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2 会話

 「ごめん、今は周りに人がいるから、あんまり細かくは話せないや。放課後LINE送るから、見てもらっていい?」


 私はこの時点で、長谷川くんにはこのことを全部話そうと決意した。何となく誠実そうな目をしているし、秘密を守ってくれそうな雰囲気がある。私は彼のことを信頼し始めていた。


 放課後。地下鉄に揺られて家まで帰り制服から私服に着替え終わると、ちょうど長谷川くんからラストラベンダーの件について質問しているLINEが届いた。私は安定の速さで既読を付け、言葉を慎重に選びながらもできるだけ早く真実を伝えた。


「正直、バレることは想定外だった。あまり有名なグループじゃないし、まだ誰も知らないと思う。誰にも言わないでね」

「実は、私、中学時代は四国のローカルアイドルのメンバーだったんだよ、それが、知ってると思うけど『ラストラベンダー』のエンディングを務めたあのユニットなんだよね」

「なんで今横浜の学校に通ってるかっていうと、私の親って転勤族なのね、だから親の仕事の関係でここ来てるの」


 長谷川くんは、どうしてエンディングを務めることになったのかということまで聞いてきた。ごまかすのも良くないと思った私は、彼に正直に話をした。


 「今は2期生、3期生と入ってきてるからわからなくなってるかもしれないけど、公式サイトの1期生のメンバーの情報見てみてほしい」

「メンバーの名前に紫・花・夏・七・芽の字が入ってるでしょ?それをたまたま知った平田先生(漫画書いた人ね)が、このグループに目を付けたらしいの」

「それで、私たちがエンディングを務めることになったんだよね」

「バレるとは本当に思ってなかった、何回も言って悪いけど、本当に誰にも言わないでね」


 話を聞くと、どうやら長谷川くんは、私が元アイドルだったらしいことを黙ってくれるつもりらしい。私は彼を信じていたし、根も葉もない噂を流されるよりは、はっきりと真実を伝えた方がましだろうとも思っていた。


 数十分後、長谷川くんから「CD中古ショップにあったよ!」というメッセージが届いた。私は、横浜にもあるの!?と驚いてしまった。私はその驚きをそのままLINEで伝えた。なお、YouTubeにも音源自体はアップロードされているが、2番以降はカットされてしまっている。


 彼が買ったのは、1stシングルの「希望の花言葉」だ。タイムマシンが収録されているCD(2ndシングル)ではなかった。


 その後、長谷川くんに、私は「卒業」ではなく「休業」したことや、そのうち四国に戻りたいと思っていると言ったことを話した。どういう道に進みたいの?とも聞かれたが、私は正直に「あまり考えてない」とだけ伝えた。


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