番外編 復帰後 4
無事に戻ってくることができてよかったという趣旨の投稿をツイッターにした。3年半前初めてライブに来てくれた拓也さんももう社会人のようだ。そう考えると、時の流れるのは早いと実感せざるを得なかった。
ヘリアンサスガールズが結成された日から6周年記念のイベントまであと4か月だ。それまでに、私は何としてでもブランクをなかったものとみなせるくらいにはしておきたいと思っていた。
実際、Rivageのボーカルを務めていたこともあり、しゃべることに関してはそこまで鈍っている気はしない。しかし、問題はダンスの方だ。少しずつ勘を取り戻しつつはあるものの、ボーカルとして踊ることは一切なかったため、復帰して数日はだいぶ体の動きがついていかないような気がした。
しかし、そろそろ復帰3週間がたつ。当時の感覚が、少しずつではあっても確実に戻ってきている気がする。私は、割と楽観的に物事を見ることができるような気がした。
私は、3人が戻ってくるまでスマートフォンを操作していたが、眠くなってしまったためそのまま眠りについた。
「起きて」
そかかが起こしてくれた。1時間程度寝ていたようだ。最近疲れているせいか支離滅裂な夢ばかり見る。しかし、今回はいたって普通な夢だった。2022年の4月10日、ショウにラストラベンダーのことについて聞かれた日の夢だ。
思い返すとバレてよかった(という言い回しは少しばかり変かもしれないが、そうとしか表現できないとも思っている)と思うようになっていた。最初の日は確かにバレたことについて焦った記憶がある。しかし、あそこまで彼と仲良くなれるとは、当時の私にとっては想像さえできなかったことだ。
彼の第一印象は「誠実そう」だった。今思い返してみても、その印象は変わらない。彼を信用したのは正解だったと、胸を張って言うことができるほどだ。
私は、高校時代の話を詳しく3人に話した。そして、向こうでも楽しくやってたということを伝えると、3人は良かったねと言ってくれた。
ヘリアンサスガールズのファンの方も、中学時代の同期も、高校時代の仲間も、そしてヘリアンサスガールズのメンバーたちも、今思えば全員いい人だと思う。そんな仲間に囲まれている私は運が良いと思い始めるようになっていた。
私は着替えた後楽屋を出て、駅前のビルまで向かっていった。
1人暮らしになっていろいろと慣れない部分もあるが、少しずつ適応できていくと思っている。そして、完全な形で復帰できる日も近いだろう。
私は中学時代と同じように、レッスンを続けていこう。そしていつか、またみんなの前で踊れるようになりたい。そう思うようになっていた。
みんなに本当にありがとう、と伝えて私はビルを去り、家まで向かっていった。