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カナリア  作者: 名無し
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小学校 

家に閉じ込められていた頃の私の話し相手は家庭教師のみ。読み物は新聞か書物庫にある経済書や偉人達の本。ほこりの被った昔父が使ってたであろう教科書も見つけて読んだ。テレビは勝手に付けることは許されなかった。


ただ弟が産まれたことで環境が少し変わった事もある。


義母のシンシアのはからいで小学校へ通う事になったのだ。決まった時間でも外に出られるのはとても嬉しかった。


この地区の学校は比較的裕福な家庭の子供が多かった。

今まで友達もおらず同世代の遊びも知らなかったので、最初は世間知らずという印象を周りに与えてしまっていた。

周囲と少し孤立気味ではあったのだが、ある日、隣の席の巻き髪の女の子が話しかけてきた。


「ルナちゃんはぼーっとしてることが多いね、何考えてるの?」


ルナ「えっ、あのカエサルのね、およそ人は自分の望みを勝手に信じてしまうって、言葉を…」


「なにそれっ!意味わからない!あはは」


ルナ「人は自分の思い込みを信じてそれ以外のものを無意識下で捨ててしまうって事かな」


「えーーー!普通じゃんそんな事」


ルナ「普通なの?」


「そりゃそうでしょ!てか難しい事考えずに皆んなで外で遊ぼうよ」


ルナ「学校の外では遊べないの。ごめんね」


私を縛り付けていたお婆様はもう居ないのでそんな事は無いのだけれど、遊び方が分からず咄嗟に嘘をついた。


「あー。分かるよ!うちもお母様が習い事ってうるさいもの。本当はピアノなんか嫌いなのにさぁ」


ルナ「私はピアノ、好きだけど。私は弾けないけど楽譜を見た事があるの。五線譜の上の音符を見て流れる音を想像したら楽しかったな。だからピアノを習える貴女が羨ましいよ」


「そうかなー。ルナちゃんって変わってるけど悪い子じゃないね。最初はツンツンしてるのかと思ってたけど、ちょっと変わってるだけなんだね」


この会話をきっかけに同学年の女の子達と話す様になっていった。少女達の話題といえばアニメや映画、新しいお洋服を買って貰った事や家のペットの話など、ルナにとっては少し退屈ではあったが同年代はそう言うものだろうと周囲を見て感じたし、それらを知らない自分が惨めで恥ずかしいとすら思った。


(家には嫌いな弟も居るし、ここの方がマシ)


少女達に話を合わせる。普通になろうと努力した。


だけど学校の勉強は簡単過ぎて、授業はとても退屈だった。ルナは同級生たちとの話に疲れると逃げるように下校時間ギリギリまで図書室で本を読む日々を過ごした。


週末のお出掛けも無いから、特別なお洋服なんて無いから、皆、家族と仲良さそうだし…


タッタッタと小走りで歩く少女が、図書室でルナを見つけると笑顔で近付いてきた。


少女「あ、ルナじゃん!なにしてるのー?あのさ、暇なら私の新しいペット見に来ない?」


ルナ「え、でも…いいの?」


少女「ちょっとくらい良いじゃん。うちにおいでよ」


よく聞くと少女の家はルナの家の帰り道の途中にあり、ルナの家から距離もそう遠くない為、容易な事だった。


ルナ「ペットって?なにがいるの?」


初めて見るペットに胸が躍っている。


少女「うちにはね、ゴールデンレトリバーとモルモットがいるの」


少女「新しく買って貰ったのはカナリア」


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