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今日は何の日 番外編  作者: 毎日がエブリデイ
13/17

1月2日 その後

高橋 バイトの先輩。記念日に詳しい。初詣では家族の健康を祈った。昔自分のことを祈ったら大変なことになったので…

田中 バイトの後輩。「〜っす」が口癖。初詣でお願いしたこと?…秘密っす。


1月2日のその後の話です。

1月2日の朝、ぼくはコンビニ前に戻ってきた。


高橋さんはまだ来てない。


スマホに目をやると、約束の時間の15分前だった。


少し早く来すぎたか…


ふう、と白いため息をつく。


なんとなく年が明けると、急に寒くなるような気がする。


コートにマフラー、手袋をつけてきたけどそれでもちょっと寒い…


ポケットからカイロを取り出し、暖を取る。


でも高橋さんの方から誘われるとは…


ぼっち脱却を目標にするって言ってたけど、急にそんなことを言い出すってことは、何かきっかけがあったのかな?


年末から今日までのことを思い出すが、特に思い当たることはない。


うーん…年末年始のバイト中に何かあったのかな?


まあぼくとしては嬉しいからいいんだけど…


はっ⁉︎嬉しいってのは初詣に誘われたことじゃなくて、高橋さんがぼっち脱却を目指し始めたことっすからね!


…誰に言い訳してるんだ、ぼくは…


「悪い、遅くなった。待ったか?」


少し息を切らしながら高橋さんがやってきた。


「いえいえ、ぼくもちょうど来たとこっす!ていうかまだ10分前っすよ」


「そっか。でも寒い中待たせたのは変わりないからな。何か温かい飲み物でも飲む?奢るぞ」


「それなら境内のとこでおしるこ売ってたんで、それをお願いします!2杯で手を打ちましょう!」


「わかったよ。それじゃ早速行くか」


「はい!」


高橋さんと連れ立って歩き始める。


しかし、この人は今日も暖かそうな格好をしているなぁ。


外から見えるのはコートとマフラー、ニット帽だけど、明らかに着膨れしている。


コートの下に何枚重ね着してるんだろうか…


あ、手袋…


ぼくがプレゼントしたやつだ。


…えへへ、使ってくれてるんだ。


「ん?どうかした?」


高橋さんがこちらを向きながら尋ねてきた。


「え、えっ?な、なにがっすか?」


「いや、なんか嬉しそうな顔してたような気がしたから」


「あ、いや、な、なんでもないっすよ」


ま、まずい…顔に出てた…危ない危ない…


「あ、そういえば、この手袋、ほんとにありがとね。めちゃくちゃ暖かくて助かってるわ」


…やばい。顔が緩む…なんとかごまかさないと…


「え、あ、そ、そうすか…ふふん!まあぼくが選んだものっすからね!機能性抜群でしょ!」


「ああ、暖かいのに指も動かしやすい」


「でしょ!ぼくも同じものを使って、これだ!と思ったんすよ!めっちゃ愛用してます!」


「えっ、あー、そうなのか…」


そう言いながら高橋さんがふいっと顔を背けた。


…?


「どうかしました?」


「いや、その…じゃあこの手袋、お揃いなんだなって思って…」


「…はっ⁉︎」


全然気づいてなかった…思わぬ指摘に顔が真っ赤になるのがわかる。


「いや!その…そういう意図があったわけじゃなくてですね!この使い心地を共有したかったといいますか…」


「あ、ああ!もちろんわかってるぞ!ほんとに使いやすいもんな、これ」


「で、でしょ!そういうことっすよ!うん!」


なんとか勢いで誤魔化した。…誤魔化せたのか?


そこからはなんとなく気恥ずかしくなって、無言になってしまった。


うー…でも、お揃いか…えへへ


はっ⁉︎これは違うんです!


えっ、何が?って…とにかく違うんですから!


と、とりあえず何か会話をして空気を変えよう!


意を決して高橋さんの方を見る。


高橋さんは、自分の手袋の方を見ながら、照れているような、それでいて嬉しそうな顔をしていた。


…こんな表情見たことないや。


話しかけようとした気持ちはすっかり霧散し、そのまま無言で歩き続けた。


時折横目で高橋さんの顔を見ながら。


ただ一緒に歩いているだけ、それだけで心が弾み、嬉しくなる。


高橋さんがぼくとお揃いの手袋を見て、あんな顔をしてくれるから。


さっきまでちょっと寒かったのに、今はそんなこと微塵も感じない。


手袋のおかげだろう。…いろんな意味で。

この後めちゃくちゃ初詣した

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