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カナリア  作者: 名無し
9/14


ルナ「ローラ!!ごめんね、ピーちゃんを近くで見たくて鳥籠を開けたら、飛んでいって窓から逃げちゃったの。一生懸命探したんだけど、見つけられなかった」


高揚感の中、すらすらと嘘をついた。

空になった鳥籠を見てローラの顔が曇る。


ローラ「え…どうしてピーちゃんは逃げないよ」


確かに、逃げなかった。

ドクン、と心臓が響く。


ルナ「でも、逃げてしまったの…本当にごめんなさい」


ローラ「…お父様に言いつけてやる。お父様は逃げないって言ってたもの!!ルナの嘘つき!!」


ルナ「ごめんなさい」


怒りながら涙を浮かべるローラに謝罪をするルナ。

ローラは鳥籠を持って自宅の方向に走り去ってしまった。



----------


その日の夜、ルナの父は血相を変えてルナの部屋に乗り込んできた。


お父様「ルナ!!お前何してるんだ!!」


ルナ「逃げちゃ…


ドスッ

話聞かず、父が足でルナを思い切り蹴り飛ばした。

その衝撃でルナは吹っ飛び、木製の椅子に身体をぶつけて倒れる。


ガタン!


ルナ「ぐっ…」

くぐもったうめき声をあげる。

蹴りがわき腹に命中した。痛みと苦しさで、ヒィ、ヒィと小刻みに呼吸をしながらわき腹を手で押さえる。

大きな音を聞いてシンシアがルナの部屋に駆けつけた。


シンシア「アナタ、やめてください!」


シンシアは状況を察してルナに駆け寄り、そして抱き寄せた。


お父様「元はと言えばお前がルナをちゃんと見てないからだろ。この役立たずが!」


ゴツッ

父はシンシアの頭を拳でぶん殴った。


シンシア「うっ…子供の前ではやめて下さい」


お父様「明日、あの家にお金と代わりの鳥を持って謝りに行ってこい。私に恥をかかせるな」


バタン!


ルナの父は部屋を出て行った。


シンシア「ルナ、大丈夫?怖かったね。身体に傷はない?」


ルナ「大丈夫、痛くない」

本当はジンジンと身体が痛み、冷や汗をかいているのだけれど。


シンシア「守ってやれなくてごめんなさいね。私となんとかしましょう。だから、今日あったことを教えて欲しいの」


ルナ「ローラのカナリアを逃して、逃げたと嘘をついた」


私を庇って殴られたこの女に、私は真実を伝えた。なんて言うのか気になったから。


シンシア「まあ、それはローラが悲しむわ。でも何か理由があったのかしら」


ルナ「閉じ込められて可哀想だったから」


シンシア「ルナ…」


シンシアはルナをそっと抱きしめた。


シンシア「貴女は繊細な心を持っている。きっと自分と重ねてしまったのね」


ルナは黙り込む。


シンシア「明日の夕方、ローラのご自宅に伺ってお義母さんと謝りに行きましょう。それまでルナは身体を休めて。アザになってなければいいんだけど…」


シンシアは私を一度も責めなかった。

私はベッドに入り目を閉じる。


ローラは泣いて怒ってた。

父には思い切り蹴り飛ばされた。

身体が痛いけど、心はすっと晴れていた。

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