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頭に「つ」のつく映画といえば?

 月に浮かぶ模様を見て、昔の人は「餅をつくウサギ」を想像しました。


 仏教の説話によるお話ですと、食べ物をほしがる旅の老人に対し、ウサギは「もてなすものがありません、私を食べてください」と火の中に飛び込んで自らの身を差し出したら、実はその老人が神様で、ウサギを憐れんで月の中に蘇らせた、というのがあります。


 このお話には続きがあって、火の中に飛び込んだウサギを憐れんだ神様が、その焼けた皮を剥いで月に映した、というのですが……じゃあ、皆が見上げているあのウサギさんは、「実体ではなく、焼けた黒い皮なの?」という疑問も残ります。

 しかし、それなら確かに、白く輝く月の表面で、「黒い影の部分」に「白いウサギ」を当てはめるのも納得がいく気がします。


 海外では、中国では「カニ」、アラビアでは「ライオン」、モンゴルでは「犬」、欧米では「女性の横顔」など……月の「黒い部分」を見て、感じるのは世界中で様々なようです。


 このネタ、もうちょっと膨らませて、雑学エッセイの方で取り上げれば良かったかな……?


 月の話のマクラに少し語ろうと思っただけなのに。


 というわけで、頭に「つ」のつく映画、今回は「月に囚われた男」を紹介します。


 原題は「MOON」。


 2009年のイギリス映画。監督・脚本はダンカン・ジョーンズ、出演はサム・ロックウェル、ロビン・チョーク、ケヴィン・スペイシー(声のみ)、ドミニク・マケリゴット、カヤ・スコデラリオ、ベネディクト・ウォン、マット・ベリーほか。


 近未来。


 地球は様々なエネルギー問題を抱えていましたが、月の鉱石が含んでいるエネルギーが発見されてからは、「ルナ産業」という企業が採掘を一手に引き受け、地球上の7割のエネルギー資源を供給していました。


 ルナ産業との3年契約をもうすぐ満了する、宇宙飛行士のサム。月面の採掘基地で暮らしています。

 派遣されている作業員は、サムひとりのみ。

 話し相手といえば、自律思考を備えてはいますが、単調な会話しかできないAIのガーティだけ。


 通信衛星が故障しているので、本社や家族など地球とのライブ通信が出来ず、録画メッセージでやり取りすることしかできません。


 月面で孤独に過ごす3年間の期間はようやく終わり間近。

 数週間後には、妻のテス、娘のイヴと、待ちに待った再会をすることになっています。


 そんな中、突然、サムの体調がおかしくなります。

 頭痛に加えて、幻覚、視界のぼやけ。

 作業で月面探査車を運転している最中、事故を起こしてしまいました。


 気付けば、月面基地の治療室。

 本社からは「療養を一番に考えろ、完治するまで作業は停止し、外には出るな」との指示。


 傷が治りかけて退屈していたサムは、口実を作って基地の外に出て、月面探査車でドライブに出ます。

 すると、自分が事故を起こした場所で、横転している月面探査車を発見しました。


 そこにはなんと、大ケガを負って動けなくなっている「自分」がいたのです……。


 ケガを負ったもう一人のサムを連れて帰り、治療すると、「彼」は自分と同じ記憶を持っており、自分こそが本物のサムだと主張します。

 これはいったいどういうことでしょうか……?


「月面基地という閉鎖空間において、なぜか自分とまったく同じ人間が、もうひとりいる」という謎をめぐるSFスリラー。


 あのデヴィッド・ボウイの息子、ダンカン・ジョーンズが監督・脚本を務めた作品です。


 登場人物はサム・ロックウェルの2役がほぼ全てで、あとは人工知能のガーティ(声はケヴィン・スペイシー)だけ。

 サムの家族やルナ産業の社員は録画映像のモニター内でちらっと映るくらい。


 舞台も、月面基地の内部と、月面のみです。


 中盤を過ぎ、2人のサムは協力して、ルナ産業の本社が隠している秘密に迫っていきます。そして、通信衛星を自力で修理し、地球とライブ通信した時、真相を知るのです……。


 少ないキャストと、限定された舞台設定。

 低予算作品ではありますが、キラリと光るアイデアと、魅力的な謎の提示、それを紐解いていくストーリー……。

 いやはや、発想次第で面白い作品って作れるんですね!という好例です。


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