4月9日 その後
高橋 バイトの先輩。記念日に詳しい。
田中 バイトの後輩。「〜っす」が口癖。
ここはとある郊外のマンションの一室。
「そういえば高橋さん、最近よくテレビつけてますね」
「ああ、どちらかというと無音より少し音がある方が集中できるたちでな。特にみてなくてもテレビをつけたり、ラジオを流したりするのが好きなんだ」
「へー。あれ?でもちょっと前までつけてなかったじゃないっすか?」
「武さんたちがいるときはつけないようにしてるんだよ。ラップ音が聞こえにくくなっちゃうからな。メールは意外と疲れるらしくて、基本的にラップ音で意思疎通してるし」
「なるほどー てことは今日も武さんたち外出してるんすね。最近多いっすねー」
「あー…まぁそうだね」
「? なんか歯切れの悪い言い方っすね?何かあるんすか?」
「えーと…武さんたちが外出してるのはその…気をつかってるというか…」
「気をつかう?誰にっすか?」
「その…俺たちにだけど…」
「えっ?なんでですか?ぼくたちの仲なのに…」
「いや、その…ふたりっきりにしてあげよう、的な?」
「あっ…///な、なるほどー それはそれは…」
「最近は田中くんがくる予定を伝えると、わざわざ夢枕にたって『その時間、みんなで外出するから!人目があるといろいろできないでしょ!いろいろ!』って言ってくるからな…まったくあの人たちは…」
「いろいろ…/// …でも…」
「ん?どうした?」
「高橋さんって、そういうのしたいって言ってこないですよね?その、いろいろ…」
「あー…///まあ、その…大事にしたいというか…がっついたらひかれるんじゃないかとか…あれこれ考えちゃってな」
「やさしいというか、ヘタレというか」
「うっ…」
「でも…ぼくはしたいですよ…?/// その…いろいろ…///」
「…ッ‼︎ …」(テレビの電源オフ)
「あ、た、高橋さん…」
「…」(ズイッ)
「あっ…///…‼︎」(目をつぶる)
バチン
「…やっぱり隠れてたんですね、武さん…」
「…えっ?」
…
ユーガッタメール!
『ニャ、ニャー』
「猫の鳴き真似はメールでやっても意味ないでしょ!まったくもう…」
「…もしかして貴子さんもいたりとか…?」
…
ゆーがっためーる‼︎
『チュー、チュー』
「この出歯亀幽霊夫婦が…」
「最低っす…せっかくもう少しで…」(ブツブツ)
「まあ…また今度な」
「…言質取りましたからね」