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まぼろしのひつじ 番外編  作者: うしさん@似非南国
15/16

番外 居候と店子と異生物の噂。

さて、いい加減短編の連中回収するか……のはずが。

 結局、ランちゃんは当分月に居座ることになった。居候って奴?


「いや、リソースという家賃は払って貰ってるから、居候じゃないわね」

 砂姫屋教授はあたしの疑問にそう答える。


「店子、という奴だな」

 当の本人はのほほんとした顔でそう述べる。

 まあ、確かに、間違ってはいない。


「そうすると大家が教授で、管理人さんがお兄ちゃんたち?」

「なんで話がアパマンで進んでいくの?間違ってはいないけど、多分」

 なんとなくアパート設定のままで話を進めていたら、教授に嫌な顔をされた。


「流石にちょっと違う気がするわねえ……?

 ふむ、成程、異世界の龍種ってこんなのか……」


 そこにひょこりと中空に現れたのはウチの神龍、通称姫ちゃんだ。

 相変わらず、本名は教えてくれないので、姫ちゃん呼びで通している。


「おお、異界の龍種であるな!初めてお目にかかるだろうか」

 のほほん顔から一気に好奇心キラッキラに切り替わったランちゃんは、相変わらず知的好奇心の塊であるらしい。


「確か、貴方の本体は一度拝見してるわね。

 私の方は都市内にいたから見えてなかったと思うけど」

 月の再創造時の騒動で、ランちゃんの本体を見ている姫ちゃんは、分体も秒で見分けた。


「なるほど、それにしても、随分と消耗しておられるようだが……」

 気遣わしげに、ランちゃんは姫ちゃんの様子を見ている。


「ああ、気にしないで。あとはホントに回復待ちだけだから」

 これは本当だ。

 あたしが必要に応じて治療とエネルギーの調整をしているから、本体の方は順次回復途上にある。


 あっちこっち千切れていたパーツも、ちょっとずつくっつけている。

 色の破片は、まだもうちょっと足りないけど、これも見つけ次第地上に降りて、回収している。


 百パーセントなくてもいいのだ。あたしが補填できるから。

 ただ、高エネルギー体の放置は、厄介ごとの元になるから、今後も回収はするけどね!


「治療中ではあるのよ。時間をかけたほうが経過がいいから、そうしてるだけ」

 そう説明したら、ランちゃんは、そうか、と納得顔になった。


 ランちゃんが知ってるあたしは、実質治癒師がメインでサブが巫女の、前世前半のあたしだ。

 だから、今の雑な説明でも、納得してしまう。


 実際には、今のあたしはメインが巫女で治癒師的な奴は、サブ未満だけど。

 なにせ、この世界には魔法がありませんから!


 治癒の奇跡の力は、色の破片に由来するものだったので、実は今のあたしには使えない。

 破片の残滓の力も返しちゃったからね。


 あたしが姫ちゃんを癒せるのは、あたしが彼女の巫女だからだ。


 今のあたしも一応カミサマなんで、人間や動物相手なら、似たような事もできなくはないんだけどね。

 生き物への過干渉になっちゃうんで、やらないことにしているだけで。




「へえ?シィのぜんせ?の知りあい?」

「あの巨大な龍の、分体?」

(異界の龍?……何故、フェンリルの気配を持っておられるか)

 月管理の今日の仕事を終えて戻ってきたお兄ちゃんたちにランちゃんを紹介したら、三人三様の反応になった。


「うむ、ちと過剰なリソースを譲渡しようと、この世界への分体創出を行ったものの、出現と同時に魔力を持っていかれて、戻る手段がない。

 それに過剰リソースの一斉放出は世界のために宜しくないとの事でな。


 故に、済まぬが当面の間、この月都市とやらに住まわせて頂きたく」


 ランちゃんの方はやけに低姿勢だ。君、そんな言い方もできたんだ?


「あー、フェンリルは確か本体の内世界に居るのよ。まだいるよね?」

「うむ、我の世界では国神という制度を廃した故、普通の神狼としてのんびり暮らしておるな」

 マー君向けの補足説明をしたら、流石にあの数の神を飼うのはリソースの無駄になる故な、と、シビアな事情を語るランちゃん。


「こないだ食った世界の分のリソースは?

 余らせてここに持ってきたんだから余裕あるのよね?」

「制度改変はだいぶんと前のことだよ。

 あんな馳走が突然お出しされるとは思って居らなんだ故なあ」


 世界龍の内に展開される世界の維持には、当然ながら、本体の維持と並行して、リソースが別途必要だ。


 基本的には時空間の狭間に漂うデブリ的なものを食べてリソース変換するそうなんだけど、昨今の、ここいらへんの世界群の狭間事情は、全体的にリソースが不足気味、であるらしい。


 まあ、いわば暴飲暴食しては足りなくなって、他所の世界にちょっかい出すアホの一派が、カミサマ視線の時間感覚だとついこないだまで、ハバを利かせてたせいだけど。


 その連中の大元、元締めのいた、いわば飽食の世界を、ランちゃんは綺麗さっぱり食べつくした。

 なんでも、あたしがそう命じたからこそ、できたんだそうだけど。


 その結果、ランちゃん、ちょっぴり食べ過ぎになった、らしい。


 本能に直接従うと、完成度のより高い世界を食った世界龍って、そっちに内世界を書き換えたりするらしいんだけど、ランちゃんの場合、元の世界に凄く強い愛着を持っているから、そうしなかった。


 で、リソースが確定でダダ余りしてしまうことになったので、ぎゅぎゅっと圧縮した分体を創って、こっちにお裾分けと称して放り込んだ、というのが、今回の件の本当のあらましだ。


 リソースの方は、こちらの要請に応じて、食べ物だったり、生物種の新種だったり、そんなものに変換してお出ししてくれることになっている。


 そして、そのリソースを使い切ったら、分体は消失し、再び、暫しのお別れ、となる予定。

 ……なんだけど。


「暗黒大陸の辺り丸ごと消去からの再開発とかやらかしても余るんだけど、このリソース量」

「でもあそこに手を付けるくらいなら、南大陸やっちゃわない?

 あのヘンな種族、すっかり東方連邦にも馴染んじゃったし」

「あそこ生態系自体はあの子達コミで安定してるから、余分なリソースなんて、全然食わないわよ?」


 ……うん、お別れは当分ないな。

 千年やそこらで使える量でもないのはあたしにも判るし。


「そういえば、小の月にいた種族とやらは、我も間接的にしか知らぬな」

 サラマの記憶がある故、形態などは知らぬでもないが、とランちゃんが口を挟む。


 小の月にいた種族、彼らの民族自称はメジェッタ。

 ぷるんぷるんの巨大なゼリーみたいな見た目の、非人類型の高度知的生命体。


 十何年か前に、地上の東方連邦の調査船がとうとう彼等を『発見』してしまい、一大ムーブメントが巻き起こったのは、あたし達も観測している。


 何がとんでもないって、東方連邦では、既に彼らに割り当てられた議席が存在する。

 北大陸の未知の文明に興味を持った彼らの約半数が、東方連邦に移住したので。


 半数といっても、彼等は細胞分裂みたいな感じで、分身を作って送り込む、という愉快な技を持つ生物だったので、今も彼らの本国、南大陸での人口も、殆ど変わっていない。


 強いて言えば、南大陸には東方連邦の人が結構な人数移住して、その分は増えている。

 温暖な地のジャングルで、いろんな発見をしては交易の種にしたり、研究を捗らせたりしているようですよ。逞しいね。


 で、あの国、前身である東邦連盟時代から、少数民族には議席を割り振る習慣があるんですよ。

 むかーし、元・うちの村の相談役さんがさっくり議員になってたのも、実はその枠でのスタートだったのよ。


 その後はあの人、ほぼ自力で連邦制導入からの、初代総議長まで駆け上がったんだけどね。


 思考が逸れた。

 まあそんな感じで、北大陸とのファーストコンタクトから十年ちょいしか経ってないのに、メジェッタ族は完全に東方連邦の一員になってしまっている。


 彼等、フィジカルも優秀だし、穏やかで知性の高い種族だからなあ。

 ……ここから観察した限り、見た目は完全に愉快系だけど。


 ランちゃんも、あたしも、ちょっとこの種族には会ってみたいなあ、という話にはなったんだけど……


 どうすっかな?

 流石に今の過剰なリソースの塊であるランちゃんを地上に降ろすのは、無理よね?

説明する事が案外と多くて、もう一話延長戦ッ。

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