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頭に「ふ」のつく映画といえば?

 タモリがストーリーテラーを務めるテレビドラマ「世にも奇妙な物語」。


 現在では、番組改編期にだけ放送されるスペシャルドラマですが、放送当初の1990年は、毎週木曜日の夜8時から1時間、その中で3本のオムニバスドラマを放送するという構成でした。当時は現在より放送規制が緩く、残酷描写が過激でキツくて、怖いエピソードを見た夜はガチで眠れなくなった記憶があります。


 その週一レギュラー放送時代の「世にも奇妙な物語」は、脚本のストックのためなのか、番組の人気はありながらも、放送を一定期間休止して別のドラマを挟んだ後、また再開……というのを繰り返していました。


 同じ放送枠内で、休止期間中に放送されたドラマは、1時間で2本の感動系エピソードをオムニバスで放送する「大人は判ってくれない」(92年)や、同じくタモリがストーリーテラーを務める「if ~もしも~」(93年)などがあります。

 

「if ~もしも~」は、主人公がある選択肢をきっかけに「A」の人生を歩むか「B」の人生を歩むか、2通りのパターンを見せるというドラマ。

 人気となって、のちに単発映画として編集された岩井俊二監督の「打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?」も、このドラマ枠から生まれたものです。


 放送当時、私はこのドラマが好きで、サントラCDも買っていました(ゲームブックのように、トラックごとに選択肢を選んで異なるストーリーが楽しめるラジオドラマも収録されていました)。

 Y字型に進む先が枝分かれしていて、そこを歩く男は、AかBか、どちらかの道を選ばざるを得ない……実に分かりやすいシンボルマークが番組タイトルロゴに含まれており、スタイリッシュで格好良い!と思ったものです。


 最終回のタモリが「いくつかある選択肢のうち、人は、無意識に良い方の選択をしているものです。たとえ不幸だと思っても、幸せな道を選ぶだけじゃ学べないこともありますし、長い目で見れば、良い道に繋がっている。……そう考えないと、人生やってられませんって」と笑って、分かれ道を進むラストシーンが印象強いです(記憶違いだったらすみません)。


 そう、人生とは、いくつもの選択肢の連続で、それを繰り返して、自分で掴み取っているのです。


 そんな流れで……。


 頭に「ふ」のつく映画、「ふたりの5つの分かれ道」を紹介します。


 2004年のフランス映画。監督はフランソワ・オゾン、出演はヴァレリア・ブルーニ・テデスキ、ステファン・フレイス、ジェラルディン・ペラス、フランソワーズ・ファビアン。アントワーヌ・シャペイ、マイケル・ロンズデールほか。「Rー15」指定となっています。


 原題が「5×2」。シンプルです。その意味は、後で分かるとして……。


 冒頭、マリオンとジル、仲の悪そうな一組の中年夫婦が、離婚協議を終え、書類に判を押すシーンから始まります。


 文句をぶつけ合ってばかりの二人ですが、元・妻のマリオンに対し、元・夫のジルは、どこか後ろ髪を引かれる想いを持っているようで、最後に「やっぱり、やり直せないか?」と問いかけます。マリオンは答えることなく、無言のまま去っていきます。


 そして物語は、「時系列を遡る」という演出で見せていきます。


「離婚」のシーンから始まり、「倦怠期」「出産」「結婚」「出会い」と5つのシークエンス。


「倦怠期」では、よその女との浮気自慢をするジルの話を、マリオンが聞いてしまい、険悪な空気になります。


「出産」では、マリオンが「立ち会って」というのに、理由をつけてジルは出産日に病院に来てくれず、失意の中でマリオンは出産することに。


「結婚」では、結婚式でほろ酔いになったマリオンが、新郎となったジルの目を盗んで、イケメン青年とイチャイチャ。


「出会い」では、夏の日のビーチで、水着姿で出会う若いふたり……。


 ひとつのカップルの「破局」をまざまざと見せつけたあとで、過去を振り返っていき、ふたりが出会って恋に落ちる「恋愛の始まり」を一番最後に見せることで、「嗚呼、あの頃は幸せだったね」と、愛の形を浮き彫りにするラブストーリーです。

恋人に振られたばかりで独り身になった人が見たら、感情移入して泣いちゃいそうですが。 


 物語として「この先、どうなるんだ?」というハラハラドキドキは、この映画にはありません。 

「冒頭で別れた、この二人の過去に、一体何があったのか?」との興味で、最後まで引っ張られることになります。


 ラストシーン、若くてキラキラしていた思い出の輝きが、残酷なまでに煌めいています。


 この時はまだ、互いに「運命の出会い」と思っているこの恋人たちに、確実に「別れ」が待っているとは……。

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