4 次の日
シャワーを浴び、軽く筋トレをしていると、あっという間に9時になった。YouTubeで有名なアイドルのテレビ番組の動画を見ていると、長谷川くんからまた連絡が届いた。
「前田さんは部活は何やるつもりなの? 僕はあまり考えてないんだけど」
私は中学生のころは軽音楽をやっていた。特に高校生の頃は何をやろうとは考えていなかったが、しいて言えば同じように軽音部をつづけようと何となく思っていたくらいだ。「特には考えていない」と長谷川くんに伝えると、彼くんから「わかった。僕も考えてみる」というメッセージが届いた。
私は昨日と同じように普通に地下鉄で登校した。車両の中で、私はずっと長谷川くんのことを考えていた。正直そうな顔(というか、目つき)をしているから、誰にも話さないでくれることを私は信じていたが、万が一裏切られたらどうしよう。私は勝手に不安になっていた。
クラスにはまだ特に仲がいい人(で、近くに住んでいる人)はいないので、私は学校まで一人で歩いてきた。学校の最寄り駅C北駅から徒歩で8分程度。8時20分に学校に着いた。
教室は3階にある。階段を上りクラスに着くと、長谷川くんが「おはよう」と挨拶してきた。
正直、私は長谷川くんのことが少し気になっている。私は昨日の話の続きのつもりで、「昨日聞いてきてたけど、結局長谷川くんって部活何にするの?」と話しかけた。
「いや、特に考えてないけど、山村の影響で軽音部にしようかなと思ってる。山村はバスケ部に入るらしいけどね。実は山村と僕って中学校の頃同じだったんだよね。山村は中学校の頃は軽音部やってた」
「え!? 私と同じ!」
山村誠司くんは私の左の席に座っている男子である。
入るなら軽音部くらいの気持ちで考えていた私は、一緒だということを知ってかなり驚いた。彼は私に、「一緒のグループになったらよろしくね」とだけ言って自分の席に座った。
1時間目、現代文。2時間目、世界史。3時間目、生物。どれも私にとって興味がない科目で、正直退屈すぎるので、この授業までは休み時間の間もずっと寝ていたかった。2時間目に「今日は4月11日なので24番の前田さん!」ときわめて理不尽な当てられ方をしたのでその時は目を覚ましたが、逆にその時以外は通して寝ていた。
4時間目は化学。私は興味がある科目はいつも目が覚めている。さっきまでの睡眠で蓄えた体力をフルで使って私はノートをとっていた。