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Tailor-made destiny  作者: ボラ塚鬼丸
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02.カリフォルニアの青いバカ

 一足先に現地へと転送されたアンザの元へ、続けて胡桃沢が乗ったカプセルがワームホールから飛び出してくると、自動的にステルスが発動してカプセルは人の目に映らなくなった。


「おぉ!! ココが夢のカリフォルニアか……後で楽器屋行ってヴィンテージのスネア買っちゃお♪」


胡桃沢は、ご機嫌にママス&パパスの『夢のカリフォルニア』を適当な英語で歌う。


「いや、ソレ禁止されてるから! って、そんなコトより……新人君居なくね? あーしのアナ〇パールデラックスも無くなっちゃったじゃん!!」


 任務中の物品持ち帰りは任務上の規約で禁止されているため、アンザは勢いよく制止するが、意識は自分の玩具の行方に向いていた。


 二人は周囲を見渡すが、だだっ広い通りに白い毛並みの野良犬が一匹と、正面入り口がガレージになっている大きな平屋が点在しているアメリカの住宅街の他に、アオと思しき人物は確認できずにいた。


「あ、ワンコだ♪ やっぱこの時代って普通に野良犬とか居るんだねー? ほら、おいで!!」


 パチパチと手を叩き、アンザは道路の真ん中で佇む犬を呼んでいるが、胡桃沢としては狂犬病の予防接種を受けているかどうかもわからない野良犬に触れるのは、あまり感心しなかった。


 野良犬はハッとした様子で振り返り、小走りでアンザの足元に駆け寄ると何かを訴えるようにして飛び跳ねる。


「おー元気だねキミは……ってあれ? このワンコの顔、何か見覚えあるんだけど……さっきの新人君に似てない?」


「ウっソ! マジで?」


 胡桃沢も駆け寄り野良犬の情けない顔をぐいっと持ち上げ確認すると、確かにアオのような雰囲気を醸し出していた。


「お、おいワンコ! お前は今回の任務に抜擢されたブルーか?」


 傍から見れば、犬に日本語で話し掛ける不気味な東洋人であるが、そんなコトはお構いなしに胡桃沢は野良犬の目をじっと見つめる。


「ド……ドゥン」


 野良犬は「ワン」でも「キャン」でもアメリカ式に「バウワウ」でもなく、太いベースの音色で鳴いた。


「おお、そうか! 君はブルーで間違いないんだな? ……ってコトは俺の実験は成功したのか!!」


 胡桃沢は感動のあまり、野良犬に変わり果ててしまったアオを持ち上げる。どうやら五十嵐の制止を振り切って転送装置に放り込んだのは一匹の犬だったようで、時空の狭間でアオと融合したようである。


 初めての任務で、たまたま組まされたリーダーの好奇心によって、アオは無残にも犬とベースが合体した何かになってしまったのだ。


「え! このワンコがさっきの新人君なワケ? 説明もそこそこにいきなり転送させた上に犬と合体させるとか、マジでアンタ鬼畜過ぎじゃね? しかも鳴き声ベースになっちゃってるし……ってか、そんなコトよりあーしの○ナルパールデラックスは? 新人君知らない?」


 アンザは元々アオだった(ソレ)を胡桃沢から引っ手繰ると、地面に下ろして自分の玩具の所在を問い質す。


 (アオ)は情けない顔でアンザを見上げると、布面積の少ないデニムの隙間から蛍光イエローの下着が見えてしまい、衝撃的な光景を目の当たりにして本人の意思とは無関係に、動物の本能によって千切れそうなほど尻尾を振ってしまっていた。


「ん? あー!! こんなトコにあったんだ? 失くならなくて良かった~♪」


 勢いよく振り続けていた尻尾をアンザに掴まれて、アオは犬とベースのみならず、自分の尻からアダルトグッズが生えているコトを知った。


「んふふ……ってか、今あーしのパンツ見てたでしょ? 悪い子だなぁキミは。そんなコにはお仕置きしなきゃね? じゃあ……コレで『アオの洞窟』を探検しちゃおっかな♪」


 ゾっとするような視線を向けられて後退りするが、尻尾を握られているアオは思うように逃げるコトが出来ず、アンザは某食品メーカーに怒られそうな発言をしながら、掴んでいるソレを付け根の『出口』である穴に捩じ込む。


「ド……ドゥ……ン」


 アオは小さく鳴くと、初めての感覚に白目を剥きながら尻尾を振ってしまい、それによって自身の直腸をさらに刺激し続ける永久機関に成り果ててしまった。


「あぁぁぁ……見てるだけでコッチがゾクゾクする! 新人君、もう元の性活(せいかつ)には戻れないかもね?」


「いやいやいや、抜いてあげなさいよ! このままにしといたら新人の自我が保てなくなっちゃうから!!」


 胡桃沢は、身悶えて白目どころか泡を吹いているアオを心配し、ソレを恍惚の表情で眺めながら頬を染めて惚けた顔をしているアンザの身体を揺すると、正気に戻され水を差された彼女は、渋々アオにプラグインされた尻尾を一気に引き抜く。


「ドゥ……ドゥルルルルル」


 猛スピードで球体がアオの出口を抉じ開ける度に全身を振動が駆け巡り、高速スラップのような鳴き声を響かせると、アオはそのままぐったりと横たわって大きく呼吸する以外に身動きが取れない様子であった。


「あのねぇお嬢さん? これから仕事しなきゃなんないってのに、なんで大事なメンバー壊すようなコトすんのよ!!」


 アオは薄れゆく意識の中で『テメェが言うな!』と叫びたかったが、そんな余力も残っておらず口元からドーンというベースの四弦を弾いたような開放音が、か細く鳴るだけだった。


「ところで、仕事っつっても具体的に何すんの? あーし今回の指示書ってちゃんと読んでなかったんだけど……」


 アンザは胡桃沢に問い掛けながら、肩で息をしているアオの傍でしゃがみ込み、愛おしそうに尻から生え出た玩具を撫でまくっている。


「あー、指示書ね。俺もちゃんと読み込んだわけじゃないけど……要は『スター誕生』的な感じ?」


 当然ではあるが、そんな名前の番組をリアルタイムで知っている世代ではないので、仕方ないといった感じで胡桃沢は小首を傾げているアンザに説明を続けた。


「んーと、この時代って向こう十年以上ベトナム戦争が激化するんだけどさ、もうちょっと経つとこの辺の大学でも学生運動が展開されるワケ。んで、その時にカリスマ……ってほどじゃないにしても、カウンターカルチャーの象徴みたいな人材が必要になるってぇんで、そういう人を育てるのが今回の指令ってコトよ! だから反戦唱えそうな気合入ってるヤツ探してちょーだい♪」


「え~面倒臭そう……ってか、それって誰でもイイっつーコトじゃないんでしょ?」


 右も左もわからない広大なアメリカの地で、反戦のカリスマに育て上げる人材を発掘するなどという途方もない計画を聞かされ、アンザは既に心が折れそうになっていたが、そんなコトよりもアオの尻尾を自分の体内に入れてみたいという衝動で、胡桃沢の話など半分程度しか頭に入っていなかった。


「だから探すんでしょうが! そのためにも人を集めなきゃなんないから、新人の彼には犠牲になってもらってだね……」


 胡桃沢にとって、初仕事で面識のないアオは客寄せの人柱に過ぎなかったようである。そんなやり取りを大声で繰り広げていると、周囲からの視線が刺さり始める。


『あれ? 君達、この辺りじゃ見掛けない顔だね? 観光客? ……にしては不思議な格好してるけど?』


 住宅街には似つかわしくない、奇怪な犬を抱いたコールガールのような出で立ちの女性と、東洋人の中年男性という組み合わせは、アオが犬と融合せずとも十分に目立っていたようで、突如として通りがかった彼女連れの地元青年から声を掛けられた。


「あ、あぁ……えーっと、ちょ、ちょっと待ってね?」


『ハーイ! あーしらこの辺で人探ししてるんだけど……色々と話訊かせてもらってもイイかな?』


 胡桃沢が現地人に突然話し掛けられたコトに驚き、翻訳機能の付いた小型のイヤホンを装着しようと手間取っているウチに、アンザが流暢な英語で会話を始めた。


「おぉ! 準備整ってんじゃん!! いつの間に翻訳のマウスピースまで付けてたんだ?」


「はぁ? あーし、これでもオーストラリア生まれの帰国子女なんだけど? そんな道具無くたって英語ぐらい喋れるし♪」


 アンザは父親の海外赴任中に生まれ、小学校高学年まではオーストラリア在住だったので日常会話レベルの英語は問題が無く、そこを買われて今回の任務に抜擢されていたのである。


「人は見かけによらねぇな……ちょっとだけ尊敬したわ」


 呆気にとられつつも胡桃沢は翻訳機を装着して、声を掛けてきた青年達に向き直った。


「んん! 失礼。それで……お尋ねしたいのはですね、この辺りで……何て言ったらイイんだろ?」


「え? もしかしてノープランでコッチ来てんの? さっさと対象者見付けて洗脳しなきゃなんないのに!」


 まさか会った人間に片っ端から戦争反対の思想家かどうか、一人一人聞いて回るワケにもいかず、胡桃沢は青年達に言い掛けた言葉を飲み込んだ。


「何かトラブルみたいだけど……君達は誰かを探してるってコトは間違いないんだよね? 説明が難しいのかな? ボクらで良かったら力になるよ!」


 大人しい感じのアイビーファッションに身を包んだ青年は、こちらをまったく警戒するコト無く笑顔で対応してくれる様子である。


「おお! そりゃ心強い!! いや、実はその……ほら、あなた方の住んでるアメリカって、例の……東南アジアの国とドンパチやってらっしゃるじゃない? それで君の……」


「あぁ、まだ名乗ってなかったね? ボクはデイビッド。それでこっちは彼女のジェシカ。東南アジアの国ってベトナムのコトでしょ? 近々本格的に軍事介入するコトが決まったからね? もちろんボクも志願するつもりだよ。父が海軍兵士でシルバースターも貰ってるから、ボクも父のような立派な兵士になりたいんだ!」


 胡桃沢の目論見も空しく、彼は見かけによらず反戦どころかバリバリ好戦的な青年であった。


「そ、それはまた……素敵な目標をお持ちでいらっしゃる。あ! 申し遅れました、我々は日本からやってきました旅の者で……私はクルミザワで、コイツがアンザって言います」


「Oh! 日本からわざわざアメリカに? そうか、日本か……じゃあ、その……君達はアメリカに対して、何て言うか、敵対心みたいなモノとか……持ってたりするんじゃないのかい?」


 第二次大戦後のアメリカ人が、日本に対して抱いている感情は様々であろうが、デイビッドは言葉を選びながら胡桃沢の反応を窺う。


「ん? あぁ、アメリカに対してって……そうか、この時代だと戦後まだ二十年ぐらいだからか……んんっ! いや失礼。個人的には恨んだり敵対心も持ってないですね。そういう人も居るとは思うけど、そもそも俺と君が争っていたワケじゃないし、憎しみからは何も生まれない……んじゃないかしら?」


 教科書のような発言が自分の口から漏れ出て、胡桃沢は恥ずかしそうに頭を掻いているが、アンザは何やら怪訝そうな顔でデイビッドを睨み付けている。


「ってかさぁ、お兄さんて兵士になるつもりなんでしょ? そんなヒョロヒョロで大丈夫なワケ? もしかしたら、あーしみたいな女の子にも倒されちゃいそうなんだけど?」


 優等生のような言動をする胡桃沢に対し、アンザは小バカにしたような態度でデイビッドを挑発している。


「アハハ! ボクはこう見えてもハイスクールでは体育のカリキュラムで学年上位に入っているんだよ? さすがに君みたいな小っちゃい女の子に負けるハズ……」


 デイビッドが話し終える前に、アンザは彼の足元に飛びつき簡単にテイクダウンを取ると、路上に組み伏せてマウントポジションの体勢になった。


「あは♪ 小学生相手にするぐらい簡単だったんだけど? こんなんじゃ戦地でソッコー殺されちゃうんじゃない?」


 驚いた表情のデイビッドの腹の上でバランスを取りながら、アンザは舌を出してさらに挑発を続ける。


「い、いまのはちょっと油断しただけだよ……まぁ、君が普通の女の子より少しは強いのは確かなようだけど、男のボクが本気になるなんて……ねぇ?」


「へぇ~? じゃあ仕切り直してみる? あーしは打撃使わずに組技だけで勝負してあげるけど♪」


 アンザはそう言って両手をヒラヒラさせながら、素早くデイビッドから離れて垂直にジャンプを二度三度繰り返す。


「ぼ、ボクも舐められっぱなしで終わるような男じゃないよ? 怪我しても知らないからねっ!」


 ズボンに付いた砂埃を払いながら、語気を強めたセリフを言い終えるなりデイビッドが飛び掛かると、流れるような動作でヒラリと躱されてアンザに背後を取られる。


 咄嗟にガードの体勢になったデイビッドの首元にアンザの細い両腕が差し込まれ、親指を支点にネルシャツの襟を掴んで身体を前に倒すと同時にデイビッドが『グェッ』と小さく鳴いた。


「あ、ヤバ……急に飛び掛かってくるから送襟絞め掛けちゃった!」


 綺麗に入ったようでデイビッドは一瞬で落ちてしまい、アンザが手を離すと力なく路上で大の字になった。


「んもぉ~! なんで出会ったばっかの相手絞め落としちゃうかなぁ……警察沙汰とかマジで勘弁してほしいんだけど」


「そんなコト言ったってこの人が本気になっちゃうんだモン! てか、か弱い女の子相手にそんなコトしないでしょ普通? ねぇ? 彼女さんも見てたよねぇ? あーし悪くないよね?」


 ゆっくりと立ち上がりながら、アンザはデイビッドが連れていた彼女に問い掛けるが、圧が凄かったのか完全に怯え切って尻もちを付いている。


「あ、あぁ……デイビッド! アタシも、殺される……」


「いやいや、いきなり二人も殺さないし! てか、この人も気絶してるだけだからね? こんな可愛い女の子がシリアルキラーなワケないじゃん♪」


 か弱いだの可愛いだのと宣っているが、アンザはダイエット目的で始めたブラジリアン柔術でメキメキと頭角を現してしまい、果てはアブダビコンバットで圧倒的な強さを見せつけて優勝を掻っ攫い、感動した王子の息子がハグしようとしたところを絞め落として記録を闇に葬られた過去を持っているのである。


「あー、お嬢さん、俺の連れがホント申し訳ない。どっかで彼氏さん休ませたいんだけど……」


 胡桃沢が低姿勢で謝罪すると、デイビッドの彼女も安心したのか自宅のガレージに案内してくれた。



**********************


『ドーン!!』

『ダダダダダダ!!』


 爆撃で周囲は瓦礫の山を作り、逃げ惑う人達に向けて焼夷弾や機関銃が放たれて悲鳴が飛び交う。


 積み上がった死体の横で少女が襲われ、行為が終わると頭を打ち抜く薄ら笑いを浮かべた複数の兵士達。


 燃え盛る炎が村を焼き払い、焦げ臭い匂いが立ち込めている。


「うわぁぁぁ!!!」


 繰り広げられる悪夢のような光景に、デイビッドは大声を上げて飛び起きたが、周囲を見渡しても目の前の悪夢が消えてくれない。


 これは現実なのだと頭を抱えると、自分の顔に硬いアイマスクのようなものが装着され、耳には小型のイヤホンが差し込まれているコトに気付く。


 もしこれを外してもなお、凄惨な現場が眼前に広がっていたらと恐る恐るアイマスクとイヤホンに手を掛ける。


「ダッハッハッ! ヤバい……この子マジで面白ぇ!!」


「いや最高だわ! 偶然会った第一村人がこんなヤツとか!!」


 誰かの笑い声を聴きながら、脂汗をじっとりと全身に纏わりつけてデイビッドがゆっくり目を開くと、そこは自分の恋人の家のガレージであるコトに気付く。


 だが様子がおかしいのは、先ほどの悪夢にうなされていた時と同じ匂いがしており、ガレージ中に煙が充満しているのである。


「戦争? いや火事か? ジェシー!! 大丈夫か?」


 煙で視界がぼやけているが、恋人の名前を叫びながら手探りでガレージを進むと人影が見えた。


「おぉ〜! 彼氏さんおはよう。ゆっくり……は、眠れてないわな?」


「あーお兄さん、さっきはゴメンね? 不可抗力とはいえ勢い余って落としちゃった……てか、そんなコトよりアンタの彼女、ジェシカちゃんマジで最高なんだけど!!」


 胡桃沢とアンザの言葉に、デイビッドは意識を失う前に起きたコトを思い出して瞬時に身構える。


 あんな悪夢を見た後に自分の彼女が最高だと言われても、褒め言葉には聞こえず、凌辱される恋人が脳裏を過り足が震えた。


「目が覚めたのね? デイビッド! 早くあなたもコッチに来なさいよ♪」


 デイビッドが両手をワイパーのようにして煙を掻き分けると、ガレージの中央で三人がテーブルを囲んでおり、この充満した煙の正体が机上に広げられたマリファナであるコトに気付いた。


「アタシの叔父さんが隠し持ってたコロンビア産……あなたも吸う? 落ち着くわよ?」


 イヤな夢を見た直後に、真っ赤な目をしてジョイントの吸い口をコチラに向けている自分の恋人が現実であるとは信じたくなかったが、デイビッドは言われるがままに彼女の隣にストンと腰を下ろし、受け取ったジョイントを肺いっぱいに吸い込んだ。


「ゴホッ! ゴホッ!!」


 普段はタバコすら吸わないデイビッドは、深呼吸するように直接煙を吸い込み、咳込むたびに視界がガクンと揺れる。


「ゲホッ! そんなコトより君達は一体何者なんだ? ボクを……ボク達をどうするつもりなんだ!」


 自分の身に何が起きているのかイマイチ理解できていないデイビッドは、煙を吐き出しながら声を荒げて胡桃沢とアンザに詰め寄ると、二人は顔を見合わせてだらしなく笑った。


「俺らは……戦争なんていう馬鹿げたコトに希望を持ってるヤツの目を覚まさせに来た、平和の使者ってトコかな?」


「ギャハハハ! 格好付けても気持ち悪いだけっすよ!!」


 真剣な話をしようとしているのに対し、ふざけた態度を取る二人に怒りを覚えてデイビッドがテーブルを力強く叩くと、バッズから解して山になっていたマリファナが崩れる。


「平和の使者? そんなヤツが何で人の恋人とマリファナでハイになってるんだよ! 一体ボクに何の恨みがあってこんなコト……」


 直前の恐怖映像と不安でコンディションが最悪であるデイビッドは、胸いっぱいに吸い込んだコロンビア産でバッドトリップに陥り、今にも泣きだしそうである。


「恨み? 君に対してそんなモノは持ってないよ。ただ……戦争は好きじゃないし、あんなくだらないコトに幻想を抱いているヤツは心底軽蔑するね。人を殺すよりマリファナでハイになってる方が断然楽しいし♪ 君はどっちがイイ?」


「ボクは……」


 カリフォルニア州では2016年からマリファナが嗜好品として合法化されたものの、当時のアメリカではもちろん違法であり、デイビッドはそれと戦地で人を撃ちまくるコトを天秤に掛けて閉口する。


 既にコロンビア産が効いており、デイビッドは真っ赤になった目を見開いて頭を掻き毟り、鼻息を荒げて勢いよく立ち上がると、音を立てて椅子がガレージに転がった。


「ボ、ボクは……ウッ、ウ……ウォロロロロロ!!」


「ちょ! おまっ!!」


 この数時間の目まぐるしい出来事により、彼の脳はオーバーヒートを起こしたようで、昼に彼女と楽しく食べたランチのサンドウィッチを立ったままマーライオンのようにリバースした。


 デイビッドの対面に座っていた胡桃沢は、不穏な空気をいち早く察知してテーブルを手前に引き、危うく貴重なコロンビア産が台無しになるところを間一髪で回避した。


 吐瀉物が巻き散らかされたガレージの床にしゃがみこみ、デイビッドが涙目で嗚咽を漏らしていると、ジェシカが優しく寄り添い彼の背中を摩る。


「デイビッド……そんなに苦しまないで? アタシはあなたがお父様のようになるコトなんて、これっぽっちも望んでないんだから」


「ジ、ジェシー……」


 デイビッドは涙と鼻水でグシャグシャになった顔をジェシカに向ける。


「ねぇデイビッド、あなたが戦地で奪おうとしている命は、今のアタシ達みたいなささやかな幸せを感じている人達だって居るハズでしょ? そんな人の命を奪ってあなたが貰う勲章なんか要らない! アタシは兵士として出世するあなたじゃなく、誰にでも優しくて平和を愛するあなたが好きなの!!」


 ジェシカが泣きながらデイビッドを抱きしめると、新たな涙が彼の頬を伝った。


「お国のタメに命を張るコトより、心から君の心配をしてくれる目の前の彼女を幸せにしてあげる方が大切なんじゃないか?」


「そーそー! ベトナム帰りなんて大半がPTSDで苦しんでんだから、地元でぬくぬく生きてる方が100倍マシだってば♪」


 デイビッドの意志が揺らいだところに、胡桃沢とアンザが間髪入れず追い打ちを掛ける。


「それで……改めて訊くけど、人を殺して偉くなるのと、彼女とこれから先も楽しくマリファナ吸ってるの、どっちがイイと思う?」


 もう、どっちの理由で真っ赤な涙目になっているかわからないデイビッドは、胡桃沢を真っ直ぐ見つめ直して口を開く。


「ボクは……ボクは、この先ずっと、誰かの命を奪ったりなんてしない! ジェシーを悲しませるコトは一生しないって約束するよ!!」


「デイビッド!!」


 歓喜の声を上げたジェシカがデイビッドを強く抱きしめる。


「はーい、よくできました♪ んじゃ、彼の新たな門出を祝って、もう一服いきますか! あーし一回やってみたかったコトあんだけど試してイイ?」


 アンザがパチパチと拍手しながら立ち上がり、ガレージの片隅に転がっているウイスキーの空瓶を手に取ると、工具箱を漁って麻紐を手繰り適当な長さに切った。


「Y〇uTubeで観た動画だと……こんな感じかな?」


 叉焼でも作るかのように、アンザは空瓶にグルグルと麻紐を巻き付けると、工具と一緒に置いてあったジッポーオイルを振り掛けてテーブルのマッチで火を点けた。


「いや、お前……何を勝手に人の家でやってんだよ? 危ないから早く消しなさいってば!!」


「まぁまぁオジサン、そう慌てなさんな。この時代だとペットボトルが無いからこうするしかないんだって……お、消えた」


 慌てて駆け寄る胡桃沢を制してアンザは工作を続け、パンク修理にでも使っていたであろうバケツの水に瓶を入れると、驚くほど綺麗な断面で瓶の底が切れた。


「おー! ホントに切れるんだ? じゃあ……この瓶を口まで水に沈めて、上に網を乗せまーす」


 アンザは教育番組のお姉さんのような口調で、底の切れた空瓶をバケツに垂直に差し込むと、水が溢れないギリギリで水面から出ている飲み口の上に、目の細かい網を乗せる。


「網の上にコロンビア産を乗っけて……胡桃沢さん、ちょっとこれに火ぃ点けてもらってもイイっすかね?」


「ホント、何なの? 上物が台無しになっちゃったらどうすんだよ……」


 胡桃沢が渋々マッチを擦ってコロンビア産に着火したのを確認したアンザが、そのまま水から瓶をゆっくり引き上げると、空瓶の中は薬剤を吸い上げた注射器のように水圧で真っ白な煙が充満していった。


「いま! いま! ほら、デイビッド連れて来てジェシー!」


 不思議そうにしていたジェシカが、先ほどまで泣きじゃくっていたデイビッドをバケツのそばまで連れて行くと、飲み口の上の網を外して瓶を彼に咥えさせる。


「それでは、宇宙旅行に行ってらっしゃーい♪」


 瓶を咥えたデイビッドの頭をバケツの水面近くまで押さえつけると、空瓶の中に充満していた煙が一気に飲み口に押し寄せた。


 気化したコロンビア産は水圧で押し上げられ、唯一の抜け道である飲み口から強制的にデイビッドの肺へと押し込まれ、たまらず顔を上げると勢い余って口に含んだ少量の水を吐き出し、続けて発射されるロケットのような白煙を撒き散らし、デイビッドはそのまま後ろに倒れ込んだ。


「イエ〜スっ! グラビティボング!! 別名インディアンボング大成功♪ さすがに破壊力ヤバいっすねー」


「ハンパねぇのはお前の行動だよ……マジで何してくれてんのよ」


 自ら戦地に赴こうとしていた一人の青年を思い留まらせ、素質さえあればカリスマとしての教育段階に入ろうというところで、アンザの奇行によりデイビッドが完全に白目を剝いている。


 ガレージの片隅では、ここに来てから全くの見せ場がなく存在すら忘れ去られようとしていたアオが、アンザから受けた仕打ちを思い出してガタガタと震えていた。


「まぁしばらく時間稼ぎが出来そうなんで、ライブの準備でもしちまいやしょーよ」


「え? ライブって……もう彼らで決定しちゃうの? リーダーの意見とか聞かないの?」


 胡桃沢が不安を抱いているのは、当然のコトながらこの時代に生み出す反戦のカリスマについてであるが、アンザはこれ以上の人材を探す気など毛頭無いらしい。


「いまさら他の人材なんて探すの面倒でしょ? ほらチャッチャとやる! デイビッドも、あーし達のライブ観たら絶対衝撃受けるから♪」


 アンザは、ラボの技術力で作られたA4サイズ程度の折り畳み式アンプを、鼻歌交じりで組み立てながら胡桃沢を急かす。


 怪訝そうにその様子を見ながら、胡桃沢も渋々ポータブルドラムセットを広げているが、アオはこれから何が巻き起こるのかわからず、アンザの足元をオロオロと歩き回るばかりだった。


「んー、ちょっと待ってね? いまギター繋いじゃうから……って、あれ? ワンコのセッティングってどうしたらイイんだろ?」


 アンプはベースと共用であるため、アンザがテレキャスターにシールドを差し込みつつ、ベースと一体化してしまったアオのシールドジャックを探す。


「まぁ……どう考えてもココしか無いんだよなぁ?」


 ポップノイズ回避のため、アンプの電源が入っていないコトを確認しつつ、アンザは小脇に抱えた『アオの洞窟』(2回目)にシールドを差し込み電源スイッチをオンにした。


「ド……ドゥーン……」


「おお! やっぱ正解だった!! あーしってば冴えてるぅ♪」


 アンザの読み通り、拡張されたアオの鳴き声はアンプから鳴り響き、その音色はロン・カーターのプレイのようにそこはかとない哀愁を漂わせていた。


「我ながら、とんでもないモンスターを造り上げてしまっていたようだ……っつーか危ねぇ~! 今回最悪ベース抜きかと思ってたわ」


 ドラムの打面を確認しながら、胡桃沢が発した無責任な発言を耳にしたアオは、先程よりも物悲しいベースラインで鳴いた。



「ヘイ! ジェシー♪ そこで気絶してるダーリン起こしてあげて? これからあーし達、二人のために演奏するから聴いててね?」


 アンザ達の作業には目もくれず、デイビッドの介抱をしていたジェシカが呼び声の方を見ると、バンドセットの準備が整っていた。


「演……奏? そんなコトよりデイビッドが……」


「アハハ! そんなコトとはご挨拶だねぇ? ってか、マリファナの吸い過ぎで死んだヤツなんて居ないから大丈夫だよ!! んじゃ、さっそく始めるからデイビッドにも見えるように抱えてあげてね♪」


 特殊素材の打面だけで構成された胴の無いドラムセットに向かって座る胡桃沢と、尻からシールドを伸ばしてアンプに繋がっているアオを一瞥して、アンザがギターを鳴らす。


 ピックを叩き付けたテレキャスターがカッティングを繰り返すと、続けざまに軽快なリズムとアタックを強調したベースラインがジェシカ達を直撃した。


 曲は1965年に世界的な大ヒットをする、バリー・マグワイアが歌った「明日なき世界」のRCサクセションバージョン。


 デイビッドとジェシカは、ベトナム戦争の泥沼を批判した反戦歌である原曲を、発表される数年前にカバーバージョンで聴かされているというパラドックスを強制的に経験させられているが、今後もし彼らが原曲を耳にしたとしても、アンザが日本語詞で歌っているので気付かれる可能性は低い。


 ただ、メッセージを彼らに伝えたいのであれば英語で歌うべきであろうという点は、演者と二人の観客の間に張られた透明なフィルムに同時翻訳された英詞が表示されるので心配は不要なのである。


 しかもフィルムの存在に気付かれないよう、予め考慮して深めにマリファナを吸わせているというアンザの用意周到さは流石と言えよう。


 アンザ達が演奏する「明日なき世界」は、現代であればそこまで轟音というワケでもない音質の楽曲であるが、夢うつつのデイビッドにも、それを抱きかかえるジェシカにとっても、当時には存在しない初めて聴くロックであり、二人の度肝を抜くには十分な武器であった。


 声と楽器で放つ、たった三分程度の音の銃弾は、デイビッドの持っていた常識や概念を粉々に打ち砕き、代わりに新たな意思を深く深く根付かせる。



狂い続けているコトに気付かなければ、世界は破滅の前夜から抜け出せないままだ



 朦朧としたままだったデイビッドは、今までの間違った自分の考えを洗い流すように、目を見開いて演奏を全身に浴びた。


 何故か視界の片隅に、母国語である英語の歌詞が浮かび上がるコトなど気にもならないほど、アンザの歌う歌が彼の琴線に触れる。


 またその言葉に撃ち抜かれた彼は、これまで何の疑問も抱かず、ただ父親の背中を追いかけ、兵士として戦場で武勲を立てるコトこそが正しいのだと、妄信していた自分を恥じた。


 ジェシカの熱弁を受けずとも、アンザの熱唱を聴かずとも、戦争で誰かの命を奪うコトが正しいハズなどないコトは、マリファナでボヤけた頭でも今のデイビッドには容易に理解出来る。


 演奏は拍手も歓声も無いまま終わり、放心状態のデイビッドとジェシカを置き去りにしたまま、アンザ達は早々に片付けを始めた。


 過去の人間に未来の楽曲を聴かせ過ぎると、音楽史に変化を起こしてしまうコトがあるので、一曲だけという組織の決まり事のもと二人はそそくさと撤収を完了させる。


 デイビッド達の前に貼られた特殊フィルムも、気付かれるコトなく無事に回収出来たタイミングでアンザが二人に駆け寄った。


「どうだった? お二人さん! 銃や兵器が無くたって戦えるってコト、解ってもらえたかしら?」


 あまりの衝撃に頷くコトしか出来ない二人を残し、二人と一匹はガレージを出ようとしていた。


「ね、ねぇ……さっきのプレイ、凄く格好良かった! アタシ達にも出来るかしら?」


 立ち去ろうとするアンザの背中に、ジェシカが問い掛ける。


「伝えようって気持ちさえしっかり持ってれば、あとはどうにでもなるよ!」


 アンザも胡桃沢も、ロックは強制されてやるモノではないと解っているので、無理矢理カリスマに仕立てようという気持ちは無く、多くは語らずガレージを立ち去る。


「はぁ……終わったわ。お前の奇行で一時はどうなるかと思ったけど、まぁ何とかやり切ったな。っつって、彼らはカリスマとして育ってくれるか心配だけど」


「それは心配無いでしょ? あーし手応えあったし。二人とも雷に打たれたような衝撃受けてたから、これでなにも感じないヤツ居ないってば!」


 不安そうな胡桃沢を他所に、アンザはスッキリとした清々しい表情をしてる。


 ガレージから漏れ出た演奏の音を聞きつけ、近所の人達が通りに出て来ていたので、騒ぎに便乗してカプセルを隠した場所までは難なく辿り着けた。


「さて、それじゃ帰りますか? ……って、このコどうすんの? リーダー!!」


「そ、そうなんだよね……って、こんな時だけリーダーって呼ばないでよ!!」


 カプセルのステルスを解除しながら、奇怪なクリーチャーに成り果てたアオを見つめて胡桃沢がオロオロと狼狽える。


「まぁなるようにしかなんないでしょ? 自分で蒔いた種なんだから。それより、あーしの〇ナルパールデラックスだけは弁償してもらうからね!!」


 他人事のようにアンザはカプセルに乗り込み、素知らぬ顔で転送を始めた。


 胡桃沢は路上で自分を見上げるアオの視線から逃げるように、空いたカプセルにアオを押し込んで先に転送させると、ため息交じりに自らもカプセルに乗り込み、元の時代に戻った。





**********************




 転移が完了してラボに戻ると、アオの姉である菊池(キクチ)奏衣(カナエ)が鬼の形相で胡桃沢を待ち受けており、その足元では既にアンザが土下座をしていた。


「はうぁ! いや、あの……これは違うんです。ちょっとした手違いがありまして!!」


「あぁ? 何が違うっつーんだよオッサン! テメェも同じ目に遭わせてやるから覚悟しとけよ?」


 胡桃沢は菊池奏衣の迫力に圧され、肩から下げたポータブルドラムがずり落ちてその場にへたり込んだ。


「まぁまぁカナエくん、弟さんは分離機で元に戻せるから心配しなくても……」


「そういう問題じゃねぇんすよ五十嵐さん! まぁこのオッサンは一年間ゴキブリと融合させるとして……オイ、クソビッチ! お前はアタシのイベントにノーギャラで出続けろ!! 全国回るまでコキ使ってやるからな?」


 宥める五十嵐の言葉を遮り、菊池奏衣はそれでも溜飲が下がらない様子で条件を叩き付ける。


 アンザは自分の願いが思わぬ形で叶ったものの、期限の決まっていない全国行脚が確定して青ざめていた。


「んじゃ、オッサンとビッチには追って連絡するんで震えて待ちやがれ! 間違っても逃げようなんて思うなよ? 地の果てまでキッチリ追い込みかけてやるからな? わかったらさっさと出てけ!」


『は、はーい……』


 演奏時以上にピッタリと息の合った返事を残し、二人は肩を落としてトボトボと部屋を出る。


 生きた心地がしないまま廊下を歩き、隠し扉を開いてライブハウスのステージ袖にある機材置き場に辿り着いた。


 ステージと機材置き場を隔てる暗幕の先では、既にその日のライブが繰り広げられており、爆音の演奏を轟かせている。


 二人は自分の楽器をその場に置き、こっそりと暗幕の隙間からステージ袖に出ると、彼らの胸中とは裏腹に盛り上がりを見せるフロアにダイブして、オーディエンスに紛れ込んだ。


 湯気が立ち昇るほど人がギチギチに詰まったライブハウスの床には、誰かが落としたフリーペーパーが踏み付けられており、その記事の片隅には、こんな内容が掲載されていた。




" 先月惜しくもこの世を去った、アメリカ西海岸のアンダーグラウンドロックシーンのカリスマ、デイビッド・スペンサーの追悼ライブがカリフォルニアで開催された。


 デイビッドは激化するベトナム戦争の最中、アメリカ国内の大学キャンパスを中心に展開された反戦運動を牽引し、ウッドストックに先駆け『ラブ&ピース』を提唱して当時の若者たちから絶大な支持を得ており、追悼ライブでは世界各地から彼の活動に賛同した多数のアーティストが集った。


 日本からは、生前の彼と友好があったLittle(リトル)Date(デイト)のヴォーカルであるエリカと、その仲間たちがゲスト出演して会場を盛り上げた。


 またデイビッドの妻であるジェシカ・スペンサーは、ステージ上でこんなスピーチをしている。



『アタシもデイビッドも、ある運命的な出会いによって本当に戦う相手を教えてもらえた。あの日から武器を楽器に持ち替えて、世界と戦った彼を心から誇りに思ってる。誰かの命を奪う側の人間にならなくて本当に良かった。そんなくだらないコトをするくらいなら、マリファナでハイになってる方が何百倍もマシだからね。ラブ&ピース!』



 そう言って、手にしたジョイントを胸いっぱいに吸い込むと、会場は大きな歓声に包まれた。”




 胡桃沢が心配するまでもなく、アンザの言った通りデイビッドはカリスマとして天寿を全うしたようだ。


 これは、秘密裏に歴史を操作してきた者たちの物語である。

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