表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
まぼろしのひつじ 番外編  作者: うしさん@似非南国
14/16

番外 招かれざる珍客。

 こちらではお久しぶりです。しーちゃん前世の大長編を無事完結させたので、久々にひつじ番外編の更新です。

 しーちゃんことシーリーンの一人称。


 時系列:新しきカミサマ>>幻羊の朱鳥>単発短編のトリエラ>この話。

 ……本編側最終話の真朱の紅龍は恐らくこの話の直後くらいになるはず。

 月の都は地下にある。


 都といっても、人なんて住んでいない。

 住んでいるのは、所謂カミサマって奴だ。


 あたし、シーリーンも勿論、その一員だ。

 それ以外に常駐しているのは、ケスレルお兄ちゃんとその現在の仕事上の相棒であるセルファさん、黒いわんこのマーナガルム、それに雪と氷の女神、シュネーちゃん。


 創世神分体である砂姫屋シャキヤール教授は実は常駐ではない。しょっちゅういるけど。


 あとは神龍である姫ちゃんと、普段は寝ているそのご両親。

 おかあさんは異世界のどこかの龍の血を引く半神様で、おとうさんは元人間で、今はその眷属なんだって。二人とも綺麗な人。


 それ以外に月に出入りするのは、猫の神様兼冥界神のカミカ――いや、シェルハちゃんと、シュネーちゃんが来た時に顔を出していた太陽神のお兄さん、あとは彼がその時に顔をちょっと借りた、地上人でお兄ちゃんの親友のハルムレクさん、これで全部、のはずだ。


 さすがにハルムレクさんは超多忙なうえにご高齢だもんで、もうずいぶん長いこと、ここには来ていないけど。



 だから、今目の前にいるこんな人は、月にいるはずがない。



 きちんと切り揃えられた深い藍色のストレートの髪は長く、金色に輝く目は白目が殆ど見えない。

 均整の取れた長身に、髪と同じ藍色のローブ系の衣装を身に纏う、背の高い、若い男性。


 いやね、『色違いの同じ顔』は、記憶にあるんだけどね?契約、してるし。


「なんで、ここにいるの?!」

 この世界に魔力はない。

 魔力依存世界であったあの場所から来たら、大変なことになる。


 それどころか、あの世界は、既に彼の腹の中。

 いや、その身の内で再展開されて、完成した一つの世界として時を刻み続けている、そのはずなんだけども。


 そんなものを内包した状態で、他の世界にホイホイ来れるとか、なくない?


 だけど、ならば。

 いま目の前に居るコレは、どういうこと?


 勿論、世界龍、本体そのものじゃないのは、今のあたしには見ればわかるけども!!


「いや、先日呼ばれて垣間見た、魔力のない世界というモノにちと興味があってな。

 神どもの真似をしてみたらうまい具合に分体というものを作れたから、送り込んでみたという訳だ。


 久しいな、巫女にして我があるじよ。

 色形はさておき、随分ちんちくりんな姿になったものだが」

 そしてすらすらと事情を述べる藍色の男は、自分を世界龍の分体であると述べた。


 つまり、ランちゃん?

 分体とはいえ、事実上本人かいこれ!!


「……ポップした理由は判った。で、帰れるの?」

「分体生成と同時に魔力を根こそぎ持っていかれたから、無理だな。

 現状では本体との通信すら途絶しておる。


 まあ本体は本体で普通に世界龍として生活しているから、問題ないさ。

 先日馳走になった世界のリソースで、数万年程度は無補給で活動できそうだしな」


 できたら昔のようにランディと呼んでほしいねえ、とほざく辺り、あっちは当時の記憶もがっつり所持したままらしい。


 あたしの方はあの世界の記憶、大分薄いんだよねえ!!

 ランディさんはあたしを名前で呼んだ事自体殆どないから、案外覚えてる方だけど!




「うへえ、世界龍の分体……分体なのにえっぐいリソース使ってるぅ」

 取りあえず砂姫屋教授に会わせたら、絶句した。


「ここな創世神殿の分体殿にはお初にお目にかかる。

 我は世界龍の分体、というものになる。


 ほれ、先日こちらで馳走になった世界があったろう?

 滅びの予定ではなかった為か、なかなかのリソース量であった故、こちらにもお裾分けしようと思ってな、携えてきた」

 そう述べると、何処からともなくお菓子の山を取り出すランちゃんさん。


 うむ、そういうとこは全然変わってないね、君。


 というか、格納魔法は生きてるんだ?

 違うな、これその場で生成してるわ。


「どうやって出したのそれ」

「一度自ら作った事のあるものは、生成可能。

 まあ神の権能と大差ない事をしていると思えばよい」

「ああ、このヒト、真龍時代から料理が趣味でね」


 教授の質問にもさっくり回答する彼には、流石にちょっと違和感がある。

 真龍時代、もうちょっと警戒心強くなかったっけ?


「昔小の月にいた小神殿と、貴方は随分と気配が似ておられる」

「小の月……?」

 そんなふたりの会話は、お互い相手の知識を確認しないまま続く。


「ええっと……前回いた世界にあった、そっちの世界でも異世界産だった、多分宇宙船。

 ランちゃんが世界龍になる直前くらいに、そっちの世界を離脱して……ううむ、なんかそこらへん、身体がなかったせいか、記憶が曖昧だわ」

 しょうがないから解説を入れたのはいいけど……


「其方はその月の船と共に去っていったのだから、この世界にあるのでは?」

 そういえば、離脱時になんかあったな、まったく覚えてないけど、と思っていたら、ランちゃんから衝撃の事実がお出しされた。


 つまり、あたしがこの世界に戻ってきたの、必然?


 ぜんっぜん、覚えて、なかった。

 今も、ぼんやりと、なんかそんなことが、あったような、なかったような、程度にしか、思い出せない。


 なんでだ?あっちの神様絡み?とも違うよね??


「宇宙船……あー!!あの南大陸のヘンテコ生物のフネか!!!」

 そして、そこまで説明したところで、やっと教授が思い出したぞ!と叫ぶ。


「そうなの?住民がいるとは聞いてたけど、あたし、直接会ったことがなくって」

 一緒に戻ってきた、らしいけど、道程は一切記憶してないのよねえ。


「ちょっと待ってね、確かあいつらと一緒に何か……ってこれ、昔メリ子と交換した分体……?なんか既に実体喪失して残滓化してるけど……」

 分体の交換なんてしてたのか。メリ子って誰だ?


 なんか微かに記憶にひっかかりはあるけど、あ、うん、禁止事項だ。


「昔、ちょっとくらいは他所と付き合いのあった頃に仲良くなった女神がいてさ。

 友情の証!とかいって分体の素、みたいなものを交換した事があるのよ。

 あたしが貰った方はシェルハとその姉の素体にしたから、今はシェルハに使った方の半分しか残ってないけど」

 あたしがあからさまに疑問顔だったせいか、教授が解説してくれた。


 ほほーん?ってああ、冥界神ちゃんの本体、確かにちょっと……

 だめだ、微妙に印象が分散する。思い出すのが阻害されてる。


 いやまあそれは仕様だ。

 この世界のカミサマやるのに、あっちの記憶は邪魔だから、だったはずだし。


 なお、前世世界の事を思い出そうとしなければ、シェルハさんの顔はちゃんと思い出せる。

 なかなか記憶阻害の仕様がごっついなぁ。


 ……いやでも、今ここに分体とはいえ、ランちゃんが居る時点で、記憶阻害、必要?


「あー、そういえば他所の世界、特にあっちの神がらみの記憶が薄くなるとか言ってたっけ、しーちゃん。

 ……なるほど、引っ張られるとうちの世界の境界が緩む……?違うわね、逆か?」

 教授が分析しようとしてるけど、それもどうも干渉になってる、ような?


「緩むのは我の腹具合だな、いや、ものの例えだが」

 そこでランちゃんがなんか余計な事を言う。


 あたしの記憶が復帰することで、この世界の境界の力が強まり、ランちゃんの本体の中の世界の境界が緩む、そういう話らしい。


「ただ、境界が緩むと言っても、既に我という万全の殻を纏った世界である故な、問題ない。

 世界龍の鱗はそう簡単には突破できぬよ」

 こちらの世界の方も、緩めの境界が強化されるならそのほうが有難い、らしい。


 というわけで、教授がちょこっと設定を弄ってくれることになった。


 神々の名前まで思い出すのは、流石に事故があり得るから、というのでそこだけ制限し、後はある程度気が向いたら思い出せるようにしてくれるそうな。


「精査しながらだから、ちょっと日を跨いで寝てもらう感じね」

「はーい、予定空けときます」

 特に異存はないし、予定を空けるといっても、あたしの場合緊急性のある用事は、基本的にあまりない。


「見学しても?」

「いいわよ、むしろ君は居てくれる方が楽かもしれない」

 ランちゃんも立ち会うことになるらしい。


 まあ教授と合わないとかじゃなくて、良かった。


 現状だと本体に戻れないらしいから、住民が一人追加、かぁ。

 お兄ちゃんには取りあえず紹介しなくちゃ、よね!

ええ、あれ、壮大なスピンオフ、だったんですよ……


多分ランディさんちゃん、セルファと相性悪そう。


続きます☆

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ