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40 澄んだ匂い

来ていただいてありがとうございます!



「エリー!!」

廊下を歩いてたら、手を引かれた。ウォルク様だった。あ、やっぱりまずかったかな?失礼すぎちゃった?さっきまでの投げやりな気持ちが消えて、一気に不安になった。どうしよう、不敬罪とかで捕まって投獄とかになったら……。フィル様にも迷惑かけちゃうかも?そんなことを考えてパニックになってしまった。

「あ、あ、あの、ウォルク様」

でも予想に反してウォルク様の顔は悲しげだった。

「ごめん。気を悪くしたよね?」

あれ?なんでウォルク様が謝るの?

「そんなことはありません。こちらこそせっかくのお話なのに申し訳ございません」

私は改めて頭を下げた。気を悪くするのならウォルク様の方なんじゃないかな?

「違うから!俺はエリーを愛人とか妾とかにするつもりは無いから!」

「……違うんですか?」

ウォルク様が額を押えて俯いた。

「ああ、やっぱりそう思われてたんだね。君の雰囲気が急に変わったから、おかしいって思ったんだ」


「確かに貴族の縁談の相手は不足する能力を補うために決められることも多い。俺はエリーの魔力が気に入ってるけど、そうじゃないから!俺にとっては魔力の匂いはそのままその人の人となりみたいなものなんだ」

「人となり……」

「うん。綺麗ないい匂いの魔力を持ってる人は性格もそうなんだ。そして心が汚れてる人間の魔力は嫌な匂いがする」

「そうなんですか」

驚いた。魔力の匂いってそんなことまでわかるんだ。どんな感じなんだろう?

「エリーの魔力は澄んでいてとても綺麗だ」

ぐいっと近づいてくるウォルク様に私は大きく後ろに身を引いてしまう。フィル様、シオン様、カーラ様、ウォルク様、セイラ様……貴族の方々って美形ぞろいよね。ノアも…。ノア、手紙読んでくれたかな?


「実は俺、割と自信あったんだ。女の子から断られたこと無いから。近づいてこられることも多いし。でも君は僕の顔とか地位には興味が無いみたいだから面白い。それに嬉しい!」

年上の男の人なのに小さな男の子みたいに笑ってるウォルク様。前に一度見た海みたいな深い青い色の目をキラキラさせてる。


「断られて、ますます君が欲しくなったよ」

「え?」

ウォルク様は良い貴族の人じゃなくて、変な、じゃなくて変わった人だった?

「エリーには誰か好きな人がいるの?恋人とか、決まった人とか」

「え、いません」

貴族じゃあるまいし、婚約者なんていない。好きな人っていっても、私の周りには男の子なんてノアくらいしかいなかった。神殿に行けば友達はいたけど、恋人なんて全然だった。

「そっか。なら俺にもまだ()はあるね。エリーって今いくつ?」

「もうすぐ十六歳になります」

「六歳差か、ちょうどいいね。結婚相手としては」

ウォルク様は顎に手を当ててうんうんと頷いてる。えっと私まだ何も言ってないっていうか、さっきお断りしたよね?もう一度きちんと断っておかないとまずそう。

「あ、あの、私は先ほど申し上げたようにお断りを」

「大丈夫だよ!俺はエリーと一緒ならどこでも行くからさ」

ウォルク様って人の話を聞かない性格なのかな?

「キングストーンは兄の子が継ぐことになるから大丈夫。俺はある程度自由が利くし。何なら騎士で食べてくこともできるから!」

「ですから!私は先ほどちゃんとお断りしたので!」

「うん。分かってる。けど、俺にもチャンスが欲しいんだよね。エリーは好きな人いないんでしょ?」

「そ、それは……」



「という訳で俺も一緒に行くよ、フィル」

「え?!」

振り返るとフィル様とシオン様が立っていた。

「ひとまず式典までは滞在させてもらうから。よろしく」

ウォルク様に声をかけられたフィル様は怖い顔をしてる。シオン様は苦虫を嚙み潰したような表情でため息をついた。

「ほら、やっぱり俺もエリーの警護に当たった方がいいと思ってね。フィルに後れを取る訳にはいかないからね」

ウォルク様は一人とても楽しそう。


フィル様は王弟殿下に逆らうわけにもいかず、フィル様、ウォルク様、私でリーフリルバーンのお屋敷に向かうことになってしまったのだった。








ここまでお読みいただきありがとうございます!





元婚約者、現国王の名前ヴィンセント→レオナルドに変更しました。申し訳ありません。よろしくお願いします。

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