106 卒業
気づけば3月2日。ついに卒業式が行われる日だ。
私の大学はまだ合格発表が行われていない。そして、ショウの第一志望校もまだ合否は出ていないようだった。
私立組(山村くん、沙月ちゃん、楓、ひかり、コウたち)は進学先がそれぞれ決まっているようだ。完全に把握していないが……。
式典の時間は2時間半。来賓の方々が話をしてくださったり、卒業ソング「旅立ちの日に」(埼玉県のとある中学校で作られた歌)の合唱をしたりした。
卒業式が終わった後、卒業アルバムの後ろの白いページに色々な言葉を書きあったり、写真を撮ったりした。何故か最終下校が14時と早い。もたもたしていると時間が無くなってしまいそうだ。私はショウとツーショットをとったり、軽音メンバーたちと集合写真を撮ったりした。
私は、ヘリアンサスガールズのことについて明かすかについて考えていた。しかし、明かしたところで現実的にライブに来ることができるかと言われれば無理だろう。私は、結局はショウ以外には誰にも明かさずに高校生活を終わらせることにした。
アイドル活動から離れて普通の高校生として過ごしたいという目標はかなったといっていいだろう。私は、ショウにありがとうと伝えた。
私は、最後の帰り道を歩いていった。
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3月9日。朝9時に合格発表が行われる。そこまで失敗したという感触もないため、私は気楽な気持ちで合格発表を確認した。
本当は現地の大学のキャンパスに赴いて確認した方が良いのだろう。しかし、さすがに徳島大学は遠い。私はスマートフォンで、自分の受験番号20669があるか確認した。
合格者一覧…… 20645 20653 20655 20658 20663 20668(実際は縦に並んでいる)
私は20668までスクロールしたところで指が止まった。この1スクロールで運命が決まる。私は、勇気を振り絞って画面をスクロールした。
20668 “20669” 20773
合格発表を行うpdfを確認すると、無事に自分の番号があった。報われた、と喜んだ私は、LINEで家族としふぉん、ヘリアンサスガールズのメンバーおよび軽音部グループ、そして重複する形になるがショウに「徳大理工学部受かった!!!」とメッセージを送った。
家族からもショウからもおめでとう、というメッセージが返ってくる。数時間後、ショウからも第一志望に受かったというメッセージが届いた。
別れることになってしまうのは仕方ないかもしれない。お互い違う道を進むだろうということはわかっていた。
「きみとの3年間、楽しかった。思い出が多すぎて話しきれないけど、本当にありがとう!」
私はショウに感謝の言葉を伝えた。彼には感謝してもしきれないほどだ。ショウは少し泣いてしまったようだが、取り戻して話してくれた。しかし、また会えると思っているから悲しくはないとも言っていた。
「こちらこそ、ありがとうね、進む道は違うけどお互い頑張ろう!」
ショウからLINEが届く。私は、またいつか会える日が来ることを信じた。
私はもうすぐ四国に戻ることになる。ヘリアンサスガールズの活動も再開するつもりだ。私は、ヘリアンサスガールズのメンバーにそのことを伝えた。