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灰色の君  作者: 鼻風邪
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愛しい君

初投稿です。恐る恐るの投稿ですが、どなたかの目に触れていただけたら嬉しいです。


4月。

私立若乃宮高校。俺、中村陸斗は今日からこの学校に通う。

「はぁ……」

緊張で思わずため息がこぼれる

「おいおい、大丈夫かよ」

俺の隣で呆れながら声をかけるのが、小学校からの親友、星皇太。

「はぁ…俺友達作れる自信ねぇよ」

「いやいや、入学して1日目だろ?元気だせよ」

そう言って俺の肩を優しくなでる。

俺と違って皇太は昔からフレンドリーな性格だった。自分からなんでも行動するタイプで、友達もすぐできる。爽やかでカッコいい見た目。女子にも男子にも人気があった、クラスの中心人物。だから俺も皇太と一緒にいれば自然と友達はできた。だから今まで友達には困らなかった。しかし…

「うげぇ!皇太2組ってマジかよ!」

俺は昇降口のガラスに大きく貼り出されている組み分けの紙を見ながら叫んだ。

「陸斗は…4組かぁ、遠いな」

「ちょ!嫌だよ!皇太と離れるとか嫌だよ!むりむりむり!一年間ぼっちだぁぁぁ」

俺はひたすら頭を抱えて唸るだけ。

「おれも、陸斗と離れるの嫌だなー」

何言ってんだよ、友達作るの得意なくせに。

「困ったなぁ……」

不安だらけの新学期。出だしから地獄のような宣告を受けた俺は、早々と自信を無くしていた。



重く肩からぶら下がる腕。あれ?腕ってこんなに重かったっけ?とか、そんなこと考えながら4組の扉を開けた。

ガラガラー

当たり前だが誰1人として見向きもしない。俺は黒板に貼られた席順の紙で自分の席を確認して静かに着席した。窓側の列から2番目の1番後ろ。1人でいるにはちょうど良く誰にも話しかけられない。

「はぁ………」

今ので何回目のため息だろうか。今日まだため息しかしていないような気がする。

「みんな、いいなぁ」

小さい学校から来た自分とは違い、他の学校からはたくさん来ている。だから絶対知り合いの誰かとは同じクラスになり友達も自然とできる。俺は小さい学校から来たから皇太しかいない。皇太と同じクラスになっていたら少しは変わっていたのかな。

「もう帰りてぇよ」

机の上に置いた腕に顔をうずめ1人泣きそうになっていた。その時、

「ん?」

うずめた顔をはっ!っとあげる。

1番窓側の列。1番まえ。窓から差し込む柔らかい春の陽射しに照らされて、温かな風に薄っすら茶色の髪が揺れる。その姿は……

「ゆ、ゆい?」

小声だが思わず声に出してしまい口をふさぐ。

彼女の名は小川唯。幼稚園の頃からずっと一緒の幼馴染のようなもの。そして、俺の初恋の人。

可愛くてしっかりしてて、誰にでも優しくて。笑顔がめちゃくちゃ可愛い。

中3の体育祭のときのこと。唯の団の佐藤だか加藤とかいう団長が騎馬戦でてっぺんから落下。大怪我をし、急遽、副団長だった唯が団を引っ張ることになった。応援合戦で小さい体を一生懸命使って団員を引っ張ろうとするその姿に一目惚れした。

まさか高校が同じになるとは。片思い2年目か。

と、そんな物思いにふけている暇はない。早く友達を作らなきゃ本当にぼっちになってしまう。しかし、仲良しグループはすでにあちこちで出来ていて、俺の入る隙などどこにもない。全く、俺ってやつは。皇太がいないと何もできないのか。



チャイムが鳴り、休み時間になる。

ガラッと教室を飛び出して2組に向かう。

「っ……」

皇太はすでに男子のグループの中に入り楽しそうに話していた。

そうだよな。仕方ないよな。

あんなにフレンドリーな皇太のことだ。すぐに友達が出来てしまうのも無理はない。

もう、俺に来られても迷惑かな。

そう思い4組の方へ向かおうとした時

「りくとー!おーい!りくとー!」

皇太の声が聞こえて思わず足を止める。すると後ろから腕を掴まれる。

「陸斗、なんで戻っちまうんだよ」

後ろを振り返ると笑顔の皇太がいた。

勘違いかわからないがさっき新しくできた友達といた時よりも目が輝いている。

「お、おれなんかよりいい友達たくさんできたんだろ?俺になんか構うなよ…」

「何言ってんだよ。俺の中では陸斗が1番だ。当たり前だろ?」

そう言っておれを引っ張りながら2組の方へ引きずっていく。

「おーいみんな、こいつ俺の友達の中村陸斗。仲良くしてくれよ」

そう言って新しい仲間のまえで俺を紹介する。

「おおお!中村!よろしくな!」

「陸斗って名前かっこいいな」

「りっくんって呼んでいい?」

あっという間に人が集まってきて押しつぶされそうになる。

「な、なかむらと言います、よ、よろしく〜」

大人数に圧倒されながら弱々しく自己紹介した。



「な、なかむらくん?」

4組に戻って机に突っ伏してた俺の耳に天使の囁きのような声が聞こえた。

「ひ、ひえっ!あ、ゆっ…じゃなくて、お、おがわかぁー!お、おなじ学校だったんだな〜ハハッ」

まさか向こうから声をかけてくるとは思っていなかったから焦りまくって ゆい と言いそうになった。

「私もびっくりしたの。中村くんも同じ高校だったんだね。合格おめでとう」

そう言って天使のような微笑みを俺に向けた。か、かわいすぎ……

「そ、そちらこそ、お、おめでとうございます」

緊張で体中熱くなり声も震えてしまう。

「もう、なんで敬語なの?」

「ご、ごめん」

でも何故俺なんかに声をかけたんだろう。疑問に思ったとき、

「あ、あのさ、私友達出来なくてね。知り合いが…その…中村くんだけで………」

そっと顔を伏せ、困ったように呟く。

「迷惑だったらぜんぜんいいんだけど…あ、あの!次の移動教室一緒に行か……」

「いいよ!ぜんぜん迷惑じゃないわ!俺も友達いないぜ!」

まさかのお誘いに興奮状態を必死に抑えながら答えた。

「よ、よかったぁ〜、」

唯はそう言うと俺の肩に手を置いた。

「んばっ!」

突然の急接近にわけわからない声をあげてしまった。

「わぁっ!ごめん!」

唯がサッと俺の肩から手をどける。

「うわ、こっちこそごめん!小川は悪くないぜ!」

そう言いながらドキドキと加速する心臓の音を耳で聞いた。

まさか唯とこんな展開になるなんて。

もしかして脈ありじゃね?

そう思いながら次の授業の用意を持って立ち上がった。俺が立ったのを見ると唯も歩き出した。



「あ、あのさ、昼飯も一緒に食う?」

移動教室の帰り道、俺は勇気を出して唯に声をかけた。

「い、いいの?私なんかでいいの?」

いいよ!てか、唯がいいんだよ!と、心の中で叫びながら俺は首を縦に何度も振った。

「ありがとう!お弁当持ってくる!」

走り出す唯を見ながら俺は最高な気分だった。そこへ……

「陸斗、弁当食おうぜ」

聞きなれたその声は皇太である。

「こ、こうた」

友達いるくせに俺なんかに、

「ご、ごめん、皇太。俺、人と約束してて」

「友達できたのか?」

「いや……お前も知ってるだろ?小川唯。俺達の小学校からの同級生」

俺の一言で皇太も思い出したようにハッとする。

「小川が4組で。友達いない同士食おうって話になったんだよ」

「なんで?陸斗には俺がいるじゃねぇか、友達いなくないだろ?」

驚いたように目を丸くする皇太。

「いや、皇太はすでに友達たくさんいるだろ?」

あんなに新しい友達がたくさん出来たというのに、なんなんだ皇太は。

「なかむらくーん!」

唯の声が聞こえる。

「あ、来た。ってことだから、皇太は俺のことなんか気にしないで新しい友達と仲良くやってよ。ま、帰りとか一緒に帰ってくれたら嬉しいけど。じゃあな」

そう言って俺は立ち止まりこっちを見ている皇太に背を向けて唯の方へ向かう。後ろを見なくても、皇太が4組に向かう俺のことをずっと見ているのは背中で感じていた。



その日の夜、皇太からLINEが来た。

『俺達親友だよな?』

急になんだ?

『当たり前だろ。昔からの友達なんだから』

そう送ると、すぐに笑顔のスタンプが送られてきた。

皇太はほんとにいいヤツだ。いつでも俺の見方になってくれる。ほんとに親友として大好きだけど、たまに俺に今日みたいな不思議なことを言ってくるからそれがよくわからない。他の面ではダメなところはなにもない。完璧だ。まぁただの天然なんだろう。

『明日は飯、一緒に食ってくれる?』

ふと、ケータイを見るとそんな、メッセージが来ていた。

『皇太は友達いっぱいいるだろ?そいつらと食えばいいのに。』

『俺はこれからも陸斗と仲良くしたいんだ。ダメか?』

ダメじゃない。友達がたくさん出来て俺のことなんかすぐ忘れると思っていたのに、これからも仲良くしたいと言ってくれる。嬉しいに決まってる。

『ありがとう。マジ嬉しい。』

ほんといいヤツだ。そう思いながらケータイのロックをかけた。



次の日のお昼。

「いやぁ、小学校ぶりだね3人で揃うのは」

「うん!」

唯は久しぶりの皇太との再開に笑顔を見せる。

唯って皇太のことが、好きなのかな。

なんの魅力もない俺に比べて、イケメンの皇太と美少女の唯。釣り合うに決まってる。

「星くんは元気だった?」

唯が皇太にきく。

「ああ、なんとか」

皇太は一言返すと無言で食べ始めた。

皇太?なんかあったのか?

「ま、まぁ食べようか!い、いただきます」

なんで変な空気になるかなぁ。

一緒に食おうって言ったの皇太じゃないか。

当の皇太はムスッとしてひたすら箸を動かしている。

あれ?2人仲悪かったっけ?

小中と同じ俺達3人。唯は女子だし俺達と関わったことはほとんどなかった。だから2人が仲悪くなるきっかけなんてないと思うし、第一、皇太が唯のことを嫌ってるとは思えない。

具合でも悪いのか?

微妙な空気のまま、お昼は終わった。



6時間目の移動教室のとき。

「ねぇ中村くん」

唯が声をかけてきた。

「ん?」

「星くんって私のこと嫌いなのかな」

やはり唯もなにか感じていたのだ。

「わかんねぇけど皇太はそんなやつではなかったと思うんだよな」

頭を掻きながら俺は上を向く。

「なんかごめんね、2人親友なのに私のせいで暗いお昼ご飯になっちゃって」

唯の突然の謝罪にびっくりして頭を横に振る。

「いやいやいやいや!小川は悪くないから!謝るなよ!」

「そう……かな……」

唯がゆっくりと歩きだしたので俺も教科書を持ってあとに続いた。



続きが整いしだい続くといいな。

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