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頭に「ち」のつく映画といえば?

 私の知人が、犬型のペットロボット「アイボ」の新しいタイプを買いまして。


 古いタイプのメカっぽいデザインの「AIBO」ではなく、本物の犬を思わせる、丸みのあるデザインの新型「aibo」。

 人間の行動パターンを覚えてくれて、本物のペットみたいに可愛げが出てくる瞬間がたまらないのだそうです。


 さて、今回取り上げるのは、無垢なロボットが、どんどん学習していく話。


 頭に「ち」のつく映画、「チャッピー」を紹介します。


 原題はそのまま「CHAPPiE」。  


 2015年のアメリカ映画。監督・脚本はニール・プロムカンプ、出演はシャールト・コプリー、デーヴ・パテール、シガニー・ウィーバー、ヒュー・ジャックマンほか。暴力描写があるため、日本ではPG-12指定となっています。


 近未来の世界。


 高い犯罪発生率を減らすため、南アフリカ政府は、大手の兵器メーカーから、人工知能を取り入れた最先端の攻撃ロボットを購入しました。


 オーストラリアの開発者・ムーアは、自分で開発した、人間の脳波コントロールで動く攻撃ロボット「ムース」の売り込みに失敗していました。

 高すぎる攻撃力ゆえに警察組織から導入を拒まれたのです。


 ロボットの設計者・ディオンは、感情を持った人工知能ソフトウェアを開発しましたが、彼の上司・ミシェルは、そのロボットを試作することを許可しませんでした。


 諦めきれないディオンは、廃棄寸前のロボットと、人工知能のアップデート用のUSBと共に、こっそりと家へ持ち帰ろうとしたのですが、帰宅途中、ギャングに襲われます。

 ギャンググループのニンジャ、ヨーランディ、アメリカら3人は(ヘンな名前)、ディオンがロボット開発者だと知った上で誘拐しました。

 手下として命令に従うロボットを欲しがり、銃で脅されたディオンは、廃棄寸前のロボットにUSBのソフトをインストールしました。


 3人のギャングは、借金を返済するために強盗を計画していたのです。

 人工知能ソフトがインストールされたばかりのロボットは、まだ何も情報を持っておらず、見た目は攻撃ロボット、しかし中身は何も知らない純真無垢な赤ん坊のようでした。


 ギャングのひとり、ヨーランディに「ハッピーになるように」と“チャッピー”と名付けられたロボット。

 チャッピーは、スラムの中で、汚い言葉遣いや、犯罪の方法などを覚えていきます。

 仲間から薦められるまま、金属のボディに文字をペイントしたり、首からアクセサリーをぶらさげたり。


 チャッピーの学習速度は驚異的であり、ギャングたちの教える武器の扱いまで覚えていきます。


 ディオンの命令で「殺人を行ってはいけない」「犯罪行為をしてはいけない」という“縛り”があったチャッピーでしたが、それを逆手に取り、

「脅すだけなら問題ない」

「ナイフで刺すのは、眠らせるだけで死にはしない」

「俺はカネやクルマをあの人たちに貸していたんだ、返さない方が悪いんだから強引に返してもらうのは正しいことだ」

 とチャッピーを騙して、戦闘能力を持たせることに成功。

 

 チャッピーは、車泥棒の手伝いまで行うようになっていくのですが……。


「第9地区」のニール・プロムカンプが手掛けたSFアクション作品。


 高い攻撃力を持つが、中身は無垢なロボットを、ガラの悪いスラムのギャングたちが拾ってイロイロ教えたらどうなるか?というアイデアは面白く、背中を曲げて独特の「ヨタる」歩き方までロボットが再現するのがリアル。

(眉毛部分の金属パーツがカクカク上下するのが、表情の変化みたいで可愛いです)


 チャーリーは「人間の死」を絵本などでしか学習しておらず、ギャングたちに教え込まれた価値観のままに動くのが、倫理観が欠落していて怖い点です。


 強盗に成功して逃げる途中、追いかけてきた警官隊たちと格闘戦になり、仲間たちを逮捕しようとする行為を“暴力”だと認識すると、

「暴力はいけないことなんだぞ、わかったか! わかったか!」

 と、警官を血まみれになるまで殴りながら連呼するという、矛盾した行動もとったりします。


 人工知能ネタというのは、SFの中でも古くから扱われたテーマであるけれど、ロボットの“無垢な暴力”が徹底的に描かれています。


 常識の欠如を抱えたまま、攻撃力や知識だけを蓄えてしまったロボットと、その周囲の人たちの悲劇。

 チャッピーが、人間のために「善意」でやった結末……これ、された方は、どうなんですかね?


 余談だが、ギャングのひとり・ニンジャがラストシーンで着ているオレンジのツナギみたいな服の足の部分、日本語のカタカナで「テンション」って書いてあるのが気になりましたけど。なにあれ。

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