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9 帰り道

 歌詞・メロディーはヘリアンサスガールズの世界観を少しばかりではあるが流用している。おそらくだが、アルバムの1曲に入っててもそこまで違和感はないだろう。


 練習が終わって帰り道、私とショウは2人で歩いていた。もう6時すぎだが、外はまだ明るい。


 「なっちさ、お前の歌の『届かなくて』から『愛で満ちる』の部分まで、ナツアオソラのメロディーと同じだよね? バレないの? そもそもナツアオソラの作者に許可は取ってるの?」


 オリジナル曲「始まりの街」のメロディーの1部(『届かなくて 諦めずに 上を目指す 未来は 優しく 微笑んで 愛で満ちる』の部分)が、ナツアオソラ(ヘリアンサスガールズの歌の1つ;『君の所へ 僕の所へ 声を出して叫べば 曇りのこの空もきっと晴れる』の部分)のメロディーと一致している部分があるのだ。もちろん、これは意図的に行っており、また、ナツアオソラの作曲者の許可を取ってもいる。


 歌詞は変えているが、メロディーコード進行はそのままだ。私たちの歌を聞いてくれていたショウは気が付いたようだった。


 かれは私に訳を問いただした。私は、嘘を言わないようにして言葉を繕いながら話した。


 「このメロディーの元ネタが分かる人なら、必然的に私が昔所属していたユニットも知ってるでしょ。そうなったら『あ、この人ヘリアンサスガールズの人か、じゃあ同じメロディーあっても不思議ではない』ってなってくれるだろうから、大丈夫だと思ってる。そもそも気づかれないと思ってるけどね」


 私は適当な理由(言い訳、でもないが)を付けた。なぜかはわからないが、本当は許可をとっていることを話すのははばかられたからだ。


 「ヘリアンサスガールズでもメロディーが使いまわされてるのあるでしょ? あれも作曲してる人が違ったりするし、それと同じようなものだよ」


 ショウは、なるほどね、と言ってうなずいてくれた。明日は私とショウの2人で映画に行くことになっている。まだ告白はしていないが、(何故か)事実上まわりからは私たちは付き合ってると見られている(ようだ)。地味に結構楽しみにしているイベントだった。


 

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