12月27日 その後
高橋 バイトの先輩。記念日に詳しい。そろそろ自分メインの番外編が欲しい。
田中 バイトの後輩。「〜っす」が口癖。番外編といえば、そう!ぼくっす!モノローグはぼくにおまかせ!
武たち 高橋の家に住み着く幽霊一家。3人+きゅうりの馬。
ここはとある郊外のコンビニ。
「高橋さん、ほんとに体重維持のための特別なことってしてないんすか?」
「してないと思うけどな。…あっ、そういえば前に店長がダイエット用のお守りを作ったことがあったな」
「えっ、それを持ってるんすか?」
「いや、それ自体は失敗作だったから廃棄されたはず。その時に幽霊に取り憑かれるとカロリー消費が高くなってダイエット効果があるとかなんとか言ってたな」
「…てことはそのお守りって…」
「ああ。体に害がないくらいで幽霊を引き寄せるってのを目指してたらしいんだけど、その塩梅がうまくいかなくてボツになったらしい」
「それって効果的にはお守りというより呪いのアイテムなんじゃ…しかし、ということは高橋さんが太らない理由の1つは武さん一家と一緒に住んでいるからってことっすかね?」
「そうなのかもな」
「なるほどー でも羨ましいっすねー 家賃も安くて、同居人もいて、それでいてダイエット効果もあるなんて。ちょっと寒いのが難点っすけど」
「ふむ。じゃあ田中くん、うちに住むか?」
「え、ええええ!そ、そそそ、それって同棲するってことっすか⁉︎」
「いや、さすがにそれは田中くんがいやだろ?俺は実家に帰るよ」
「あ、そうっすか…いえ、そこまでしていただくわけにはいかないっす」
「そうか。…あ、煙草の在庫の確認してなかったな。ちょっと裏に行ってくる」
「あ、はい。お願いします」
…あー、びっくりした…
でもちょっと前までぼくから『ルームシェアしましょう!』とか言えてたのに、なんでこんなに動揺しちゃったんだろ…?※9月23日参照
…なんかぼくばっかり自意識過剰みたいで癪だな…
よし!高橋さんもちょっと慌てさせてやる!
「意外とあったわ。陳列を手伝ってもらっていい?」
「あ、了解っす。こほん。あー、高橋さん」
「ん?どうかした?」
「さっきの話っすけどね、ぼくは別に同棲でもいいっすよ!」
「へっ⁉︎…おいおい、からかうなよ…」
「えー、いいじゃないっすかー(ニヤニヤ) …それとも高橋さんはぼくと同棲するのいやっすか?」
「いや、そういうわけじゃないけど…えーと…なんていうか、その…」
ふふふ、慌ててる慌ててる。
「冗談っすよ、冗談!ドキドキしちゃいましたか?」
「マジで勘弁してくれ…こういうのはほんとに弱いんだ…」
「まあ同棲なんかしたら、高橋さん、眠れなくなっちゃいますもんね!しょうがない!勘弁してあげましょう!」
「ありがとう…ってお礼いうのはおかしいか?あー、でも最近は田中くんが居ても眠れるようになってきたな」
「そういえばそうっすね。…なんすか?もうぼく相手に意識したり、緊張したりすることなんてなくなったってことっすか?」(ムスッ)
「というより居てくれる方が安心するようになってきたな。ほら、こたつ出してからよく遊びに来てくれるだろ?最近はいないと少し寂しいもんな」
「そ、そうすか」
「…うん、ほんとに同棲するか?君が良ければだけど」
「えっ⁉︎それはその…えっと…///」
「ははは、冗談だよ。お返しだ、お返し」
「…うー、こんなはずじゃ…///」
「第一、うちだとどちらかと言えばルームシェアになるしな。武さんたちがいるし。今ですら4人暮らし+馬だしね」
「あっ、たしかにそうっすね。やっぱり気を遣います?」
「まあ付き合いも長くて気心知れた仲だからそうでもないけど。でもふとした独り言とか聞かれてるのは恥ずかしいかな」
「あー、…あっ⁉︎」
『…ぼくにプロポーズしてくれてもいいんですよ?(ボソッ)』※番外編12月4日参照
「…///」(ボンッ)
「ど、どうした⁉︎急に顔が真っ赤になったぞ⁉︎」
「ちょ、ちょっと恥ずかしい話を思い出しただけっす…///」