頭に「わ」のつく映画といえば?
さて、「あ」から始まったこの映画エッセイも、今回の「わ」で最終回。
44番目に取り上げる作品、頭に「わ」のつく映画。
「ワナオトコ」を紹介します。
原題は「THE COLLECTOR」。
2009年のアメリカ映画。監督はマーカス・ダンスタン、出演はジョシュ・スチュアート、マイケル・ライリー・バーク、アンドレア・ロスほか。
金庫破りの前科がある内装業者の男・アーキンは、貧乏ながらも真面目に働いていました。
ですが、元・妻が抱えた借金を返すため、再び罪を犯そうと決意します。
内装の仕事を請け負った家が、宝石ブローカーで自宅に宝石を保管しており、しかも家族旅行でしばらく留守にする……アーキンは、家族不在の間に、盗みに家に入ります。
ところが、誰もいないはずの家の中で、足音が聞こえます。
自分以外に、もうひとり「侵入者」がいるのです……。
なぜか「侵入者」は、家族不在のこの家の窓に板を打ち付け、内側から改装しているようです。なぜこんなことをするのか?
自分の脱出経路が狭められていることに気付いたアーキンは、なんとか逃げようとしましたが……そこで、「侵入者」は誰かを連れてきました。
なんと、旅行に出かけているはずの、この家の家族でした。
どういうわけか、「侵入者」は、家族が不在の家を狙って侵入し、その自宅に数々のトラップを仕掛けてから、出かけた家族をさらってきて連れ戻し、脱出しようとしてトラップにかかり、死ぬ様子を間近に楽しむ……そんな変態のようです。
侵入者=ワナオトコが仕掛けた残虐な罠から、アーキンは脱出できるのか……そんなホラーです。
板が打ち付けてある窓から、なんとか板を剥がしてそこから逃げようと手を掛けると、板の裏側の見えない位置に刃物がセッティングしてあり、指を切ってしまうとか、そういう地味な罠かもあれば、ドアを開けると一撃で死んじゃうような危険な罠まで、あれこれとバリエーション豊かな罠が設置してあります。
監督のマーカス・ダンスタンは、「SAW」シリーズの脚本家でもあり、「痛い映画」好きのツボを押さえた作りになっております。
家族旅行で留守だと知っている家に忍び込んだ泥棒が、乗り込んできた凶悪な変態殺人鬼と鉢合わせしてしまい、生きて脱出するために奮闘する、なかなか面白いマッチングなのです。
この泥棒が、命からがら一度は脱出に成功するんですけど、自分の娘と同じ年頃の女の子が家に残されていると知り、彼女を救いにワナだらけの中に戻るという、男気を感じさせる行動を取ります。事情があって盗みに入ったけど、「コイツ、根っから悪いヤツじゃないなあ」と思わせてくれます。
「ワナオトコ」の続編として「パーフェクト・トラップ」(2012年)も製作されています。タイトルだけだと続編って分かりにくいですけど。