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海魔咆哮!月夜の船上決戦と幻の島への上陸


満月の光が銀色の道筋を海面に描き出す中、桃色助平太一行を乗せた老船頭・浦島太郎の漁船は、幻の島「月見ずの島」へと近づいていた。しかし、その神々しい光景を打ち破るかのように、突如として船の傍らの海面が黒く盛り上がり、巨大な影が姿を現した!

「グルオオオオオオッ!」

それは、家ほどもある巨大な頭部と、そこから突き出た一つ目、そしてヌメヌメとした黒い巨体を持つ、伝説の海の魔物「海坊主」であった!その一つ目は、満月のように赤く輝き、船を丸呑みにせんばかりの巨大な口からは、磯の香りと共に恐ろしい咆哮が放たれる!

「ひゃあああ!出たー!本当に海坊主が出やがった!」辰五郎が腰を抜かしそうになる。

「な、なんという巨大さ!そして、あのヌメヌメとしたお肌の質感!まるで、最高級の黒漆を塗りたくった、巨大なる…むふぅ、男根のよう!この助平太、その『海の漢(おとこ)』の雄大さに、畏敬の念を禁じ得ませぬぞ!」

助平太は、恐怖よりも先に、海坊主の持つ特異な「美」に感動し、早くも筆を取り出そうとしている。

「このド変態!見惚れてる場合かゾ!船が沈められる!」プルルンが助平太の頭の上で絶叫する。

老船頭の浦島太郎は、さすがに長年の経験を持つだけあって冷静だった。

「落ち着けい!海坊主は月の光を嫌うという!そして、奴の弱点は、あの巨大な一つ目じゃ!そこを狙え!」

海坊主が、巨大な腕を振り上げ、漁船めがけて叩きつけてきた!船が大きく傾き、マストが軋む音を立てる!

「きゃあああっ!」カゲリが体勢を崩し、海に投げ出されそうになるのを、辰五郎が間一髪で腕を掴んで引き上げた。その際、カゲリの着物が海水で濡れ、肌に張り付き、その美しい体のラインがあらわになる。

「おお!カゲリ殿!その濡れ姿!なんと!なんと悩ましげな!まるで、海神に捧げられた生贄の乙女のよう!この助平太、その『海の幸』を、じっくりと味わい…いや、拝見したいものでござる!」

「今はそれどころではないだろう、この変態が!」カゲリが怒鳴る。

「総力戦でござるぞ!あの海坊主殿の『悲しき一つ目』に、我らが『愛の一撃』を叩き込むのでござる!」

助平太の号令(?)一下、船上での死闘が始まった!

カゲリは、濡れた着物も気にせず、マストにするすると駆け上がり、海坊主の巨大な一つ目めがけてクナイを投擲する!しかし、海坊主の外皮は硬く、クナイは弾き返されてしまう。

「くっ…硬い!」

辰五郎は、船に備え付けられていた巨大な銛を掴むと、浦島太郎の操る船が海坊主に接近した瞬間を狙い、渾身の力でその一つ目めがけて突き出した!

「江戸っ子火消しの心意気、なめるんじゃねえぞ、このデカブツが!」

銛は、海坊主の目の縁をわずかに掠めたが、決定打には至らない。

プルルンは、海に飛び込むと、巨大な電気クラゲに擬態し、海坊主の足元(があるのかどうかは不明だが)にまとわりつき、微弱な電気ショックでその動きを鈍らせようと試みる!

「このヌルヌル野郎!アタイの電撃で痺れさせてやるんだゾ!」

そして助平太は…

「おお!海坊主殿!その一つ目から流れる涙(ただの海水だが)!なんと美しくも儚い!それは、海の底で孤独に耐える、貴殿の『魂の叫び』なのでござろうか!?この助平太、その悲しみに、深く、深く共感いたしますぞ!」

助平太は、お龍から貰った「七色催涙煙幕」を取り出すと、それを海坊主の一つ目めがけて投げつけた!

「さあ、海坊主殿!もっともっと涙を流し、その悲しみを洗い流すがよい!そして、その涙で濡れたお顔を、拙者が優しく拭ってご覧にいれましょうぞ!」

七色の煙幕は、海坊主の巨大な一つ目を直撃!煙幕に含まれていた南蛮渡来の刺激物が、海坊主の目に強烈な痛みを与えた!

「グオオオオオオオオオオオオオッ!」

海坊主は、これまで以上の苦悶の叫びを上げ、その巨体をのたうち回らせる!その衝撃で、船は木の葉のように揺れ動き、一行は立っているのもやっとの状態だ!

その時、満月が雲間から顔を出し、ひときわ強い光を海坊主に投げかけた。さらに、目指す「月見ずの島」からも、まるで呼応するかのように、淡く優しい光が差し伸べられた。

「…月の光…そして、島の光じゃ…!乙姫様が、我々に味方してくださっておるのかもしれん…!」

浦島太郎が、畏敬の念を込めて呟いた。

月の光と島の光を浴び、さらに目の痛みに苦しむ海坊主は、ついに戦意を喪失したのか、あるいは何かに怯えたように、大きな水しぶきを上げて海の底へと姿を消していった。

「…行ったか…」辰五郎が、荒い息をつきながらへたり込む。

「ふぅ…またもや、拙者の『愛』と『変態的発想』が、強大な敵を退けてしまったようでござるな…。しかし、あの海坊主殿の『苦悶の涙』、実に素晴らしい芸術作品が描けそうでござる…」

助平太は、ずぶ濡れになりながらも、満足げに筆を握りしめていた。

船は多少の損傷を受けたものの、沈没は免れた。浦島太郎は巧みな操船で、ついに一行を「月見ずの島」の白砂の浜辺へと導いた。

島に上陸した一行が見たものは、まさに幻想的な光景であった。透き通るような青い海、きめ細かい白砂の浜、そして奥には、見たこともないような色鮮やかな花々が咲き乱れる、亜熱帯のジャングルのような森が広がっている。しかし、その美しい自然とは対照的に、森の奥には、かつては壮麗であっただろうが、今は蔦に覆われ、半ば廃墟と化した、巨大な建造物のシルエットが見えた。あれが、伝説の「竜宮城」なのだろうか。

「おおおおおっ!この島!この空気!なんと清浄で、そして…エロティックな香りに満ちておることでござろうか!この白砂の浜は、乙姫様が裸足で戯れるためのもの!そして、あの森の奥には、乙姫様の秘密の『閨(ねや)』が…!この助平太、今、猛烈に『探検』したくなってまいりましたぞ!」

助平太は、新たな「美の宝庫」を前に、興奮を抑えきれない様子だ。

「…なんだか、空気が重いんだゾ。美しいけど、どこか悲しい感じがする…」

プルルンは、島の不思議な雰囲気に、何かを感じ取っているようだった。

一行は、廃墟と化した竜宮城を目指し、島の探索を開始した。道中、奇妙な形をした珊瑚の石碑や、真珠で飾られた朽ちた門など、かつての海の民の文明の痕跡が点在している。

やがて、彼らは竜宮城の中枢部と思われる、ひときわ大きな建物の入り口へとたどり着いた。しかし、その入り口は、巨大な真珠貝の扉で固く閉ざされており、その前には、まるで番人のように、巨大な蟹と蛸の妖怪が二体、威嚇するようにハサミと触手を振り上げていた!

「何奴だ!ここは乙姫様の聖なる眠りを妨げる場所ではないぞ!」

蟹の妖怪が、泡を吹きながら警告する。

「おお!なんと!蟹殿のその逞しきハサミ!そして蛸殿のその柔軟なる触手!これはまた、新たな『造形美』との出会い!この助平太、貴殿方のその『海の幸』を、じっくりと味わい…いや、鑑賞させていただきたいものでござる!」

次なる鍵の破片、そして乙姫様の謎を求め、助平太一行の新たな戦いが、今、始まろうとしていた!

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