1月25日の前の話
田中 バイトの後輩。「〜っす」が口癖。やったー!クリスちゃんとおんなじシフトだー!
滝川 バイト仲間。本名は滝川 照。あだ名は「クリス」(命名 田中) 会話は初登場。
高橋 バイトの先輩。記念日に詳しい。とうとう番外編では出番もなくなった。
ここはとある郊外のコンビニ。
バックヤード
「お疲れ様でした、田中さん」
「お疲れ〜 今日、なんか地味に忙しかったね」
「そうですねー」
「でも久々にクリスちゃんとシフト一緒だったけど、仕事がかなり手慣れてきたね!」
「本当ですか!嬉しいです!」
「もうすっかり一人前だねぇ。フォッフォッフォッ、もうワシから教えることはないようじゃな!」
「なんで急に老師みたいな喋り方に…でもそんなことないですよぅ。今日も田中さんにいっぱい助けてもらいましたし…私も田中さんみたいに後輩のサポートをできるようになりたいです!」
「いやいや、ぼくなんて大したことないよ。ぼくも高橋さんぐらい仕事できるように!って思ってやってるけどまだまだだし」
「高橋さんですか?」
「うん。ぼくが知る限りだとあの人が1番仕事ができると思うよ」
「そうなんですか?みんなの噂では、その…なんというか…」
「あー、ぼっちとかコミュ障とかってイメージでしょ?」
「あ、あはは…」
「ちょっと人見知りするのとマイペースだからね、あの人。でもほんとに仕事ができるんだよ!そしてそれをひけらかさないんだよね!気がついたら仕事が楽になってる感じかな」
「あ、でもわかるかもしれません。高橋さんと同じシフトのときは、なんでこんなに暇なんだろうって思うことが多々ありました」
「でしょ!裏で仕事終わらせてたり、こっそりこっちのサポートしてたりするだよね。…それで暇な時間ができるのに自分からはあんまり話さないから、コミュ障って言われるんだけど…」
「なるほど、そういうことだったんですね。でも、最近高橋さんってよく喋るようになったって言われてますよね。田中さんとお付き合いし始めた影響ですかね?」
「…ちょっと待って。誰と誰が付き合ってるって?」
「えっ?田中さんと高橋さんですけど…あれ、違うんですか?」
「ちちち、違うよ⁉︎誰⁉︎そんなこと言ってたのは⁉︎」
「えっ、割とみんな言ってるような…この前温泉旅館に泊まりがけで旅行に行ったって聞きましたし」
「あ、あれはトラブルで帰れなくなったから、仕方なく泊まっただけだから!」
「それとか田中さんが風邪をひいたとき、高橋さんのお宅で看病を受けたとか」
「そ、それもうちに誰も居なかったから仕方がなく高橋さんのお世話になっただけで!」
「あと田中さん自身がゼミでお付き合いを始めたって宣言してたと伺ったんですけど」
「それは…!ちょっと待って、それ誰から聞いたの⁉︎」
「この前入った新しいバイトの方です。寺島さんって人なんですけど、お姉さんが田中さんと同じゼミだとかで」
「千佳ちゃんの弟だ…あ、あれはその…その場を乗り切るための嘘というか…」
「よくわからないんですが、結論としては田中さんと高橋さんは付き合ってないということでいいんですか?」
「そう!そういうこと!1ミリも付き合ってないから!」
「そうなんですね。じゃあ高橋さんはフリーってことですか?」
「もちろん!あの人は生まれてから今までずっとフリーだよ!」
「そうなんですか。…じゃあ私、狙ってみようかな…」
「…えっ?ほ、本気で?」
「ええ。自分でも単純だとは思うんですが、やっぱりあの強盗から助けてもらってから、カッコいいなーと思うようになりまして…」
「へ、へー、そうなんだー…」
「田中さん、応援してくれますか?」
「も、もちろん!お、応援するよ…」
「ほんとですか!ありがとうございます!早速なんですが、高橋さんをデートに誘おうと思うので、連絡先を教えてもらえませんか?」
「う、え、えーと…」
「…ふふふ、田中さん、冗談ですよ!冗談!」
「…えっ?な、なにが?」
「高橋さんを狙うってことがです。助けていただいてとても感謝してるってのはほんとですけど」
「そ、そうなんだ。よかったぁ…」
「すみません、田中さんの反応が可愛らしくて、つい。でも田中さんはやっぱり高橋さんのこと好きなんですね!」
「は、はぁ⁉︎そ、そんなことねーし!好きとかそんなんじゃねーし!」
「しゃべり方がおかしなことになってますけど…私、応援しますので!頑張ってくださいね!」
「いや、だからそんなんじゃないって!そ、そんなことよりクリスちゃんは浮いた話はないの?」
「私ですか?この前彼氏ができましたよ」
「ちょっと待って。その話、詳しく」
「め、眼が怖いですよ…?」