパチャが飛んできていた。

 1000円も投げてくれるなんて、すごくありがたい。


「そうですね、お友だちにASMRを理解してもらえないって、辛いですよね」


『あるあるだろ』


『四の五の言わずに、イヤホンを耳につっこめばいいのでは?』


『友だちの縁を切る』


『説得しても無駄』


 チャットにはリスナーさんの多種多様な意見が躍る。


「まず、趣味ってどうしても分かり合えないものが多いのかなって思います。私もなんですけど、ASMRが好きって、他の人に話したことないんです」


 いろんな意見がある。

 正論もあれば、極論もある。

 論理的にASMRの素晴らしさを伝えることもできるかもしれない。

 だけど、まずは自分の体験を話したかった。

 

「だから、お友だちに話してみたって言うのはすごく勇気がいることだと思いますし、その勇気に拍手だなって思います。すごいですよ」


『誰かに話すのは勇気がいるかも』


『私とか誰にでも言うけどー? 普通、いわない?』


『お前だけだろ』


『人に言ったことない』


 一部の例外を除いて、リスナーさんたちもあんまり公言はしていないようだ。


「じ、実は、私も最近、新しい、お友だちって言っていいのかな……えっと、えひひ。えと、すごく仲良くしてくれる子たちがいるんですけど、それでも言えないですね、まだ言えないです」


 自分の場合を想像してみる。

 私には最近、お友だちが3人もできた。


 透子さんは勉強もできて、運動もできる。

 ASMRを聞いてそうなタイプには見えない。


 エリカさんは現役のモデルにしてインスタグラマーだ。

 ASMRからは一番遠い気がする。


 加賀見さんは漫画を描くぐらいだから、VTuberは好きかもしれない。

 だけど、V好きだからってASMRを聞いているかは分からない。


 改めて思うのは、ASMRって少し特殊なジャンルなんだろうなってこと。

 いくら三人がいい人でも、自分から話すのには勇気がいる。


『ゆめめのその笑い方、初めて聞いた』


『結構、きもいけど、かわいいんだよなぁ』


『お友だち!』


『俺も誰にも話さない。否定されるかもしれないし』


『俺も』


 ふむ、と思う意見を見つける。

 そうだよね、自分の好きなものを否定されるのはやっぱり辛い。

 このリスナーさんもだからこそ相談してくれているんだろう。


「うーん、これは難しい問題ですね。ASMRのいい所を知ってほしいけど、おしつけられないし」


『自分も推し活仲間はほしい』


『ゆめめのリアルイベントあったら行く』


『ASMR好きって音フェチってことなの?』


『四の五の言わずに、イヤホンを耳に突っこめー』


『だから、それがダメだって言ってるんだけど?』


 リスナーさんたちも真剣に考えているようだ。

 ASMRは誰かとシェアするような趣味でもないし、一人で楽しむってものでいいと思う。

 でも、自分の好きなものを誰かと共有できるのは嬉しい。

 どんなものでも、一人より誰かと楽しむ方が嬉しい。

 みんな、モヤモヤしているのかもしれない。


 だけど、理解されないからって怒るのはよくない。

 私だってこの世界にある全ての趣味の良さを理解できるわけじゃないから。


「ASMRって、音のグルメ みたいなものだと思うんです。私たちは音の奥深さとか、音の響きとかに、面白さを感じて反応しちゃうというか」


『共感』


『分かりやすい』


『つまり俺たちは音の美食家』


「そう! 音の美食家なんですよ、みなさん! でも、なかなか理解はされないかもですよね。後ろ指さされるわけじゃないんですけど」


 少しずつリスナーさんたちも温まってきた。

 難しい話題だし、正解なんてない。

 だけど、自分の好きを自分だけに閉じ込めておくのもちょっと違うとも思う。

 ASMRが好きなら、少しだけ勇気を出すのも大切なのかもしれない。

 

「だから、もし、お友だちが嫌がらないなら、ゆっくりASMRの良さを布教するしかないかもですね。そのために、私も頑張ります! もっともっと、配信が、ASMRが上手になりたいです」


『nekonomura ありがとうございます。自分の書き込みを読んでもらえて心が軽くなりました。友人にはゆめめちゃんの雑談から紹介したいと思います』


「こちらこそ、ありがとうございます、嬉しいです。私の雑談配信かぁ。うわぁ、どうしよ、変なこと喋ってないかな」


 先ほど、スパチャを投げてくれたリスナーさんから温かい返事が返ってきた。

 悩みは誰かに相談できるだけで、ふっと消えることがある。

 その場を提供できて、すごく嬉しい。


「それじゃ、時間になりましたので、ちょこっとASMRをしたいと思います。ささやきボイスで、お話の朗読をします。実は今日、ちょっとプライベートで音読をすることがありまして、あぁ、お話を読むのっていいなぁって思ったんです」


 今日の出来事を思い出す。

 加賀見さんの描いた漫画を読ませてもらったのだ。

 とても素敵なお話だった。

 一つ一つの言葉を声にすることで、キャラクターが世界に現れる。

 それは素敵な体験だと思う。


「今日はオー・ヘンリという人の賢者の贈り物っていうお話を読みます。ささやき声で読みますので、寝落ちしても大丈夫です。それでは……」


 私は自分の好きなお話の一つを読み上げていく。

 青空文庫というサービスには著作権の切れた名作がたくさん置いてある。

 賢者の贈り物はその中でも私のお気に入りのお話だった。


『癒される』


『声がかわいい』


『ゆめめ様ぁ、私、懐中時計でも髪の毛でも売り払います』


『限界オタクいて草』


『作業がはかどらないけど、いい』


 リスナーさんたちもぽつぽつとコメントを残していく。

 みんな、リラックスしてるんだなって感じる。

 心の奥が温かくなっていく。


 季節はあと少しで5月。

 Vtuberを始めて、ASMR配信を始めて、もう一年。

 マイクの向こうにいる、みんなのことが、私は大好きなんだと思う。


 

「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「今後どうなるんじゃっ……!」


と思ったら


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面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!


ブックマークもいただけると本当にうれしいです。


何卒よろしくお願いいたします。

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