表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

15/112

15 カラオケ 5

 歌を入れる前に、一緒にドリンクバーでコーヒーを入れようとなったので、私たちはコーヒーをグラスに注いだ。


 「じゃあ、曲入れるよ?」


 彼はそう言って、端末を操作し「大冒険時代」を入れた。


「果てしない荒野 きらめく星の 足跡たどり 僕らは砂漠を横切る」


 ゲーム内では、誰も到着したことのない数々の星をめぐり、無限に旅することになる。空に見上げて見える星の全てに、プレイヤーは実際に向かうことができる。


「広がる草原(くさはら) 何もなくても 遠い地平に まっすぐ迷わないだろう」

「夜が訪れて急に冷え込んだ 夜空は無数の星 導いてくれるさ」

「道のない土地に迷ったとしても 信じる方向へ進んだなら」

「彼方の地平に届かなくても 僕らは目指す 子どもの頃思った場所」


 歌を聞きながら私は、ゲームの世界観とヘリアンサスガールズ活動初期の立ち位置が似ていたかもしれない、と回顧した。1期生の ―つまり立ち上げ時期、先人がいない― 活動は、何もない草原を5人でまっすぐ進んでいくようなものだったと思っている。


 2期生が加わって9人組になっても、進む方向は変わらなかったが、3期生が加わる直前に、私は引っ越すことが決まってしまった。


 休業公演の直前に、私は3期生と少し話をした。みんな頑張ってね、私も一緒に頑張るから。そのうち戻ってくるから、その時は宜しくね、というメッセージを13人のメンバーに送った。


 「今でもLINEでは、昔のメンバーと話しているんだけど、しばらく会っていないね。地元に戻ったときに13人に会いたい。今は夏休みが始まったばかりだけど、8月の上旬に徳島の方に家族で行く予定んだんだよね。その時、昔仲が良かった、かわみんとかしふぉんに会いに行ければ、って思ってる」


 私の話を受けてショウは話す。


 「徳島か...... わかってはいるけど、遠すぎるんだよね。もし神奈川県のこの辺だったら、ライブ行ってみたいとも思うんだけど。半年後か、ちょっとまだ先になるけど『四国のアイドルが横浜に来てくれる』ってだけで滅多にない機会だ、って思っておくか」

 

 思い出話に花を咲かせていたため、10分ほど、2人ともなにも歌わずに話続けていた。少しぬるくなったコーヒーを飲み干し、私はヘリアンサスガールズの「次の世界へ」という歌を入れた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ