陽の下に
暗闇を抜けるとそこには外の世界が広がっていた。
視界いっぱいの木々、どこからか聞こえる水が流れる音、鳥のさえずり。
(ここはどうやら森の中のようだ)
よくやく自分の今いるところを理解できた。ただ、何故こんなところにいるのかの記憶がない
「とりあえず歩いてみるか」
このとき、何気なく呟いた自分の声に驚いた。自分の記憶にある声音とは違い、なんというか若い。
若いのだ、自分の記憶にある声音はもっと太く逞しい声だったのだが、今自分が出した声はまるで少年のような声だったのだ。
自分の姿を確かめるため、とりあえず水の流れる音のする方へ進むことにした。
素足で歩くのは大変でときおり足裏に鋭い痛みが走ったりしていた。
10分だか15分だか歩いた先にようやく川を見つけた。
手のひらで水をすくうと綺麗な透明で飲めそうな感じがしたので軽くうがいをしてから顔を水に浸けてガブガブ飲んだ。
喉を流れる冷たい水に清々しさを感じ、ようやく目的を思い出す。
「そうだ、顔はどうなってる?」
そういって水面に映る自分の顔を確認した。
「若い…なんだか中学生の頃の自分みたいだ」
思っていたよりも自分の容姿は若くなっていて驚いた。自分で覚えている記憶だと、自分は30歳で、たしかに少し童顔で実年齢より若く見られがちだが、これは若すぎる。
顔に驚いていると急に後方から大きな唸り声が聞こえてきた。振り返るとそこには…