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1 出会い

 高校生活が始まってすぐのことだった。私のスマートフォンに、クラスの長谷川くん(私の右の席に座っている男子)からのライン通知が届いた。内容は当たり障りのない挨拶だ。中学校の頃から返信が早いことに定評があった私は、「こちらこそよろしく」とだけ返信した。


 その時はスタンプが送られてきただけで、特に大した話はしなかった。


 次の日。私が登校したとき、長谷川くんは私の机に座りながら、私の左の席の男子と何かを喋っていた。私は、「ごめん、ちょっと机からどいてもらっていい?」とお願いし、机から降りてもらった。


 山村がトイレに行くって言って去っていった後、長谷川くんは何か考え事を始めたようだ。何を考えているんだろう、と私は気になっていた。でも眠かったので机に突っ伏して寝ていると、長谷川くんに話しかけられた。


 「ねえ、ラストラベンダーってアニメ知ってる?」


 私はラストラベンダーという言葉を聞いた瞬間心臓が止まりそうになった。なんで知ってるの? どういう経緯で知ったの? 色々聞きたいことはあったが、周りに聞かれるとまずいことになる。そう思った私は、適当な嘘をついてごまかしてしまった。


「昔みてたし、アニメ自体は知ってるけど、最近見てないからどうなったのかはよくわかってないんだよね」


 ラストラベンダーは5年位前に描かれた漫画を原作とする作品だ。ストーリーを簡単に説明すると、北海道に住む高校生、福井功は、地元で募集されている男子アイドル「Septieme(セッティエーム) Lavande(ラヴォンド)(フランス語で7つめのラベンダーという意味)」のオーディションに勝手に申し込まれてしまった。結果無事合格。本来は7人組になるはずのユニットだったが、1人事情があり脱退。6人組として活動していく中で7人目を探すといったものだ。


 私が焦った理由は、この作品のストーリーとはあまり関係がない。


 簡単に話すと、私は中学時代、徳島県の海のあるとある市で「ヘリアンサスガールズ」という名前のローカルアイドルをやっていた。結成は3年前の8月。活動開始からほどなくしてラストラベンダーのアニメ化が決定する。その時に、私のいたユニットがそのアニメのエンディングテーマを務めることになった、という経緯がある。

 

 私は親の転勤の都合でココ横浜に来ざるを得なくなり、そのグループを休業する事になった。もちろん、3年後徳島の大学に進めば戻ることはできるし、そうするつもりだ。ただ私は、横浜では元アイドルだったということを隠して生活していくつもりだった。


 私が焦った理由は、その思いが学校生活始まって1週間以内に崩されかけているからだ。長谷川くんは続けて私に質問する。


 「エンディングのスタッフロールに君の名前と同じ人がいるんだけど、何か知ってる?」


 私は思わず、「え!?」と声に出してしまった。幸いにも、周りの人は私に視線を向けていないようだ。私は続けて話した。


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